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有給休暇の付与単位~「原則」と「時間単位年休」

有給休暇の付与単位について説明するページです。

付与単位の「原則」と「例外」、そして新たに法改正で創設された「時間単位年休」の内容を説明していきます。

法改正で新たに設けられた「時間単位年休」は、労働組合等と、書面にて労使協定を結ばないと実施できないことになっています。手続きについては、意外と面倒だとも言えるでしょう。

このページでは、労働組合を実際に運営しておられる方のためにも、労使協定の書面の記載例も説明していきたいと思います。

「時間単位年休」が社内で機能しはじめると、子育てや介護をしておられる労働者にとってメリットにもなります。このページで、新たな可能性の向けての知識を見ていきましょう。

年次有給休暇の付与単位の「原則」と「例外」を知る

原則は「一日単位」

 有給休暇は、原則として一日単位で与えられることになっています。

 年次有給休暇の趣旨(ねらい・目的)とはどのようものでしょうか?。それは、「ある一定量のまとまった休暇を給料が支払われる状態で与えることによって、労働者が安心して休養とリフレッシュに時間を費やし、その結果新たな労働活力を生み出すことができる」という内容です。

 この趣旨に基づけば、休暇単位はなるべくまとまっていた方がいい、ということになります。そこで労働基準法制定以来、年次有給休暇の付与単位は一日単位だとされてきたのです。

 しかし、働く人の割合の中で女性労働者の比率が高まったりする等の様々な変化が出ることによって要望も多様になり、その結果「一日単位付与に対する例外」が考えれられるようになってきました。

例外~実際の職場では一日単位よりも小さい単位で有給休暇が付与されている

 労働者が家庭や地域の行事、病院への通院などで休む場合、一日の有給休暇では長すぎると感じる時もあるでしょう。また使用者としても、有給休暇を一日単位よりもっと小さな単位で取っていただくことを、業務の運営上望んでいるかもしれません。

 実際の職場では、双方のニーズにこたえる形で、労働基準法における有給休暇の趣旨とは違った、一日単位よりももっと小さな単位での休暇の付与が行われています。

 「一日」という単位を下回る形での有給休暇の付与が行われているこの現状は、労働基準法違反とならないのでしょうか?

 労働にかかわる行政官庁・司法では、一日よりも小さい単位での有給休暇の付与は、労働者が一日よりも小さい単位での休暇の取得を希望して時季を指定し、それに使用者が同意している限りは問題ないとしています【昭和63年・3・14基発150号】。一日よりも小さい単位での有給休暇の付与が認められることは有給休暇の取得率の向上につながる、と考えたのですね。

 さてこのような様々な現状を踏まえ、平成20年の労働基準法改正によって、次で説明する「時間単位年休」の制度がつくられました。

新たに創設された「時間単位年休」の制度とはどんなもの?

 平成20年の労働基準法改正によって、「時間単位の年休」制度が作られました。

 それ以前まで行政通達にて、時間単位での有給休暇については、労使の合意があれば認めても構わないという形をとってきました(前掲【昭和63年・3・14基発150号】)。しかし現実のニーズに合わせ、改正に伴い新たな制度として確立されました。

 時間単位年休を実施するためには、社内で労使協定を結ばなければなりません。そして以下の事項について書面にて取り決めを行います。

  • 時間単位年休の対象となる労働者の範囲
  • 時間単位年休の日数(※5日の範囲内)
  • 時間単位年休の1日の時間数
  • 1時間以外の時間を単位として年休を与える場合にはその時間数

 作成した労使協定は、行政官庁への届け出は不要で、社内で従業員に周知しておき保管しておけばよい、と定められています。下に労使協定の一例を紹介します。

時間単位年休を実施するための、社内で労使協定の書面の記載例
労使協定における書面の記載例

有給休暇の「付与単位」について、具体例をもとに考える

具体例その1:半日勤務の日に取得した有給休暇の取り扱い

 人によっては、曜日によって勤務時間の長さが異なる場合があります。そのような場合、有給休暇はどのような単位で付与されるのでしょうか?

 例えば、病院に勤める医療事務の方を例にとりましょう。A医院の医療事務スタッフは、月火水金は8時間勤務、木土は半日勤務であったします。

 この場合、半日勤務の木曜日に有給休暇をとっても、半日消化ではなく一日消化となるのが原則ですし、多くの事業場でそのような扱いとなります。しかし半日勤務の曜日に2回有給休暇をとることで有給休暇一日分消費、という取扱いを会社がしても問題ありません。なぜなら、そのようにするならば法の要求する条件を超えた休暇付与となり、労働者にとって有利だからです。

具体例その2:使用者からの半日取得請求と、労働者からの半日取得請求はどうなるのか?

 有給休暇の付与単位は「一日単位」が原則であることから、労働者が半日の休暇取得を願い出ても、会社側はこれに応じる義務はありません。よって会社に拒否されれば、有給休暇の半日だけの使用はできなくなり、一日単位で申請するか、申請自体を断念しなければなりません。

 逆に、労働者が一日単位で休暇を申請したのに、会社側が半日しか与えないことはどうでしょうか?これも原則通り、会社は半日単位で与えることはできず、時季変更権を行使するか休暇を付与することとになります。

 互いの例においても、半日の年休とすることに労使双方の同意があれば問題なく半日の年休とすることができます。

具体例その3:労働基準法に定められている法定付与数を上回る分の年休に対しても、「一日単位付与」の原則は適用されるか?

 法定日数を上回る分の年休については、どのように与えても問題ありません。

 「一日単位付与」の原則が適用されるのは、法で定められた日数分についてだけです。法定日数を超えた分の年休は、いわば会社の恩恵的な福利厚生分として与えられる性質のものであり、その分にまで法の拘束力は及びません。

 法定日数分が原則通り保障されれば、その分で年次有給休暇制度のねらいは実現されるのであり、それを上回る分にまで原則を及ぼす必要がないからです。

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