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不当解雇と戦う方法!懲戒解雇を撤回させるための実戦術

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懲戒解雇は、労働者にとって実に不利益な措置だと言えます。特に、退職金が大義名分のもとに大幅に減額されることは、受け入れがたい不利益の最たるものでしょう。

ちまたで行われている懲戒解雇は、経営者の胸三寸で行われるなど、その妥当性に問題のあるものが多いのです。中には、平素から気に入らない従業員に退職金を支払いたくないがために行われる、きわめて不当な懲戒解雇も存在します。

しかし不当解雇を撤回させるのに、労働基準監督署の力はほぼアテになりません。解雇無効を勝ち取るためには、裁判等の司法手続きを利用しなければならないのです。しかし解雇され、明日の生活をも知れぬ労働者に、決して安くない弁護士依頼料を払うことは難しいことがほとんどです。

このページでは、不当解雇を争いたいが弁護士に依頼する余裕がない労働者の皆さんが、その状況下で「採るべき行動」を知ることができるために、管理人や先輩諸氏の経験をもとに、具体的な戦い方を詳しく解説していきます。

解雇無効を勝ち取るにしろそうでないにしろ、当ページが皆さんの次へのステップへ進むことになるきっかけとなっていただければ幸いです。

序章:懲戒解雇された場合の具体的な戦い方の「流れ」を知ろう

 まずは、懲戒解雇における戦い方の流れを大まかに流れに沿って見ていきましょう。

 各ステップのより詳しい内容は、各ステップの詳細を参考にしてください。最初に流れを知っておくことは、未来の大まかな予測を立てるのに役立つでしょう。

懲戒解雇との戦いの大まかな流れを示す図
懲戒解雇との戦いの大まかな流れ

STEP1:自分だけでできる準備にとりかかる

 まず自分だけでできる準備に取り掛かりましょう。その準備とは、以下のものです。

  • 自分がどうしたいかを決める
  • 家族と話し合う
  • 経済的なメドを立てる
  • 証拠に成り得るものが、どのくらい手元にあるかを把握する

 意外とすぐに終わりそうな準備ですが、実はこの準備こそが、最も重要だと思います。懲戒解雇をされた以上、ゆっくりとのんびりと戦う時間的な余裕はありません。目指すべき方向性をしっかりと決め、少ない資金を有効に活かしなるべく減らさないようにして、戦いへの備えを行います。

STEP2:同僚らへの根回し作業をし、復職後を見据える

 解雇の戦いの終着点が、解雇の撤回と復職である以上、復職後の対策を講じておきます。ここでできる作業とは、同僚らへの根回し作業です。

 解雇の撤回をさせて職場に戻った以上は、高い確率で使用者側からの嫌がらせや孤立が待ち受けています。嫌がらせによる精神的苦痛を最小限に抑え、かつ、真に孤立しないためにも、事前に同僚らへの協力を要請しておきます。その要請とは、表立ったものではありません。心の中で理解していてほしい、という要請です。これならば、協力を得やすくなります。

STEP3:会社に宣戦布告し、会社側に存在する証拠の取集にとりかかる

 解雇訴訟における証拠には、会社側に請求しなければ手にすることができないものがあります。これらの証拠を得るためには、宣戦布告は避けられません。

 宣戦布告、といってもおおげさなものでもなく、例えば、会社側に「解雇理由証明書」を請求するだけでも、会社側にこちらが解雇を争う意思は十分伝わるため、宣戦布告となるでしょう。

STEP4:会社と話し合いの場を持ち、懲戒解雇の撤回を求める

 まずは話し合いの場を持ちます。あなたが最初に決めた目的を達成するために、会社と話し合いをします。

 しかし会社にとって、懲戒解雇の通知を出した時点で、この問題は「解決済み」です。多くの場合、こちらの要求は一切認められず話し合いは決裂するでしょう。話し合いは、こちら側の疑問点の追及と、会社側がしなければならない行為への請求がメインとなります。

