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録音した音声は文字起こし(反訳)してこそ証拠となる!

反訳書のアイキャッチ画像

ブラック企業との戦いにおいて、相手の音声を録音することは事件の種類によってはとても有効な手段です。音声データは、それだけでも証拠となりますが、現実的にはそうではありません。

首尾よく録音できたとしても、音声データをそのまま持っていては、戦いの場で有効に活用できないからです。音声データを、交渉や調停・裁判の場で最大限に活かすための処理が必要となってくるのです。

その処理とは、「文字起こし」です。もしくは「反訳(はんやく)」ともいいます。音声データは、「文字起こし」をしてこそ、初めて証拠として裁判等の戦いの場で提出し、活用することが可能となります(※反訳書の作り方は、ボイスレコーダーで録音した音声の文字起こし(反訳)講座 参照)。

ブラック企業との戦いで相手方の声を録音して証拠にしようとしているならば、このページで「文字起こし」の知識を頭に入れておきましょう。

録音した音声を有効に証拠として活用するには、まず「文字起こし」から

音声証拠は文字起こししないと、裁判や相談の場で相手にしてもらえない

 ボイスレコーダーで録音した音声は、数ある証拠の種類の一つに入ります。そして録音は「書証(文章として提出される証拠)」に分類されます。

 音声なのに書証?と思われる方もいらっしゃるでしょう。録音した音声は、音声を聞き取り、それを書面に書き写して裁判所に提出しなければならないので、書証になるのです。

 録音した音声をそのまま裁判所に提出しても、まず裁判官は聞いてはくれません。きっと提出後初めての口頭弁論期日(提出後はじめて法廷に出席する日)に、裁判官に「反訳書を作ってきてください」と注文されることでしょう。

 また、弁護士やその他の相談機関に相談するときも、文字起こしをすることが欠かせません。弁護士も多忙で、文字起こしをされていない音声証拠など、聴いている時間がないからです。相談者自身が事前に文字起こしをし、反訳書を作成しておけば、文章内容をもとに効率よく相談することも可能となるのです。

 よって、録音した音声を証拠として有効に活用するためには、まず文字起こし(音声を文章としてあらわす作業のこと)をして反訳書(はんやくしょ)を作成することが第一歩となります。

裁判することまで予定してない方も、ぜひ文字起こしをしよう

 「私は裁判までして争うつもりもないから、文字起こしまでは不要だよ」と考える方もおられるかもしれません。しかし、そんな方にも文字起こし作業はしてもらいたいと思います。

 なぜなら、音声のままでは、紛争期間を通して、相手に対する威嚇の程度が劣ってしまうからです。音声を文字起こしし、反訳書という形で相手に見せつけ話を持ちかけると、相手方は大きな脅威を感じます。その内容を否定するにも、なかなか否定しづらくなります。文章化された会話内容を見せることは、相手の戦意やシラを切る気持ちに大きなダメージを与えるのです。

 紛争がいまだ会社内での話し合いの段階である場合も、文字起こしされた音声証拠は、大きな切り札となります。「反訳書」がどのようなものであるか知っている人間にとっては、それが存在することは、労働者が裁判をも辞さない覚悟で臨んできていることを想像させるので、対応が変わってくるのです。

 あなたの紛争が、民事調停やあっせんの段階に進んだ場合はどうでしょうか?反訳書があれば、それを見た調停員が「このように明確な音声の証拠がある以上、裁判になっても不利でしょうから、ここは歩み寄りをしたほうがいいのでは?」と相手方に話を持ち掛けてくれるかもしれません。

 裁判においては、あなた出した反訳書に、相手方の不当な行為を示す内容が含まれていると、相手はそれを否認することは大変難しくなります。相手はそれでも否認をしてくるでしょうが、首根っこをつかんだあなたの有利は変わらないでしょう。

 つまり、紛争期間の最初(会社との交渉開始)から終わり(裁判)まで、文字起こしされた音声証拠は、実に有効に働くことになります。ですから、あなたが相手方の音声を録音することに成功したならば、まず文字起こしをし、反訳書を作ってしまいましょう。

「反訳書」とはどのようなもの?

意外と手間のかかる「反訳書」

 「反訳書」という聞き慣れない言葉を目の当たりにすると、なんだかとっても難しいモノのように感じますね。しかし反訳書の作成自体はそれほど難しくありません。

 現在は、ボイスレコーダーで録音した音声は、パソコンに取り込むことができ、パソコンを使ってじっくりと反訳書の作成ができます。書き方に厳格な決まりもない反訳書は、誰でも作成できるものだと言えるでしょう。

 しかし、会話内容が長かったり、録音した場所が騒がしい場所で音声が聞き取りにくい場合は、文字起こしの作業時間は長くなります。その点が一番大変でしょう。

万が一裁判になっても迅速に対応できるように、裁判所に証拠として提出する時の書き方で作成するのが効率的

 反訳書の書き方に、厳格な決まりはありません。裁判を一切する気もない人ならば、何も書いてない紙に、手書きで文字を書いていってもいいでしょう。

 しかし当ページで勧めているように、裁判時に証拠として提出することもできる書き方で最初から書いておけば、相手に対し、こちらの並々ならぬ戦意を示すことができます。

 ですので、当ページでは、A4用紙を想定しつつパソコンにて作成していくことを推奨します。パソコンで作成すると、訂正箇所もほぼ失くすことができ、裁判官にとっても読みやすいからです(最近の裁判所は、手書きで作成された証拠を嫌がる傾向にある)。以下を見てください。

反訳書
反訳書記載例

 裁判所に提出する際には、A4用紙を縦に使い、枚数が複数に及ぶ場合は、左側をホッチキスで止めて綴じます。そして、用紙の右上に、あなたが原告ならば「甲○号証」、被告ならば「乙○号証」と記載します。再び以下の図を見てください。

反訳書
裁判所に提出する時は?

 専門の反訳士が作成する場合は、もっと細かな決まり事を守るでしょうが、私たちは反訳士でもありません。裁判官に音声証拠を読んでもらえればいいのです。裁判官は、私たちが弁護士や司法書士などの法律家でないことは重々承知なので、書類作成に多少不備があっても、大目に見てくれます。

 過去の裁判・労働審判において、上記の反訳書を作成して提出しましたが、大きな問題はありませんでした。私たちは労働紛争の専門家ではありませんから、一つの証拠を作成するのに完璧な出来栄えを求めていたら、本職、もしくは求職活動がおろそかになってしまいます。

 最低限のライン(会話の内容・会話の時系列に従って記載する・A4用紙で記載するなど)を守って、必要最小限の時間配分で、この難局を乗り越えていきましょう。

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