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これで完璧!「もらえる有給休暇の日数」にかかわる基礎知識

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有給休暇をめぐる戦いにおいては、有給休暇が一定の条件を満たせば法律上当然に発生する性質を持つため、基礎知識が頭に入っているか否かは、戦いにおいて自信をもって権利を主張することに大きな影響を与えます。

このページでは、基礎知識の中の基礎知識である以下の知識2点を説明します。

  • 有給休暇が発生した場合何日もらえるか(付与日数)
  • 有給休暇は、どのような条件を満たせば発生するか(権利の発生要件)

この2つの知識は、戦う場合以外の平素においても、有給休暇を有意義に使うために役に立つ知識ですので、是非とも当ページで頭に入れておきましょう。

最初の「年次有給休暇、もらえる日数は何日?」では、正規雇用労働者(正社員)・非正規雇用労働者(パート・アルバイト・臨時工等)それぞれの形態の労働者に与えられる日数について説明します。有給休暇の戦いの旅は、まずここから始まります。

次の「年次有給休暇を使う権利の発生する要件(条件)は?」では、有給休暇が発生する3つの条件(雇い入れの日から継続して6カ月間勤務・全労働日条件・8割以上出勤条件)について説明します。この3つは、頻繁に有給休暇をめぐる戦いの焦点となる知識ですので、各要件については、年次有給休暇の付与要件(3) ~「全労働日の八割以上出勤」の条件を満たしているか考えるで改めて説明しましょう。

年次有給休暇、もらえる日数は何日?

 年次有給休暇の要件を満たすと、労働者に法律上当然に有給休暇をとる権利が与えられます。会社の規則で恩恵的に与えられるようなものではありません。

 通常の従業員と、一部のパートタイム労働者で、有給休暇の日数が若干違います。両者について説明していきましょう。

通常の労働者の場合

通常の労働者の付与日数

 通常の労働者とは、以下の2つの条件のうち、1つでも条件を満たしている労働者のことを指します。

  • 週の所定労働日数が4日を超える場合
  • 週の所定労働時間が30時間以上の場合

 分かりやすい例を挙げましょう。週の所定労働日数が「4日」であっても、週の労働時間が30時間以上(例えば、32時間)であれば、通常の労働者となります。通常の労働者に該当する以上、与えられる有給休暇の日数は、以下の図の日数となります。

通常の労働者に対する有給休暇比例付与日数を説明する図
通常の労働者に対する有給休暇比例付与日数

法律上、有給休暇の最大可能保持日数は「40日」

 6年と6カ月目からは付与日数に変動がなくなります。その労働者が通常の労働者であり、かつ、その会社を退職するまで、毎年の付与日に「20日」が与えられる続けることになります。

 例えば、7年と6カ月目の付与日に、昨年(6年と6カ月目)の付与日にもらった「20日」がまるまる残っていたとすると、その人は合計で「40日」の有給休暇を保持するに至ります。

 では、それ以後もまったく有給休暇を消化せず、8年と6カ月目の付与日に「20日」もらった場合はどうでしょうか?「60日」にはなりません。なぜなら、6年と6カ月目にもらった有給休暇「20日」分が消滅時効により、8年と8カ月目の日になると同じくして無くなってしまうからです。

パートタイムの労働者の場合(比例付与の場合)

「比例付与」とは?

 「比例付与」とは、上記で説明した「通常の労働者」に比べ所定の労働日数が少ない者に、その所定労働日数に応じて年次有給休暇を与えることを言います。

比例付与方式で有給休暇が与えられる労働者とは?

 下のいずれかの条件に該当するパートタイム労働者は、比例付与の対象となる労働者となります。

  • 週の所定労働日数が4日以下の者で、かつ、週の所定労働時間が30時間未満の者
  • 週以外の期間で所定労働日数が定められている場合において1年間の所定労働日数が216日以下の者で、かつ、週の所定労働日数が30時間未満の者

 例えば、週4日のパート契約で入社したパートタイマ―の労働者について、その労働者の週の所定労働時間が30時間以上になる場合は、比例付与の対象とならず、通常の労働者と同じ休暇日数が付与されることになります。逆に、週の所定労働日数が30時間に満たない場合は、比例付与方式による休暇日数の付与となるのです。

比例付与方式における有給休暇の付与日数

パートタイム・アルバイト労働者に対する有給休暇比例付与日数の図

年度の途中で週所定労働日数が変更となった場合は?

 年度の途中で週の所定労働日数が変更になることは、パートタイム労働者にはよくあることです。その場合、付与日数はどうなるのでしょうか?

 その場合は、雇入れの日から起算した基準日における週所定労働日数により、付与日が決められることになります。

 例を挙げましょう。週所定労働日数が4日のパート労働者が、本人の希望により年度の途中で週所定労働日数を3日に減らしたとします。そしてその状態のまま、継続勤務期間2年と6カ月を迎えたとします。その場合、パートタイム労働者には、「9日」ではなく「6日」の有給休暇が与えられることになります。

年次有給休暇を使う権利の発生する要件(条件)は?