STEP5:民事調停を利用して、話し合いによる解決を図る

 労働者と会社側だけの話し合いでは、多くの場合で、まともな話し合いはできないでしょう。話し合いの場すら拒否される可能性があります。そこで、民事調停を利用して、第三者に入ってもらいながら、こちらの要求実現を求めていきます。

 調停が話し合いによる和解の場である以上、労働者側もそれなりの譲歩を求められます。多くの場合で、解雇には応じるが、懲戒解雇の撤回と、退職金の正当な支払いをもって解決するケースが多いようです。

 調停で会社側に譲歩をさせるためにも、証拠が労働者側にあることは重要です。

STEP6:労働審判を利用して、迅速な司法判断で決着をつける

 話し合いや調停が紛糾した以上、もはや司法手続きによる判断を求めるしかありません。労働基準監督署は解雇無効の判断などしてくれません。

 解雇無効を通常の民事訴訟手続きで争う場合、解決に多くの時間を要します。しかし労働審判であれば、審理は最大3回までであり、はるかに時間短縮を図ることができます。労働審判まで行うことで、戦いに区切りをつけることができた労働者の方も多くいらっしゃいました。

STEP7:労働訴訟を起こし、腰を据えてじっくりと戦う

 審理が難解な解雇事件については、労働審判よりも最初から民事訴訟を起こした方がいいでしょう。時間はかかりますが、あなた自身の主張を存分にすることができます。

 しかし民事訴訟を行っていく過程では、幾度も会社側の身勝手な主張にさらされ続けることになるため、復職を目指して戦っている人も、復職への気持ちが完全に冷めてしまうこともあるようです。

STEP1:自分だけでできる準備にとりかかる

最終目的の設定~復職か転職か

大まかな目的は、あなたの心のままに

 この戦いでどの結果を目指すか?それだけは決めておいた方がいいでしょう。じっくりと腰を据えて、ダメなら次の手段で・・・などと言っている時間的な余裕は、あまりありません。

 具体的で確定的な最終目的は、家族と話し合い、経済的なメドを立て、手持ちの証拠を確認したうえで設定すればいいでしょう。

最終目的の設定過程を示す図
目的は修正を経て完成される

 おおまかな最終目的は、自分に合ったもの、自分ができそうなものの方がいいでしょう。復職するにしろ、転職するにしろ、それぞれの先で状況が変わることによる苦労が待っていることは間違いありません。苦労をするのはあなた自身なので、あなた自身がよく考えたうえで決断した末でなければ、その苦労に必要以上に嫌気を感じてしまいます。

 己の中に、確固たる信念・行動指針を持っているような方は、それと照らし合わせ、進むべき方向性を決めてもいいでしょう。

 このサイトでたびたび言っているのですが、あなたの心が決めた目的を修正することができるのは、大切な家族の意見だけだと思います。家族は、あなたの決断の影響を最も受ける立場です。紛争において、会社の同僚らは各々勝手なことを言いますが、彼らの意見は参考程度のものだと考えておきましょう。

最終目的は、戦いの過程で変わる可能性もある

 戦いに突入し、会社と交渉し、もしくは裁判等に及ぶにつれて、幾度となく会社の身勝手で理不尽な主張にさらされることになります。復職を最終目的に設定した方であっても、その意欲がなくなってしまう場合も考えられます。

 すべての方がそうなるわけではありませんが、事前に目的が変更される可能性を考えておくことは、決して無駄なことにはならないでしょう。懲戒解雇の場合、会社側は労働者の復職にかなりの難色を示します。その点を逆手に取り、違う解決方法も考えておくのです。

