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会社に取得妨害をさせないための「有給休暇の理由」講座

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有給休暇を取得するのに、会社に理由を言う必要など、一切ありません。また、会社に取得理由について文句を言われる筋合いもありません。

「一週間後、休みたいから休む」「友達と遊びに行くから休む」・・そのような理由でも何の問題もないのです。

しかし現実は違います。有給休暇を申請するたびに上司に理由を聞かれ、かつ嫌味を言われたり、ひどい場合は「そんな理由なら認めない」と取得手続きを拒否されたりします。そのような行為は労働基準法の趣旨にも反し、法違反ともなります。だからといって、言われるたびに「課長、それは法律違反ですよ!」と目くじらをたてることも、現実的な対応とはいえませんね。

では、うまく工夫して、全くのウソとならず、かつ会社も妨害しにくい理由を考えればいいのではないでしょうか?

このページでは、嘘になるべく頼らず、かつ会社にも妨害をさせないような、絶妙な「理由」の選び方・伝え方を一緒に考えていきたいと思います。

そもそも有給休暇の理由は何でもいいし、伝える義務すらも無い

取得理由は伝えなくてよいし、その内容も一部の例外を除いてなんでもよい

 年次有給休暇は、一部の理由(自社のストライキに使う)で使う以外を除いて自由に利用できるのが原則です。

 ※自由利用の例外についての詳細は 「有給休暇の理由」講座の番外編~自由利用の例外を知ろう! 参照。

 今日の日本では、相変わらず有給休暇を取りにくい雰囲気が漂っています。私たちが有給休暇を取得しようとすると、以下の嫌みを言われることがたびたびあります。しかしこれらの行為は現在の有給休暇の制度や労働基準法の法の趣旨、裁判例・行政通達に違反するものです。

  • 「理由を言ってみろ。有給休暇を認めるかどうかはその内容いかんだ。」
  • 「そんな理由で休むの?今会社がどういう状況か知っているの?」

 今ここまでハッキリ言う会社はさすがに少数になったかも知れません。しかし上のような言葉は、労働基準法を守る意識の低いワンマン経営の中小零細企業では、いまだに頻繁に聞かれます。

 現在の日本においては、有給休暇を取得することに理由を告げる必要すらなく、自社での労働争議(ストライキなど)のために使う場合を除いて、有給休暇取得の理由についてはなんら制限されないのです。

有給休暇についての裁判例を見てみよう

 最高裁判決では、有給休暇の利用目的の自由性について、明確に判断をくだしました。後で述べる”年次有給休暇の権利の権利濫用”に当たらない限り、どんな理由であっても年次有給休暇の成立には影響を与えないということです。

『年次有給休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、とするのが法の趣旨であると解するのが相当である。』【昭和48・3・2 林野庁白石営林署事件】

 この事件の発端は、職場外の労働組合に参加している労働者が、その組合の労働闘争に参加するために有給休暇を申請し休んだが有給休暇が認められず、給料が支払われなかった、というものです。それに対して労働者は提訴し、地裁・高裁では労働者が勝訴、被告はそれに対して上告(最高裁に提訴)したものです。結果、上告は棄却され労働者の勝利が確定しました。

 判決を素直に解釈するならば、労働者は有給休暇の申請時、理由を問われるなどの干渉を受けない、ということです。それはもちろん、どのような理由で有給休暇を消化しても人事上の評価など一切のことについて不利益を受けることもない、ということでもあります。

 「家族でどこかに行く」とか「旅行に行く」、「来週の頭の月曜日は休みにして三連休にしたい」という理由でもいいのです。そして、会社に理由すら言わなくてもいい、ということにもなります。

いざという時、「時季変更権をさせない理由」具体例

 では、考えられる有給休暇の理由を挙げてみましょう。各理由ごとに、軽いアドバイスも加えておきました。参考にしてください。

王道・やむを得ない理由

家族旅行

 あなたが欠けたら家族旅行になりません。よって会社は必要以上に時季変更権は使ってこないでしょう。もし不安ならば、会社が突っ込んできたときに、「宿のキャンセル料がかかるので、キャンセルもできない」「運転手としてどうしても参加しなければならない」のようなリアルな反論を用意しておきましょう。

持病のため、病院に行く

 会社が決して立ち入ることのできない理由。しかしこの理由を嘘に使う場合は、布石を打っておく必要も。仮想の患部は、平素より不調さをアピールしておく。

親の介護

 あなたの人の子である以上、当然の義務として親の介護はすべきでしょう。その義務を逆手にとって、有給休暇の理由に使わせていただきます。この理由は頻繁に使えそうです。

場合によっては有効

法事・年忌

 最近の法事は、基本的に土日に行われます。よってこの理由は、土日に有給休暇を使う場合に有効でしょう。しかし、たびたび使えないのが難点。一年に2回くらいでしょうか。

身内・知人の不幸

 この理由は、嘘としては不吉で極力使いたくない。言霊思想の日本ですから。

田舎の両親がこっちに来るので、接待

 遠方出身の方であれば、この理由は堂々と使えるでしょう。

チャレンジ

バカ正直に理由をありのままに告げる

 「私は嘘が嫌いだ!」という人は、この手段を採るしかありません。しかし、会社に嫌味を言われたり、難色を示される可能性が高くなります。やむを得ない事情を少し加えるといいでしょう。

「理由?私用です!理由なんて言う必要もないのだから!」

 こう言いたいと思っている労働者の皆様は多いでしょう。しかし武闘派労働組合の組合員でもない限り、言わない方が身のためです。気持ちと理由は、オブラートに包みましょう。理由を全く告げないと、対抗手段として、言わないことを口実に時季変更権を行使しようとする会社も出てきます。それらを避けるためにも、適当な理由を準備しておくと、いざという時にあわてません。

「明日は気分がのらないので休みます。」

 「気分がのらない」を「体調不良」にかえるだけで、良い結果を得る可能性が高くなります。このままだと「貴様は小学生か!」と一喝されそう。

「明日の仕事運が最悪なので、リフレッシュしてきます」

 「仕事運が最悪」を削除し、「リフレッシュしてきます」だけにしたほうがいい。多くの人間は占いなど迷信だと思っています。よからぬ噂が立ちそう。

ウソの理由で有給休暇を取る場合の注意点も知っておこう

 では、本当の理由と違った理由を休暇申請書等に記載して休暇の取得申請をした場合はどうでしょうか?この場合も基本的には自由利用が原則である以上、本当の理由と違っていても問題ない、ということになるハズです。しかし、古川鉱業事件の高裁判決では、”勤務に関する所定の手続きを怠ったとき”に該当し、懲戒理由になると判断しています。

 ですから虚偽の理由を使って休む時は、バレナイように気を付けましょう。また、曖昧な理由を使うのもいいかもしれませんね(例・家の用事)。下に述べる最高裁判決に矛盾するような気のする高裁判決ですが・・・。

 私の経験として、そのことを知ってからは有給休暇申請書の理由欄に何も書かなくなりました。最初は色々言われましたが、「どうしようもなく部署の仕事が回らない時は相談に応じます」と言っておけば意外とすんなりいくようになりました。

 会社が時季変更権をちらつかせて理由の提示を迫ってきた時は、言った方が得策かもしれません。対策としては、曖昧に「家の用事」と言っておきそれ以上詳しく言わない、という手が考えられます。ウソでは無いですから。理由を頑強に答えないと、時季変更権を行使されてしまう・就業規則違反で懲戒されてしまう、という危険があるからです。

 有給休暇自由利用の原則からは、例え申請した理由が曖昧で漠然とした時であっても、有給休暇の成立には影響がないことになるからです。

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