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普通解雇された場合の対処法

ブラック企業は、整理解雇・懲戒解雇以外の解雇(普通解雇)をも巧妙に利用して、ターゲットとなった労働者を追い詰めてきます。

このページでは、不当な普通解雇に泣き寝入りしないための、基礎知識をまず説明します。その後、具体的な戦い方を、時系列にそって説明します。

あなたは不必要な人間ではありません。不当な扱いをするような人間に、権利の鉄槌をくらわせてやりましょう。

「普通解雇」~おさえておきたい基礎知識

 一般的に普通解雇とは、懲戒解雇・整理解雇以外の解雇のことを言います。

 一部の本には、整理解雇は普通解雇の一部で、懲戒解雇は別の区分がされています。しかし私たちの身を守る上でそんな形式的な区分などあまり意味がありません。

 むしろ重要なのは、「解雇が本当はどの理由でなされたか・そしてその理由の真実性・その理由に対する当該解雇処分の妥当性」が問題なのです。

※解雇理由の追及方法は ここはおさえよう!解雇理由証明書を請求するための基礎知識 を参照。

 真の原因が人員整理のために行われたなら、普通解雇より制限が厳しい整理解雇の4要件を検討します。真の原因が懲戒の一環で行われたなら、普通解雇より制限が厳しい懲戒解雇の要件を満たすか考えるべきです。

 よって、懲戒処分も無い、人員整理による解雇でもない場合には、当ページを参照にしてください。

 会社から「君の行為は本来懲戒解雇なのだが、君の将来を考えて通常の解雇手続きとした」と言われたとしましょう。

 その場合、会社のそのような言葉を真に受けてはなりません。こういったケースでは、会社が懲戒解雇の要件どころか普通解雇ですら苦しい場合に無理を承知で解雇してきた可能性がままあります。

 ※実際の現場では、使用者が懲戒解雇の厳しい条件を回避するために、また労働者の解雇に対する反発心を和らげるために普通解雇をしてくる時があります。

 通常の解雇だが、業績不振を理由とする解雇だと考えられる時は、 ◇整理解雇時の対処法の流れ を参照にして下さい。

 お分かりの通り、解雇においては解雇の理由をしっかり質問することが重要になります。返答してきた理由如何によって、どの要件で無効か否かを照らし合わせるのか?を選択します。

 解雇を争う時は、会社側にまず詳細に解雇の理由を聞き、後日適当でいい加減な言い逃れを出来ないように理由をハッキリしておきましょう。

解雇の理由として、会社が頻繁に利用してくるものとは?

 解雇の時、会社が原因とする理由には、だいたいおおまかに以下のモノがあります。中には、極めていい加減で曖昧なモノも含まれています。

 このサイトを見ている皆さんは、そんな理由たちを前もって見ておきましょう。

職務遂行能力が、当社の要求するレベルに満たないから解雇

 よく使われる解雇理由の上位選手。この手の理由もかなりいい加減なモノが多いのです。

 そもそも会社には、入社した労働者に対し職場内にて十分な教育を施す必要があります。人間誰しも最初は仕事は出来ません。最初の1年~3年は、職務遂行能力がベテランや中堅社員に劣っていても致し方ないのです。

 今日の会社には、人員確保の容易化から、長い目で見ないで少しでも能力に満たないと判断すると労働者を解雇してしまう会社が多いと聞きます。そのような時に本理由が使われるのです。

 しかし、おおかた客観的に職務遂行能力劣後の証明など出来ません。理由の証明書を請求する時は、トコトン具体的に劣っている点を聞き出しましょう。

 1年やそこらで能力不足と判断して解雇・そしてその理由も曖昧で明確に回答してこない、となると、いよいよ”大した教育も施さないでの権利濫用的解雇”が疑われます。

職場内で協調性がない・社員としての資質に欠けるから解雇

 これまた解雇理由の上位選手ですね。協調性がない、資質に欠けるとは一体どういう理由なんでしょうか。

 「理不尽に遅刻・無断欠勤・従業員同士のケンカを何度も繰り返し、指導や教育をしても一向に改善されない。それを受けて解雇以外の懲戒処分をした。そこまでしてもなお改善されないので、次は解雇しますと警告した。しかしそれでもダメだった。だから解雇した。」

 ・・・ここまでしっかりと段階を踏む会社がどれだけあるでしょうか?おおかたの会社は、目に見える当該労働者の”問題行為”の本当の理由すら探ろうとしません。

 ただ、面倒なことを起こす労働者を、社内秩序の維持のために放逐しよう安易に考え、行動するだけです。

 無断欠勤や悪質な遅刻を何度も繰り返すのは、さすがに厳しい状況ですが、従業員同士・従業員と上司の間のトラブルや論争は、会社は表に出ている事実の裏側の原因を注意深く把握するべきです。またその義務があります。

 会社の不当な行為に対して、従業員が上司等に意見をぶつけることで生じるトラブルの可能性もあります。また、特定の従業員によるイジメの問題がこじれてトラブルになるケースだってあります。