 具体的に言いますと、「復職」を最終目的にされた方は、「戦いの過程における和解によって、最低限の要求を認めさせて撤退する」の選択肢を持っておくことを勧めます。

家族と話し合う

 不当な懲戒解雇と戦うにあたって、家族の意見は大変重要です。懲戒解雇によって受ける不利益は、家族に直接的な影響を与えるからです。

 労働者の再就職に大きな不安を残す・退職金が大幅に減額される、など、受ける不利益は、家計に深刻な影響を与えるものばかりです。家族(もっぱら配偶者)には、懲戒解雇によって現実に受けた不利益を説明し、あなたの意向を伝えたうえで、どうしたいかの希望を聞きましょう。

 不当な扱いをされたことに対し、積極的に戦うべきだと主張する家族もいます。片や、不当な解雇をするような会社ではなく、もっと誠実な会社に勤め直してほしい、と主張する家族もいるでしょう。

 戦いにおける最終目的を決めるのはあなたですが、自身が実現可能な目的の中で、家族の意見は大いに参考にしてください。そして、理解を得てほしいのです。辛いことが多い紛争期間中、心の支えは家族です。その家族から理解を得られないまま戦いに入ってしまうと、高い確率で挫折してしまいます。

 家族の理解を得る方法として、「戦いの期間を限定すること」・「経済的なメドを具体的に立て、それを目に見える形にして丁寧に説明すること」の2つをしっかりと行うと、家族の不安が解消され、賛同を得られやすくなります。

経済的なメドを立てる

 会社に復職することを目指していても、解雇無効を勝ち取るまでは無収入の状態が続きます。給料が定期的に入ってこなくなると、途端に生活に対する不安が募ります。会社を退職すると、様々な方向から予想外の出費がかかるようになるからです。

 そこで不安を解消するためにも、これからどのような出費が待っているのか、把握する作業に取り組みます。そして、収入の予定も把握し、現状でいくら貯蓄を食いつぶすことになるのか、具体的に調べます。

 エクセル等の表計算ソフトを利用して、この先1年分くらいの家計の試算を行います。下のように、銀行通帳形式で簡潔に作成するだけで十分です。凝る必要は全くありません。

収入と出費を把握するための図
収入と出費の把握は簡潔に具体的に

 日にちが立つにつれ、出費と収入がいくらか分かるようになってきます。分かったら、図にどんどん書き込んでいきましょう。

 より詳しい経済的なメドの把握方法については、戦いの期間を支える経済的な見通しを推し量る を参考にしてください。

証拠に成り得るものが、どのくらい手元にあるかを把握する

 会社に宣戦布告をする前に、今あなたの手元にあるモノの中で、裁判になった時に証拠として活用できるものはどれかを把握しましょう。

 この時点で手元にある、ということは、その証拠は確実に利用できる、ということになります。懲戒解雇を争う場合に考えられる証拠とは、以下のものが考えられます。

  • 解雇通知書
  • 解雇理由証明書(退職時等証明書)
  • 雇用契約書
  • 就業規則
  • 賃金規程
  • 給料明細書
  • 会話の音声データと反訳書
  • 会社が発行した書面・メール・日記

 懲戒解雇を書面で言い渡された場合は、その書面が証拠となります。多くの場合、「解雇通知書」とか「辞令」の名前で手渡されているでしょう。

 「雇用契約書」は、入社した時にもらっていることが多いのですが、意外と多くの労働者の方が紛失しています。「給料明細書」は、毎月もらうものなので、手元にある場合が多いでしょう。

 解雇をされた以上は、以後会社から渡される書面は、一つも例外もなく、すべてを保管しておきましょう。メールであっても同様です。

 必要な証拠の詳細と、証拠の獲得方法については、ブラック企業に不当に「懲戒解雇」された場合に必要な証拠 を参考にしてください。

STEP2:同僚・上司への根回し作業をしておく

紛争発生前から親しくしていた同僚らへの根回し作業

 解雇無効の戦いをする以上、無効を勝ち取った後の復職に備え、戻る場所を確保しておきます。それには、あなたが紛争発生前から親しくしていた同僚・上司の支えが必要となります。

