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有給休暇の付与単位~「原則」と「時間単位年休」

(※このページは2020年11月24日に更新されました。)

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当ページをご訪問いただきありがとうございます。自動車産業の中心地・愛知県で、労働者の権利を守るために有志と共に合同労組(外部労働組合)を運営しています。

労働法令が守られない中小零細企業を主戦場とし、地方裁判所での本人訴訟を含め、数多くの労働紛争の実戦を経験してきました。

  • 「社内に『半日単位の有給休暇』の制度を導入させたい」
  • 「平成20年の労働基準法の改正で新たに創設された『時間単位』の有給休暇制度の内容と導入方法を知っておきたい」
  • 「半日単位の有給休暇を与えることで生じる大小様々な問題点について、その内容と対処法を知りたい」

このページは、このような考えのあなたに向けて書いたページです。

有給休暇を取るときは、一日単位で取るのが一般的ですね。しかし職場では、一日よりも短い単位、例えば半日などで取ることができる場合もあります。

有給休暇を取るにあたっての取る単位、以後は「付与単位」と呼ぶことにしますが、労働基準法ではどのように定められていると思いますか?実は付与単位の原則単位は一日単位であるのです。これは、有給休暇を労働者に与え心身をリフレッシュさせようとしている労働基準法の趣旨(行おうとしている目的)から生じた原則です。

しかし平成20年に労働基準法が改正され、労働組合との労使協定があれば、時間単位でより細かく有給休暇を取ることができるようになりました。

このページでは付与単位の原則と例外を、平成20年の改正点も併せて説明していきたいと考えています。時間単位の有給休暇制度を社内で発足・普及させたいと考えている労働組合の組合員のあなたは必見の内容といえるでしょう。

年次有給休暇の付与単位の「原則」と「例外」を知る

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『有給休暇を取る単位は、「一日」が原則となっています。それはなぜでしょうか?有給休暇の制度が「労働者が給料の保障された一定数の休暇の取得によって心身をリフレッシュする」ことを狙っているからです。しかし時代のニーズ、主に女性労働者の進出などの労働現場の変化により、一日より短い単位での取得が法律で認められるようになったのです。』

Episode1:あんしん労働組合員。半日有給休暇制度の社内での実現に向けて会議中・・

『川原』の画像

『総務のあの事務員が言っていたけど、半日単位では使えないんだって?』

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『私たち組合と会社が、話し合いのすえの文書、つまり労使協定で「使うことができる区切り・単位」などについて示しているならば、半日単位でも使えるはずです』

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『書面での取り決めが無ければだめ、ということなの!?法律で認められている私の有給休暇なのに!』

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『川原さん、まあ落ち着いてください。半日有給のニーズは、いずれわき起こりうる要望だと思っていたこと。この会社でも、いつかは取り決めしなければならないことだと思ってました。半日有給の実現について、私も力になりますよ』

『川原』の画像

『あら・・・、そうなの?みずきさんが乗り出してくれれば大丈夫ね。あの社長と文書での取り決めなんて面倒なことこのうえないし。そうそう私、一時間単位とかでも取りたいんだけど、たとえば寝坊したときとか・・細切れで有給が使えるようになったら、便利よねぇ』

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『・・・・・。』

原則は「一日単位」

 有給休暇は、原則として一日単位で与えられることになっています。

 年次有給休暇の趣旨(ねらい・目的)とはどのようものでしょうか?。それは、「ある一定量のまとまった休暇を給料が支払われる状態で与えることによって、労働者が安心して休養とリフレッシュに時間を費やし、その結果新たな労働活力を生み出すことができる」という内容です。

 この趣旨に基づけば、休暇単位はなるべくまとまっていた方がいい、ということになります。そこで労働基準法制定以来、年次有給休暇の付与単位は一日単位だとされてきたのです。