 6カ月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤することによって発生します。

 有給休暇の権利は、要件を満たせば法律上当然に発生する権利となっています。

 要件を満たした後、労働者が年休権の存在を認めさせたり、就業規則で年休権の存在を書いてある必要などありません。要件を満たした後は、使用者に「期間が過ぎて要件を満たしたので、○○日は有給休暇を申請します。」と言えばよいのです。

 ・・・しかし、”雇い入れの日から継続して6カ月間勤務”や、”全労働日””8割以上出勤”などが抽象的であいまいですね。以下でより詳しく具体的に説明したいと思います。

「雇い入れの日から継続して6カ月間勤務」について

 労働者が採用された日から、継続して6カ月勤務した場合に有給休暇が与えられます。

 継続勤務していたかどうかは、実態に即して判断されます。会社の考え如何でコロコロ変わるモノではありません。基本的に、会社に在籍し続けていれば足りるとされています。例をいくつか挙げてみましょう。

短期雇用契約を繰り返しているとき

 契約更新を繰り返してきて在職していた期間中、ずっと継続勤務していたと判断される。

出向元に在籍したままの出向

 出向元期間中も、出向先期間中もずっと継続勤務していたと判断される。

定年退職者の再雇用・嘱託契約を結んでの再雇用

 継続勤務と判断されます。

会社の休業中・病気などで休職中

 継続勤務と判断されます。”継続勤務”は会社に在籍していれば足りると考えられているからです。継続勤務として6カ月間一つの会社に在籍していれば、第一段階クリアーです。

※「雇い入れの日から」についてのより詳しい説明は、独りでもできる「有給休暇の権利があるか否か?」の判断方法~「雇い入れの日から起算して」についての分析方法 へ。

※「継続して6カ月間勤務」についてのより詳しい説明は、独りでもできる「有給休暇の権利があるか否か?」の判断方法~「6箇月間継続勤務」についての分析方法 へ。

「全労働日」について

 裁判例(判例)では、全労働日とは、労働者が労働契約上労働義務を課せられている日をいい、実質的に見て労働義務の無い日は含まれない、と定義しています。

 しかし、労働契約上で労働義務がある日でも、下に挙げた日は全労働日に含まれない、としています。

  • 正常で正当なストライキで休んだ日
  • 慶弔関係の休暇を取って休んだ日
  • 整理日休暇を取って休んだ日
  • 使用者の責任に帰さない事由によって会社が休業し、休んだ日
  • 使用者の責任に帰する事由によって会社が休業し、休んだ日

 また以下の日は、全労働日に含まれるが、出勤したとみなされる日とされています。確かに、以下の日々が出勤した日とみなされなかったら、オチオチ休んでいられませんよね。

  • 有給休暇を取って休んだ日
  • 業務上の傷病で療養のために休んだ日々
  • 産前産後の休業期間で休んだ日々
  • 育児介護休業法に定められた育児・介護休業を取得して休んだ日々

※詳細は、独りでもできる「有給休暇の権利があるか否か?」の判断方法~「全労働日の八割以上出勤」についての分析方法 へ。

「8割以上出勤」について

 8割以上出勤したかどうかは、毎年の状況で判断されます。

 つまり最初の6カ月で8割以上出勤して有給休暇が与えられても、次の年に8割以上出勤できなかったら、その年は有給休暇が与えられません。

 ちょっと分かりにくいですね。下図を見てください。

8割以上出勤したか否かで有給休暇付与が行われることを図示

 注意すべき点は、入社してから3年6カ月の時です。図の例では、2年6カ月の時、その年出勤日が8割以上にいかなかったので有給休暇が与えられませんでした。しかし、それにもかかわらず次の年の3年6カ月目の日では、3年6か月で定められた法定日数たる14日が有給休暇として与えられています。

※詳細は、独りでもできる「有給休暇の権利があるか否か?」の判断方法~「全労働日の八割以上出勤」についての分析方法 へ。

年次有給休暇について、労働者が損をしないために知っておきたいポイント

労働基準法で定められた日数分の有給休暇は、法律上当然に請求・取得できる

 上図の付与日数は最低限のものです。会社が胸三寸で上図の日数より少ない付与日数に変更することは労働基準法違反となります。しかし上図より多くの有給休暇を与えることは、法律上何ら問題がありません(有給休暇買取の時に、扱いが違うだけです)。

 ワンマン社長が「俺の会社には有給休暇など無い」と公言していたとしても、取得すべき時(例えば「退職時」)に堂々と請求してあげればいいのです。請求しても有給休暇分の賃金が支払われない場合は、賃金全額払いの条文違反になります。労働基準監督署に相談をする・支払督促・少額訴訟で請求をするなどして、休暇分の賃金をしっかり払ってもらいましょう。