年次有給休暇は、労働の義務が存在しているときに使用できます。
そしてその使用目的は、争議行為として使う場合を除いて、制約を受けることがありません。
今日は、産前産後の休業期間中に年次有給休暇を取得できるのか?という質問であります。
産前休業の場合と、産後の休業の場合に分けて説明しましょう。
★産前休業の場合
産前6週間(多胎妊娠、つまり双子などを身ごもった時は14週間)中に当該労働者が産前休業を請求せずに働いていれば、年次有給休暇を請求することで取得できます。
逆に産前休業を請求して会社を休んでいるときは、年次有給休暇を取得できません。
産前休業を請求して会社を休んでいるということは、その期間は労働の義務が免除されているわけですから、年次有給休暇自体を取得することはできないのですね。
★産後休業の場合
産後6週間は、会社は労働者を絶対に使用することはできないのですから、その期間中は当然当該労働者に労働の義務はありません。よってその期間中は年次有給休暇を取得できないことになります。
しかし、産後6週間を経過した時点で、労働者は請求により会社に復職することができます。そして復職した以上は、その後から労働の義務も発生しますので、以後は年次有給休暇を取得できます。
産後の休業期間は本来8週間です。出産を終えた労働者が、産後6週間経過後も請求をせず休み続ける場合は、6週間経過後から産後8週間が経過するまで、年次有給休暇は取得できません。
請求しない以上、労働者に労働の義務が生じることがないからです。