 しかし、働く人の割合の中で女性労働者の比率が高まったりする等の様々な変化が出ることによって要望も多様になり、その結果「一日単位付与に対する例外」が考えれられるようになってきました。

例外~実際の職場では一日単位よりも小さい単位で有給休暇が付与されている

 労働者が家庭や地域の行事、病院への通院などで休む場合、一日の有給休暇では長すぎると感じる時もあるでしょう。また使用者としても、有給休暇を一日単位よりもっと小さな単位で取っていただくことを、業務の運営上望んでいるかもしれません。

 実際の職場では、双方のニーズにこたえる形で、労働基準法における有給休暇の趣旨とは違った、一日単位よりももっと小さな単位での休暇の付与が行われています。

 「一日」という単位を下回る形での有給休暇の付与が行われているこの現状は、労働基準法違反とならないのでしょうか?

 労働にかかわる行政官庁・司法では、一日よりも小さい単位での有給休暇の付与は、労働者が一日よりも小さい単位での休暇の取得を希望して時季を指定し、それに使用者が同意している限りは問題ないとしています【昭和63年・3・14基発150号】。一日よりも小さい単位での有給休暇の付与が認められることは有給休暇の取得率の向上につながる、と考えたのですね。

 さてこのような様々な現状を踏まえ、平成20年の労働基準法改正によって、次で説明する「時間単位年休」の制度がつくられました。

新設された「時間単位年休」の制度~内容と導入手続き・交渉方法

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『有給休暇を取る単位をより細かくするには、社内で「時間単位年休制度」を導入する必要があります。これは会社経営者の胸三寸で決めることができるものではありません。労働者と会社経営者の間で交わした「労使協定」で定める必要があります。
 協定書の作成自体は難しい作業ではありませんが、会社経営者との合意が必要である以上、合意を得るのが交渉のヤマ場だと言えるでしょう。半日有給制度導入による会社側のメリットを事前に十分に整理し、交渉で説明していくことが重要となります。』

Episode2:動き出した組合員たち・・・労使協定作成へ

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『あの社長、意外と半日有給について理解を示したわね。』

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『半日有給のメリットは、私たちだけじゃなく会社にもメリットはあるので、導入については良い機会だと思ったのでしょう。』

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『たつのさん、川原さん、これが労使協定の内容を示したサンプルです。このように、書面で定めるのは、(1)時間単位年休の対象となる労働者の範囲(2)時間単位年休の日数(※5日の範囲内)(3)時間単位年休の1日の時間数(4)1時間以外の時間を単位として年休を与える場合にはその時間数」です・・・』

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『ああああああ!そういう細かい作業は私には向かないわ。ここはみずきさんの弁護士スキルの任せるわ!成立したら教えて頂戴な』

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『・・・・・・頑張ります。』

平成20年の労働基準法改正~「時間単位の年休」制度

 平成20年の労働基準法改正によって、「時間単位の年休」制度が作られました。

 それ以前まで行政通達にて、時間単位での有給休暇については、労使の合意があれば認めても構わないという形をとってきました(前掲【昭和63年・3・14基発150号】)。しかし現実のニーズに合わせ、改正に伴い新たな制度として確立されました。

労使協定の作成方法

 時間単位年休を実施するためには、社内で労使協定を結ばなければなりません。そして以下の事項について書面にて取り決めを行います。

  • 時間単位年休の対象となる労働者の範囲
  • 時間単位年休の日数(※5日の範囲内)
  • 時間単位年休の1日の時間数
  • 1時間以外の時間を単位として年休を与える場合にはその時間数

 作成した労使協定は、行政官庁への届け出は不要で、社内で従業員に周知しておき保管しておけばよい、と定められています。下に労使協定の一例を紹介します。

時間単位年休を実施するための、社内で労使協定の書面の記載例
労使協定における書面の記載例

会社経営陣との交渉方法

 会社側との交渉となると、団体交渉という方法をとることが思いつきます。時間単位の年休制度の導入に関する交渉においては、もう少しソフトな方法で臨むことをおすすめします。

