こちらがいくら柔軟で紳士的な対応を心がけても、相手が一向に姿勢を崩さない場合がかなりあります。
今日はそのような場合にとるべき手段を講じたいと思います。
使用者が脅迫する姿勢を崩さないということは、聞く耳をまったく持たない性格か、あるいは、脅迫して圧迫することで、労働者の反発を素早く黙らせたい、という願いがあるからか、と推測できます。
聞く耳を全く持たない場合は、交渉の継続は極めて難しくなります。しかしこの場合であっても、全面戦争に突入する前にしておきたいことがあります。
それは、『脅迫の姿勢を崩さないがために話し合いができないこと』がもたらす結果を、相手に淡々と伝えることです。
「もしこのまま『話し合い』を望むことで、社長が私を懲罰にかけて私が解雇されるならば、他の場所に話し合いの場を求め続けることになります。そしてそれもかなわなかったのなら、今度は司法の場で、第三者に判断してもらいます。」
という感じです。一見すると、脅迫めいてますが、こちらは「正当な手段を守るためにこれから採るべき段階」を相手に淡々と伝えているだけであります。
この例の社長のように、~したならば解雇してやる、という非合法的な手段をちらつかせての心理的圧迫は一切用いません。合法的な手段の伝達が、非合法的な行動をとる相手の心を結果的に圧迫しているだけなのです。
この場合の重要な点は、「これから採るべき段階を、淡々と、事実ありのままに伝える」こと。
そして、期限を定めておきます。「この事実の伝達に対する意思表示を、○○日までに回答ください。」と伝えることです。それによって、ダラダラと紛争を長引かせることを防ぎます。
加えて、「今回のトラブルの原因を解決したいだけであって、会社と戦いになることは決して望んでいない。誰も憎いわけではない。話し合いで解決したい。」というように、あくまで話し合いで解決したい意思を伝えておきます。
・・・脅迫姿勢を崩さないような強硬な相手だからといって、いきなり全面戦争に突入しない。
どんな場合でも、そしてどんな段階であっても、常に引き返すことができる可能性を残します。
可能性をゼロにすることを、労働者側がしてはならないのです。
なぜなら、我々労働者側はほぼ常に、労働紛争においては不利な立場なのだから。武と武が直接ぶつかり合う「戦」では、勝ち目は薄いのです。
話し合いこそ、労働者が最も被害少なくトラブルを解決できる手段だと心得るべきです。