以前紹介した、ポエニ戦争におけるカンネーの戦い。
後に多くの戦略家がその戦いを参照にしたり研究対象とするなど、ハンニバルの巧妙な戦術が光る戦いでした。
しかし、この戦いではハンニバルの戦闘上の戦術ばかりがクローズアップされていますが、戦いの帰趨を決したのは、それだけではありません。
簡単に、ですが、少し触れてみたいと思います。
当時ハンニバルの軍事的な優位性は明らかでした。
そのころのローマの指導者だったフェビアスは、ハンニバルとまともに戦っても勝ち目がないことを知っていたので、直接対決による決着は考えておらず、外交上の戦略などでハンニバルを間接的に追い詰めようとしたのです。
しかしローマ市民は、決戦を避けるフェビアスの姿勢に不満を感じ、彼を再任しなかったです
そこで指導者として選ばれたのが、のちにカンネーの戦いで大敗北を喫するヴァルロ。
彼はその血気盛んな性質ゆえに、戦いへの道のりを急ぎ、かつカンネーにおいてもメイン戦法として数に任せた中央突撃を敢行し、結果完全包囲作戦による壊滅を招きます。
歴史上名だたる戦いの陰に、このような事情があったのですね。
もしローマ市民があの時フェビアスを再任していたら・・・歴史にもしもはいけないのかもしれませんが、ローマの敗因を分析するうえでは重要です。
労働紛争において、このことは活かすことが出来ないだろうか?
直接戦って勝ち目がない場合、フェビアスのように、土台を築いたり、直接攻撃でない間接的な戦略で、使用者・会社の戦力や戦闘意欲を抑えることは可能ではないだろうか?
そのことを考えるのも有意義だと思います。