 時間単位の年休制度の導入交渉は、不利益変更や不当解雇に関わる団体交渉に比べて、有効的な提案ができる交渉となります。時間単位で有給休暇が取得できるようになれば、労働者も申請がしやくすくなり、経営者も有給休暇に好意的に応じやすくなるため、双方にメリットがあるのです。

 よって交渉に臨む前に、経営者とのオフレコの話し合いの中で時間単位の年休制度新設の希望を伝え、友好的な雰囲気の中で交渉を持ち掛けるのです。交渉の場では、事前に整理した会社側のメリットを丁寧に説明し、制度導入に際しての会社側の要望にできる限り応えていくようにします。

 時間単位の年休取得では、事務手続きが複雑化する可能性もあるため、最初は半日単位での有給休暇制度新設要求から始めるとよいでしょう。制度の発足後、社内における不具合などを見つつ、より細かい時間での取得制度を設けるか否かを判断していきます。

有給休暇の「付与単位」「半日有給」について、問題となる実例をもとに解説

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『多くの職場で行われている有給休暇の半日取得。実は労働者が希望しても会社側が認めなければ認められないのです。しかし半日単位での取得は労働者・会社側にとってメリットもあるため、多くの会社で認められているのが現状です。私が受けた半日取得にまつわる相談の中で、たびたび質問されるものをここで皆さんに紹介しましょう。キーワードは「労使双方の合意」です。』

具体例その1:半日勤務の日に取得した有給休暇の取り扱い(消える有給休暇日数)

 人によっては、曜日によって勤務時間の長さが異なる場合があります。そのような場合、有給休暇はどのような単位で付与されるのでしょうか?

 例えば、病院に勤める医療事務の方を例にとりましょう。A医院の医療事務スタッフは、月火水金は8時間勤務、木土は半日勤務であったします。

 この場合、半日勤務の木曜日に有給休暇をとっても、半日消化ではなく一日消化となるのが原則ですし、多くの事業場でそのような扱いとなります。

具体例その2:使用者からの半日取得請求と、労働者からの半日取得請求はどうなるのか?

 有給休暇の付与単位は「一日単位」が原則であることから、労働者が半日の休暇取得を願い出ても、会社側はこれに応じる義務はありません。よって会社に拒否されれば、有給休暇の半日だけの使用はできなくなり、一日単位で申請するか、申請自体を断念しなければなりません。

 逆に、労働者が一日単位で休暇を申請したのに、会社側が半日しか与えないことはどうでしょうか?これも原則通り、会社は半日単位で与えることはできず、時季変更権を行使するか休暇を付与することとになります。

 互いの例においても、半日の年休とすることに労使双方の同意があれば問題なく半日の年休とすることができます。

具体例その3:労働基準法に定められている法定付与数を上回る分の年休に対しても、「一日単位付与」の原則は適用されるか?

 法定日数を上回る分の年休については、どのように与えても問題ありません。

 「一日単位付与」の原則が適用されるのは労働基準法にて定められた日数分についてだけです。法定日数を超えた分の年休は、いわば会社の恩恵的な福利厚生分として与えられる性質のものであり、その分にまで法の拘束力は及びません。

 法定日数分が原則通り保障されれば、その分で年次有給休暇制度のねらいは実現されるのであり、それを上回る分にまで原則を及ぼす必要がないからです。

『「あんしん労働組合」代表たつの』のまとめ 特別講師のまとめ

  • 有給休暇を取る時の単位は、「一日」が原則
  • 会社経営者の同意があれば、「一日」より短い単位で取ることができる。実際の職場では多い。(例)半日
  • 平成20年の労働基準法改正によって「時間単位」で有給休暇を取ることができるようになった。
  • 時間単位年休を実施するためには、社内で労使協定を結ぶ。官庁への届け出は不要。

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