 懲戒解雇をされた以上、会社はあなたが復職することにかなりの抵抗を示すはずです。解雇無効となって復職したら、何らかの嫌がらせをしてくるかもしれません。当然にこれらの嫌がらせは違法ですが、それを全く止めさせるのは至難の業です。そこで、嫌がらせがあっても、それが復職した労働者にダメージを与えさせない状況を作っておくのです。

 まず、親しくしていた同僚や上司に、協力を依頼します。ただ、表立っての協力を要請するのは、彼らの平穏な就業環境を乱すことになるので、会社の目の届かない所や心の中での協力を依頼するのです。表立った協力の要請は同僚らを悩ませ苦しめますが、密かな協力の要請であれば、彼らも応じてくれやすくなるでしょう。

 以前、復職した労働者を追い詰め退職させるために、直属の上司に命じて仕事を与えず、同僚に命じて無視させるという嫌がらせを行った会社がありました。しかし復職した労働者は、事前に複数の上司や同僚らに、心の中での協力要請をしておいたので、表面上無視をされてもそれは双方承知の上での芝居であったから精神的なダメージも受けることがなく、しぶとく居続けることに成功しました。

心ない上司や同僚に対しては対策をしないが、復職後の嫌がらせ時に法を盾に毅然とした対応をする

 残念なことに、あなたの戦いについて、否定的な態度で臨んでくる上司や同僚も、高い確率で存在します。そのような人間に対しては、どのような対策を講じておけばいいのでしょうか?

 戦いに臨むにあたっては、そのような人間はあえて放っておきます。戦いの前に、彼らの身勝手で不愉快な意見を聴くことは、あなたの戦意に悪い影響しか与えないからです。

 復職後、彼らがあなたに対して心ない意見や嫌がらせをしてきたら、その時は一切遠慮することなく、毅然と対応しましょう。そのような輩は、立場が弱くて何も言えないと思っている人間にしか、己の勝手な意見を言うことができない意気地なしです。解雇無効を勝ち取るための激しい戦いをしてきたあなたの毅然とした態度に直面したら、その場では反論してきたとしても、次からは何もできません。

STEP3:宣戦布告・会社と話し合いの場を持つ

 根回し作業を終えたら、いよいよ会社に対して戦う意思を表明します。宣戦布告ですね。

 宣戦布告は、解雇に対する抗議を示したうえでの面談の希望、解雇理由証明書の発行要求などによって行われます。労働法を少しでも知っている経営者・人事担当者であれば、これらの要求が、解雇無効の戦いを前提にした要求であることが分かります。

 まず、担当者に面談を希望しましょう。担当者に疑問点を質問し、反訳データとして録音するためです。以下の質問をします。

  • 「就業規則の懲戒解雇のどの条項に該当しているのか?」
  • 「私のどの行為が該当行為だったのか?その行為をしたのはいつか?」
  • 「誰が、今回の解雇理由を判断し、解雇だと言っているのか?
  • 「その解雇理由が確かにあったか否かの確認は取れているのか?」
  • 「(就業規則が周知されていなかった場合)なぜ就業規則が周知されていなかったのか?」
  • 「(就業規則が作成されていない場合)なぜ就業規則が作成されてなかったのですか?」

 面談内容を詳細なメモに記載。その場で担当者から、脅しとも取りうる文言で、解雇に対する同意を求められることもありますが、同意と取られる可能性のある発言は一切しないことです。当然、退職届の提出もしません。

 質問後、面談を終える時に以下の書面を求める。

  • 解雇理由証明書(退職時等証明書)
  • 雇用契約書(労働条件通知書)
  • 就業規則
  • 賃金規程

 面談後、面談内容を文字起こし(反訳)します。反訳作業については、以下のページを参考にしてください。

STEP4:証拠集めをする

 面談中に、STEP3で挙げた書面を請求する、と書きましたが、その請求に素直に応じてくれないことも多々あります。いや、むしろ面談中にした請求は、多くの場合無視されてしまいます。

