会社のしたことは許されません。
年次有給休暇については、労働者の請求によって使用者は当然に与えなければならないのです。
使用者が有給休暇取得に際して労働者に行使できる権利は、「この日あなたに休まれると我が社の事業が回らなくなってしまうから、他の日にしてください」と言える権利(時季変更権)だけです。
会社内で定める取得手続きに反したからといて、有給休暇そのものを認めないことはできないのです。
労働基準法は、年次有給休暇取得の手続きに関して、何らの制限もしておりません。
しかし・・・・ここで注意が必要となります。
就業規則などで取得手続きに関してある程度の制限を設けることは、認められるとされています。
最も多い制限は、「いつまでに取得請求をしなければならないか」についてです。
請求時期について労働基準法は何も記載していません。解釈上は「時季変更権が行使できる前日の終業時刻まで」とされています。
そして、業種や事業規模って業務に支障がでる場合もあるため、合理的な範囲での制限が可能であるという判例がでています。
◆10人規模の運送業で、「3日前までに請求しなければならない」の制限は法に反しない(大阪地裁平成12.9.1事件)
◆前々日までに請求しなければならない規定は有効である(最高裁1小昭57.3.18事件)
つまり、明らかに有給休暇の取得をしにくくするような程度の激しい制限は許されない、ということです。
そしてもう一度言いますが、上にあげた裁判例のような制限であっても、有給休暇の取得を許されない訳ではないのです。
定める手続きを踏まなかったことの責任を追及されるだけなのです。