私はいつも自転車で旅に出ると、『漂う』という言葉が似合うくらい、さすらい続けます。
自分の中で、「だいたいこのくらいの時間に帰ろう」と考えても、あそこでたそがれたい、こっちで物思いに沈みたい、と考え、あっという間に時間が過ぎていくのです。
最初の目的もどこへやら。ただ気のおもむくままにあっちの山、こっちの海、そっちの歴史旧跡とさすらい続けます。
それが楽しいのですね。まるでこの瞬間だけ、その土地で巡り合う多くの人たちを尻目?に転々とする、アニメや映画のヒーローみたいな気分になることができるのです。
その土地に行くと、本当にいろんな人がいる。当たり前と思うかもしれないけれど、逢う人逢う人、皆初めて見る知らない人ばかり。
よくもまあ、こんな狭い日本に、これだけの人がいるものだな、と感動してしまうのです。
そして偶然逢ったこの人たちも、この土地で、多くの習わしや方言などと共存して生きてきたのだなぁ、とロマンティックに思うのです。狭い国土だけど、世界は広い。ワクワクしてきますね。無限の世界を、ここでも感じるのです。
そんな旅で必ず思い出し口ずさむ歌があります。今日のおススメの歌ですね。
奄美大島出身の元(はじめ)ちとせさんの、『語り継ぐこと』です。
語り継ぐこと
この歌は語り継がれる、また語り継ぐ、という人間が人間らしいアナログな部分にスポットを当て、それを独特の歌声で高らかに謳うものです。
あのこぶしがかかったようなかすれたような声の元ちとせさんの声が最もぴったし合った歌だと私は勝手に思っています。
この歌を聴くと夕暮れの海を思い出します。ジャケットが夕暮れの海だから?いやいやそれもありますが、やはり物悲しいイントロ部分がそう思わせるのでしょうか。
こんなにイントロ部分が好きな歌もそうはありません。イントロにも聞き耳をたてて聴いてもらいたいです。
このイントロを聴きながら、物寂しい海岸線や、湖岸線を、自転車で漕ぎつつ訪れた土地を去ってみたいです。