 そこで、内容証明郵便を使い、会社に対して書面を請求します。とりあえず、上記の書面全部を請求しましょう。

解雇理由証明書(退職時等証明書)

 解雇される日まで時間がある場合は、解雇理由証明書を請求します。即日解雇の場合は、退職時証明書を請求します。退職時証明書を請求する場合は、解雇の理由の記載を求めましょう。

 両書面とも、解雇の理由について、就業規則の懲戒解雇規程の何条に該当しているか、そして該当した事実の詳細な経緯を記載する必要があります。もし会社側が詳細な記載のない証明書を渡して来たら、即時に抗議のうえ、再度請求します。

 詳細に記載があってもその内容が事実に反する場合は、その内容をもとに話し合いや調停・裁判において主張・反論していくことになります。

雇用契約書(労働条件通知書)

 手元に雇用契約書もしくは労働条件通知書がある方は、もちろん請求しなくてもよいでしょう。そこに書かれた労働条件が実際と違っていても、今はそのままにしておきましょう。後日の反論の際の資料・証拠として使います。

 最近は非正規雇用労働者が増え、こまめに雇用契約書を交わしてるケースが多くなっています。非正規雇用労働者であっても、「雇止め」ではなく「解雇」問題として争うことができるケースもあります。よって、正社員でなくとも、雇用契約書は保管しておきましょう。

 「雇用契約書」の労働者への交付は、法律で義務付けられていません。しかし労働時間や賃金など一定の重要な労働条件を書面で明示することは義務づけられています(労働基準法第15条第1項)。15条を根拠に、使用者に労働条件を記載した書面(労働条件通知書)を請求します。

就業規則・賃金規程

 法を守る意識の低いブラック企業は、従業員に対して就業規則等の社内規程を見せることを嫌がります。

 ましてや、懲戒解雇問題で争うこととなった従業員に対して、そのようなものをすんなりと見せることはまずないでしょう。そこで、法を盾に開示請求をします。

 あなたが退職する前と後では、開示請求をする場所に違いがあります。以下で説明しましょう。

退職する前の場合

 あなたがまだ会社に籍を置いている場合は、労働基準法第106条を根拠に、会社に就業規則・賃金規程の閲覧を求めることができます。

 106条は「就業規則は常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、 又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。」 と規定しています。よって、労働者が開示請求した場合に会社が拒否することは106条違反となってしまうのです。

 あなたが在籍している場合は、内容証明郵便に「就業規則・賃金規程を開示せよ」との文を盛り込みます。

退職させられてしまった後の場合

 解雇されてしまった後に会社に就業規則の閲覧を求めても、会社には応じる義務がないため、拒否されてしまうでしょう。もし拒否された場合は、会社所在地を管轄する労働基準監督署に、就業祖規則の開示請求を行います。以下の通達を見てください。

 「開示を行う対象者は、当該届出事業場に所属する労働者(労働基準法第9条に該当する者)及び使用者(同法第10条に該当する者)のほか、当該届出事業場を退職した者であって、当該事業場との間で権利義務関係に争い等を有しているものであること。」【基発第354号 平成13・4・10】

 解雇に異議を唱え、会社と争うあなたは、「当該事業場との間で権利義務関係に争い等を有しているもの」に該当します。争いの状態になっていることを証明する書面を求められるでしょうが、会社に対する内容証明郵便・調停申立書・労働審判手続申立書の控えを提出しましょう。

 請求する際は、在職中就業規則を閲覧できる環境になかったことを主張しましょう。閲覧できる内容は、会社と争いがある点に関する事項に限定されます。

STEP5:「民事調停」で早期解決を図る

 「調停」とは、裁判所において二人の調停委員に間に入ってもらい行われる「話し合い」です。STEP3でも話し合いを行いましたが、それは会社と個人的に話し合っただけのことです。

