手合せ、試し打ち程度ならまだいいが、現実の戦いはドラマや漫画のように、手加減しても相手に勝ってしまう、などといううまい話はありません。
戦闘における威力偵察のような、目的を持った牽制以外、手を抜いた攻撃はすべきではないでしょう。
労働紛争において、「とりあえず反発してみよう」程度の決意・ノリでは何もなせずに時間が過ぎ、中途半端のままの気持ち・態勢の状態で相手(会社側)の容赦ない打撃を受けることになります。
実際の戦闘などでは、様々な偶発などの摩擦が生じ、説明しにくいですね。
ここは一対一の戦いを例にとり話してみましょう。武術の使い手同士の戦いです。
戦いの場で寸止めなどしたら、相手はノーダメージです。そして相手のその後の反撃でこちらがやられてしまいます。
どういうことかと言いますと、こちらの最初の一撃、、つまりこちらが最善の計画と戦法でつかんだ勝機に乗じた攻撃で相手を戦闘不能の状態にしなければ、ダメージを受けていない相手の次の攻撃によってこちらが戦闘不能にさせられる、ということです。
よく武術の達人が、面白半分の相手とまったく手合せをしないのもその理由だと思われます。攻撃する以上、相手に大きなダメージを与える手段を用いないと、相手の次の攻撃を防ぐことが難しくなることが分かっている。
しかし重大な覚悟もしてない相手にそこまですると、大きな問題となる。だからといって手加減して流す程度では、次の一手を防ぐことはできない。
よって武術の達人は、本気でない相手を相手にしないのです。
罪もない人が今目の前で凶悪犯に襲われているわけではない。守るべき人間が今まさに理不尽な人間の行いで傷つけられようとしているわけではない。
であるならば、その場はやりすごすことで、誰も傷つくこともない。だから何もしない、相手にしない。
かえってわかりにくかったでしょうか?
労働紛争も同じです。
ある不当な行為があり、そのことについて「絶対に認められない」とか「社員としての地位をかけて、戦う」というような固い決意をもって戦わない限り、その戦いの結果は見えてる、ということです。
こちらの攻撃を受けた後の会社側は、あなたが想像する以上の容赦ない反撃をしてきます。
法に精通した会社側専門家の登場、全従業員への密命によるシカト攻撃、言いがかりによる賃金の大幅なカット、まったく経験したことのない部署への強引な配置転換と厳しいノルマによる圧迫・・・・
これらの冷酷で残虐な会社側の一手を出させないためにも、こちらも周到な計画と断固とした決意で、全力の先制攻撃もしくは反撃をするのです。そしてその一撃で、相手の立場を少しでも不利に陥れること。
逆にそこまで強い決意を持てないようなケースならば、なんとかして戦わずにその場をやり過ごすなどの別の方法を考えると良いでしょう。
何もしなければ、当該不当な扱い以上の不利益を受ける可能性は低くなります。
その場をやり過ごし、態勢を立て直し、容赦ない打撃を与えられるようになったら、その時に攻撃をすればいいのです。