 不当な扱いを受けて、勇気を出して反論して、それを”協調性を乱す”として解雇された理由はいくらでもあります。そんな理不尽な結果はいくらでもあります。

 ですから、自分が正当なことを言った上で解雇されたと思ったなら、しっかりと会社に事実の経緯を説明し、解雇の理由書の提出や、事実の調査を依頼します。

 それらをしないで「解雇は正当だ」と言っているなら、権利濫用・義務懈怠で解雇無効の可能性があります。

 そんな解雇処分は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当だとは言えませんから。

職務遂行能力・協調性等を総合的に判断して、当社にふさわしくないので解雇

 解雇理由のトップ選手です。「総合的に見てふさわしくないので解雇します」のような理由が書かれた通知書で解雇されたら、会社は説明責任をほぼ果たしていないと言えます。

 残念なことに、突然の解雇や突然の雇止めでは、このような曖昧な理由で解雇されるケースが後を絶ちません。

 ”総合的に判断して・・・”と書かれれば、理由はいくらでも後付け出来ます。そんな理由の書き方では、労働契約法第16条にいう「客観的に合理的な理由」があるとは言えないでしょう。

 労働者の皆さんの対応としては、総合的に・・の中身の理由を徹底的に詳しく聞くことです。解雇の通知が来る前に、会社の不当な行為に反発し正当な権利を主張した記憶がある場合は、なおのこと制裁的取扱ではないかと疑って追及すべきです。

 詳細な理由書を請求しても、以前と同じような内容の理由書を交付してきたり、無視する場合は、行政機関や法律家に相談することを前提に内容証明郵便を送付したり、外部労働組合に入って交渉する手があります。

 とにかく、会社に一歩踏み込んだ回答をさせるか、ボロを出させるかまでしましょう。それが後々の交渉で大きな意味を持ちますから。

時系列で知る!「普通解雇」されたときの戦い方

 知識だけではなかなか対処出来ません。ここで、より具体的に対処法の流れを書いてみたいと思います。

 注意してほしいのですが、以下の対処法がすべてではありませんし、以下の通り首尾よくいったところで、解雇無効を勝ち取るのが保障されるわけではありません。

 しかしせめて以下の通り在職中に食い下がっていかなければ、集めるべき証言や書面も得ることが出来ず、相手に後々責任を追及する舞台にも上がる事が出来ないのです。

 労働基準監督署の相談員などは、あなたが自前で集めた”不当な行為を証するもの”を意味の無いものと笑うかもしれません。だが、今はそんな雑音は無視して、淡々と相手に疑問をぶつけましょう。

◆解雇する・辞めてほしいと伝えられた。解雇までの会社の行為の流れを示すため、詳細なメモ的日記を書き始める。

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◆面談を希望する。相手の会話を録音するためです。この段階で書面での回答を求めない!

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◆口頭・面談で、以下に挙げる内容を聞く。

  • 「どうして解雇なのか?どうして辞めさせられるのか?」
  • 「わたしがいつ解雇となった理由の行為をしたのか?」
  • 「誰が、今回の解雇理由を判断し、解雇だと言っているのか?」
  • 「その解雇理由が確かにあったか否かの確認は取れているのか?」
  • 「(就業規則が周知されていなかった場合)なぜ就業規則が周知されていなかったのですか」
  • 「(就業規則が作成されていない場合)なぜ就業規則が作成されてなかったのですか?」

その面談内容を録音。面談内容を詳細なメモ的日記に記載。

 ※同意・同意と取れる発言・退職届の提出は絶対してはなりません!!

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◆一通り理由を聞いて、面談を終える時に「解雇の理由を記した書面」と「就業規則」の提出を求める。

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◆面談後、面談内容を詳細なメモ的日記に記載。

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◆録音内容・メモを持参し、労働基準監督署の総合労働相談所、弁護士・社会保険労務士・司法書士等に、あなたの解雇事例に違法性があるかどうか確認する。

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◆違法性の有無の確認後、違法性があるならば内容証明郵便で必要事項を記載し、会社に提出。内容証明郵便だけ、専門家に書いてもらってもよい。

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◆内容証明郵便の提出と同時に、あっせん申請(労働局)または民事調停(簡易裁判所)。

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◆あっせん・調停は、申請から最初の開催まで1~2か月かかる。その間の生活のため、失業保険の仮申請をしておく。あっせん申請書・調停申立書をハローワークに提出し、解雇で争っていることの証明を受けておく。

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◆あっせん・調停で不発で、不成立の可能性があっても対応できるように、この段階から不成立になった場合の進路をきめておく。

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◆労働審判・民事訴訟へ。この手続きは法的な判断・法的書面の作成を要求されるため、弁護士等の専門家への依頼が望ましくなってきます。一般的に、解雇無効訴訟は複雑なケースが多いからであります。

 ※自分で訴訟をおこなう場合は、信頼できる司法書士等に裁判書類の作成の依頼だけでも頼むと便利です。自分でも訴訟マニュアル本・労働法の本を読んで勉強するといいでしょう。

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