一方的に変更、ということと、正社員から契約社員に、ということで、本ケースは『一方的な不利益変更』であります。
この点を踏まえて対策を考えていきたいと思います。
一般的に考えて、正社員などの正規雇用から、契約社員・臨時社員などの非正規雇用に変更する場合は、不利益な変更と考えます。そして、このような変更は、その労働者が会社に入る時に結んだ労働契約自体を変更しかねないような重要な変更と考えられます。
※他に労働契約自体を変更しかねないような変更として考えられるものは、期間の定めのない雇用契約を、期間の定めのある雇用契約にすること・賃金の額を大幅に下げること・職種限定労働契約において、職種を変えること、など。
会社は契約社員に変更する前に、契約社員となるうえでの注意点や待遇などについて、しっかりと説明をし、かつ対象労働者の同意を得なければなりません。
ここで注意が必要です。その労働者の自由な意思に基づいて明確にされなければならない、ということです。
使用者が一方的に変更を通告し、それについて反応を示さず黙って仕事を続けることを、『黙示の合意』と解釈することは、原則的に避けるべきだ、と考えられています。
黙示の合意まで『合意』ととらえてしまうと、解雇などの報復を恐れて反発できない労働者は、使用者に一方的に不利益な変更をされ続けることになってしまうからです。
・・・まとめましょう。
労働契約の重要な部分を変えてしまうような不利益な変更については、十分な説明をしたうえで、労働者の合意を得なければなりません。
その合意は労働者の自由な意思に基づいて明確になされなければならず、黙示の合意で不十分です。
本ケースでは、まず労働者は使用者に対して、一方的な不利益変更に対して応じない姿勢を明確にするべきでしょう。つまり今回の変更は無効であり、いまだに期限の定めのない労働契約を結んだ正社員であることを主張します。
撤回しない場合、今回の拒否をきっかけに次回の契約更新がなされない可能性もあります。
それを避けるためにも、不利益変更が撤回されなくとも拒否をし続けること。拒否し続けることによる嫌がらせに対処するために、証拠収集の準備をし、かつ労働組合結成の準備か、外部労働組合に加入する道を検討すること。
そしていよいよ労働契約を打ち切られたら、不利益変更であるがゆえに有期労働契約ではないから、契約終了は無効であることを主張します。外部労働組合に加入することは、契約終了後でも可能なので、その後に加入してもいいでしょう。
復職が厳しいのならば、和解等の話し合いでもって、和解解決金等での補償を要求するのも一つの道であります。
・・・大事なのは、使用者の一方的で自己中心的な行為に、黙ったままにしないことです。
あなたの地位を守ることが出来るかもしれません。そして確実に、不当な行為に屈しなかったという、高尚な満足感を得ることが出来るでしょう。