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会社の勝手にさせないための「有給休暇の計画的付与」の知識

「有給休暇の計画的付与」は、我が国の有給休暇の低い消化率を上げるための対策として、労働組合と使用者が労使協定を成立する半自動的な有給休暇付与の仕組みです。

しかし、御用組合(会社の言いなりの組合)や形ばかりの労働者代表による、従業員の意図とまったく関係ない労使協定によって、会社にとって都合のいいように計画的付与が行われるなどの危険性が潜んでいます。

このページでは、皆さんに制度の知識を詳しく説明することで、会社側による不当な計画年休付与に気づくことができるお手伝いをしたいと思います。「知らないこと」が最も危険です。このページで計画年休に関する知識を一通り仕入れ、意味ある労使協定を結ぶことにお役立てください。

計画年休制度など利用せずとも、社内で自由に気軽に有給休暇が消化されることが理想ですが、なかなかそれも難しいことでしょう。その理想状態に向かうための第一歩として、公正な計画年休制度が実施されることを願います。

まず「有給休暇の計画的付与」の制度の基礎知識を知ろう

 本来有給休暇は、本来労働者各人の自由利用によって利用されなければなりませんでした。。当然今でも有給休暇の自由利用の原則は変わりません。

 しかし日本の職場では、職場の同僚に気兼ねするためか有給休暇の取得率が低いままだったので、昭和62年の労働基準法改正で「計画年休」の制度が出来あがったのです。

 この制度の発足に合わせ、入社後最初に有給休暇が与えられる日数も、6日から10日に変更されたのです。

 この制度の特徴としては、以下のモノが挙げられます。

労使協定で成立。労使協定を結べば、計画年休に反対の労働者も拘束する。

 計画年休の制度は、事業場の過半数労働者で組織される労働組合と使用者との労使協定、又は事業場の労働者の過半数を代表する者との労使協定によって成立します。労使協定は書面で結ばれる必要があります。

 この協定、計画年休に反対の労働者にも有効に効果します。つまり反対の労働者も、特定された日に有給休暇を使わねばならないのです。

「計画年休の労使協定により集団的統一的に特定された日数について、特別の事情が認められる場合を除き、個々の労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権は排除され、その効果は適用対象とされた事業場の全労働者に及ぶ」【福岡高裁:平成6年3月24日判決】

 しかし、ある労働者に有給休暇を取らせることが適当でない特別な事情が存在する場合には、計画年休の労使協定を締結する前に十分考慮する必要がある、と行政通達で示されています。【通達:昭和63年1月1日基発1号】

計画年休で認められるのは、5日を超える部分のみ

 計画年休の労使協定といっても、全ての日数を定めてしまうことは出来ません。最低5日は労働者が自由に利用できるように残しておかないといけません。

 そりゃそうですよね。全部の日数を決められてしまっては、自分の個人的な用事の時の場合などに有給休暇の制度が機能しない事になってしまいますから・・・。

「計画的付与」の種類には2種類ある

労働者に一斉にあたえる「一斉付与方式」

 事業場全体を一斉に休みにしてしまう方式です。全ての労働者に同一の日に有給休暇を与える方式です。

 工場稼働を一斉に止めることが出来るので、経費の節約にもなるのでしょうか?一斉に作業場を休めることができるなら、使用者にとっては有効な制度なのかもしれません。

個人ごとに与える「個人別付与方式」

 個人ごとに計画年休が設定されます。個人の私的な用事などを考慮して計画が組まれるようです。

 私の経験として、大きな企業に勤めておられる労働者の方に多く見られました。まだまだ中小・零細企業ではほとんど見られません・・・。

 実際多くの職場で行われている個人付与の流れは以下の通りです。個人の希望も聞かずに労使協定で上から日を決めることは難しいですから。菅野和夫先生は、著書「労働法 第10版」 (法律学講座双書)の中で、この制度のことを「年休カレンダー方式」って言ってました。

 

 (1)年度の初めにおいて、年休カレンダーへ従業員が記入するという形で取得希望日を調査

   ↓

 (2)これを使用者の方で調整

   ↓

 (3)労使協定で各労働者ごとに取得日を定める

 

班別にあたえる「班別付与方式」

 労働者全体をグループにわけたり、又はそれぞれの労働者の班ごとに区切って計画年休を与える方式。班ごとや部署ごとに繁閑の差が出る時は、合理的な付与方式かもしれません。

有給休暇の日数が足りない労働者に対する対応はどうするのか?

 計画年休を一斉に行使しようとすると、一つの問題が出てきます。

 計画しようとしている休暇日数に足らない数の日数しか持っていない労働者の問題です。

 その場合はどうするのか?以下の対策が考えられます。

  • 足らない労働者の休暇数を足りるように付けくわえてあげる
  • 足らない日数については、会社の休日としてしまう

 とにもかくにも、このような努力をしないで計画を強行し、日数が足らない労働者を無給の休みにすることは許されません。

 この場合使用者の責任による休業となるので、労働基準法第26条に基づいて休業補償を支払わなければなりません。

 心当たりのある労働者の方はご注意を!中小・零細では、こんなフォローはまず無いですから。

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