 調停の場において合意した内容は、法律上の強制力を持ちます(義務を負った者が義務を果たさない場合は、強制執行ができる)。個人的な話し合いおいては、そこで合意した約束事は、公正証書に示して合意内容を残しておかない限り確実な強制力を持ちません。

 労働に関しては、調停をまず行わなければならない、という決まりもないため、いきなり労働審判や民事訴訟を起こすことができます。しかし調停手続きを選ぶことにはメリットもたくさんあります。以下の考えをもっておられる方は、民事調停手続きを試してみる価値はあると思います。

  • 最低限懲戒解雇だけは撤回してもらいたいと思っている方
  • 懲戒解雇撤回で退職金を普通にもらえればよいと思っている方
  • 労働審判・裁判までしたくない方
  • 争いを小コストで、かつ早く終わらせたい方

 会社の所在地を管轄する簡易裁判所に出向き、「調停申立書」をもらってきます。そこに必要事項を記入し提出します。会社側への金銭請求額に応じて、手数料も変わってきます。手数料は、収入印紙を郵便局にて購入し裁判所に提出することで支払ったことになります。そして、呼び出し期日の通知を待ちます。

 例えば、あなたが懲戒解雇された場合に、以下の「給料支払調停」によって退職金を請求したとします。つまり、解雇は受け入れるが、懲戒解雇の撤回と退職金の支払いを求める姿勢を示すのです。調停は強制ではないため会社側が出席するかどうかは不透明ですが、復職にこだわってないあなたの姿勢を見たら、会社側も態度を少しは軟化させ呼び出し期日に出席するかもしれません。

 調停は、あくまで双方に譲歩をする姿勢が求められるため、それがどうしても納得できない方は、調停をすることは避けた方が良いでしょう。また、会社側の経営者に譲歩の姿勢がまったく見られず、争う気満々な場合も、無駄に終わることが多いでしょう。これらのような場合は、最初から労働審判・民事訴訟で争った方が良いと思います。

 労働審判については他ページで後述しますが、労働審判においては、3回ある期日において調停が粘り強く行われます。そして3回で調停が成立しない場合、審判が言い渡されます。よって、民事調停における互いの譲歩が絶望的だが、時間のかかる訴訟まではしたくない方は、最初から労働審判をすることを勧めます。

 以下の申立書は、「給料支払調停」の申立書です。懲戒解雇を撤回させ、もらうべきもの(賞与・退職金・未払い賃金・解雇予告手当)をもらって退職することで紛争を終わらせようと考えている方には最適だと思います。

調停申立書の1枚目
給料支払調停の申立書と記載例(1枚目)

調停申立書の2枚目
給料支払調停の申立書と記載例(2枚目)

 調停をするにあたり、会社の所在地を記載するうえで、商業登記簿が必要となります。商業登記簿については,会社の所在地を管轄する登記所(法務局)にて、所定の手数料を支払えばもらうことができます。謄本でも抄本でもかまいません。

 この段階に至っては、証拠収集作業にて集めた証拠を積極的に出していきましょう。この戦いを早く終わらせたければ、なおのこと証拠を出して、それを絡めて主張していくことです。そのようにすれば、調停員はあなたの有利さを理解し、会社側に対して歩み寄りをすることを勧めてくれるでしょう。

STEP6:通常の労働訴訟よりも迅速な「労働審判」で戦う

 STEP3における話し合いで、使用者の対応が極めて好戦的で戦う気満々の場合、民事調停を解決の手段として選ぶのは適切ではないかもしれません。

 このような場合は、「調停」と「審判」がセットとなっており、かつ、高い解決率を誇る「労働審判」を利用するのもいいでしょう。

 労働審判においては、申立件数の半数近くを、地位確認請求(解雇の無効を争う場合の請求)が占めており、懲戒解雇の無効を争う場合に実績の高い手続きだと考えられます。また、労働審判過程において調停が成立した件数は、申立件数中7割に及び、労働審判における調停の試みが有効であることを示しています。

 労働審判は、原則、裁判期日(裁判のある日)が3回までであり、その3回で調停が試みられ、調停が成立しない場合、審判が下されます。よって、あまりに複雑な争いとなりそうな事例については、最初から民事訴訟を起こす方が良いでしょう。

 東京地裁は、「争点が複雑である事件、膨大又は緻密な立証を要求される事件」は適さないと考えております。東京地裁が具体的に考えている事件の種類は以下の通りです。

  • 整理解雇
  • 差別的取扱い
  • 就業規則の不利益変更
  • 労災等に関する紛争
  • 日々の時間外労働時間等に争いがあり、細かい点まで争う必要のある時間外手当の請求

 懲戒解雇の無効を争うための地位確認の審判請求については、解雇された対象者が多くの場合申立て人一人だけであるため、整理解雇のような複数の人間が対象となる事件と違い、審判に適していると考えられているのでしょう。

 労働審判は、3回しか期日がなく、かつ一回目の期日に争点整理と事実関係の確認が行われる密度の高い手続きのため、代理人(弁護士)に依頼した方が良いとされています。

 しかし、解雇され、明日をも知れる状態となり生活費に大きな不安を抱えている労働者が、弁護士に20万以上ものお金を支払うことは現実的に難しいでしょう。よって、労働審判の書式を参考にしつつ、自分自身で「労働審判手続申立書」を作成し、提出することになります。

 通常の民事訴訟においては、口頭よりも書面による戦いがメインとなりますが、労働審判は、期日に口頭で質問に答える回数が高くなります。争点の整理が終ると、審判官・審判員・相手方弁護士からの尋問を受けることになります。

 口頭でのやり取りがどうしても苦手で、かつ短期決戦にこだわってない方は、最初から民事訴訟を起こすこともいいでしょう。しかし通常の民事訴訟においても、本人尋問においては口頭でのやり取りがあり、全く口頭でのやり取りが無いわけではありません。

STEP7:「民事訴訟」を起こし、徹底的に戦う

 労働審判において、第1回~第3回期日で調停が成立せず審判が下された場合、そのうちの半数以上が異議申し立てとなり訴訟へと移行しています。

 よって、労働審判を選択した人でも、民事訴訟に移行する心の準備はしておいた方がいいと考えられます。労働審判手続申立書は、そのまま民事訴訟における訴状として取り扱われます。一部の裁判所では、民事訴訟の第一回口頭弁論期日までに、労働審判の審理を踏まえたより詳細な準備書面(自身の主張や、相手方への反論を書いた書面)が求められるようです。

 人によっては、口頭でのやり取りがメインとなる労働審判を嫌って、書面による戦いがメインの民事訴訟を選ぶ方もたくさんいます。時間的な余裕がある方(解雇の戦いの期間中、アルバイト等で生活が維持できる人等)は、民事訴訟でじっくりと戦うのも一つの手段でしょう。

 書面での戦いがメインとなるため、裁判において提出が求められる書面の書式(書き方)は、書式本を参考にした方がいいでしょう。そこに掲載されている参考例をもとに、自分の事件にアレンジして書面を作成していった方が、はるかに楽です。その方が、裁判官からのツッコミも少なくなります。

 書式本としては以下の三冊が特におすすめです。

 「労働事件審理ノート」は、現職の裁判官が執筆した、訴状の書き方を詳しく書いた定番本です。解説の部分は少し難しいですが、自分で訴訟をするならば、あなたの事件と関連のある部分(このページを見ている方であれば、「序章」と「地位確認等請求事件」の部分)を読んでおくことを勧めます。

 「本人訴訟」は、弁護士ではなく社会保険労務士の方が書いた本ですが、本人訴訟系の本の中では、もっともわかりやすく、具体的です。相手方の主張に対する否認の仕方なども易しく解説されてます。定番本の「労働法」は、上記両書の参考書・辞書として使用するとよいでしょう。

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