ブラック企業と戦うため準備・総まとめのページ
ブラック企業と戦うための準備方法・ノウハウについての全体像を説明していきます。各準備手順の詳細ページへの橋渡しをしますので、各ページにて、それぞれの準備の方法を理解していきましょう。
ブラック企業と戦うための準備の「全体像」
「泣き寝入りの原因を知る ~労働法違反の”基本的”対処法①」の各ページを読まれた方は、なぜ労働者ばかりが労働紛争で泣き寝入りをすることになるのか?なぜ労働者が使用者に敗北するのか?の理由が分かったはずである。ならば次は、その理由を考慮しつつ会社と闘う準備、そう、いよいよ実際の行動に移さなければならない。
さてその準備であるが、準備には『行動を伴う準備』と『心の準備』とがある。
行動を伴う準備
- 専門の相談場所に相談し、当該労働紛争の違法性を判断し、かつ争点を明確にする
- 証拠になると思われるあらゆる形の証拠を取る
- 会社が傲慢で譲歩の姿勢もないのなら、社内で闘争行動をする前に個人で参加できる外部労働組合に加入しておく
- 会社との闘争期間中の経済的試練に対して、事前に計画と準備をしておく
心の準備
- 準備を十分にする前にいきなり宣戦布告せず、極秘に動くことを心がける
- 会社の同意要求に安易に応じないと決意する
- 会社と戦い抜くために、「情」や「遠慮」の気持ちを捨てる
・・・これらの準備をしっかりしておくと、労働紛争における勝算の増加が望まれる。以下でこれらの準備を見ていく。
『行動を伴う準備』とは?
専門の相談場所に相談し、当該労働紛争の違法性を判断し、かつ争点を明確にする
あなたの抱えている労働トラブルは、どのような違法性を持っているのか?そもそも違法なのか?問題の争点はどこか?を知るために、まず取り組まなければならない準備行動である。
労働問題は、実に複雑である。それぞれのケースで多くの裁判例が存在し、言葉の定義自体も一筋縄ではいかない。今までの生活で労働法令に縁がなかった人が、紛争が発生してから短期で理解するにはかなりの困難を伴う。理解のためには多くの時間を要してしまう。
労働紛争において労働者がしなければならないことはたくさんある。それなのに違法性の有無の判断だけに時間を取られていることはできない。
よってこの場合、専門家や相談機関に相談し、手早く違法性・争点をあぶり出し、ほかの準備に時間を回すのである。
まず「違法性判断・争点明確化」を行い、本戦に備えるのページへ
※専門家を利用する場合の留意点については 労働法違反に負けないための戦略論 の 労働紛争解決の専門家に依頼する時の心構えと注意点 参照。
証拠になると思われるあらゆる形の証拠を取る
証拠、と聞いて何か仰々しいものを感じた方もおられるだろう。しかし、証拠とは、そんなに大げさで特別なものではない。多くの証拠は、あなたが会社生活を送る上であちらこちらに転がっている。苦労して勉強して手につかむものではない。
証拠とは、読んで字のごとく、証(あかし)であり、根拠・拠り所(よりどころ)である。
パワーハラスメントであれば、上司の行き過ぎた言動の存在を証すればいいし、不当な解雇であれば、解雇の合理性の無さを証すればいい。だが、これら二つは分かりやすい例である。何が証拠となるのか分かりにくい紛争ケースもある。その場合も、やはり専門の相談所に行って指示を仰ぐのが有効となる。
別で述べる「極秘」行動により、相手が警戒していないうちにできるだけ多くの証拠を集めるのである。
出来る限り証拠を取るのページへ
証拠の効果を知るのページへ
「録音」という証拠を取るのページへ
「詳細なメモ的日記」という証拠を取るのページへ
会社が傲慢で譲歩の姿勢もないのなら、社内で闘争行動をする前に個人で参加できる外部労働組合に加入しておく
外部労働組合に参加することは、内部で労働組合を結成するよりはるかに容易で強力である。しかし結成するのと同じくらい、労働組合に参加することに抵抗を示す人が多い。
しかし労働組合に参加した方がいいケースは、一人で戦うことが絶望的な場合を想定している。そのくらい追い詰められたのなら、あとは労働組合に参加するか職場で孤立したまま泣き寝入りをするかの二つに一つとなる。
労働組合を嫌う前に、その有効性に目を向けるのもいい。多くの使用者は労働組合という言葉を毛嫌いし、労働者もそのような考えに触れた経験から、組合というものを特別で危険なもの、と考えがちである。しかし労働組合参加、もしくは結成は、追い詰められた労働者の最後の砦である。自らの考えで、その道を閉ざしてはならない。
一人参加可能の外部労働組合に相談してみるのページへ
会社との闘争期間中の経済的試練に対して、事前に計画と準備をしておく
この準備こそが、最も重要である。私は当サイトで常々言っているが、労働紛争も他の争いごとと変わりがない。お金が無くなった時点で、戦いを継続することは不可能になる。
紛争中は、経済的な試練が何度も訪れることは間違いない。収入減少を引き起こす要因は、いくつも想定できるだろう。
例えば、懲罰的に賃金を下げられることもあるだろう。または、部署替えに伴い、今までついていた手当がカットされることも考えられる。もっとひどい場合では、会社員としての地位を失って収入を絶たれるかもしれない。
感情的になって紛争に突入する労働者の多くは、経済的な試算をすることが無い。紛争状態になって、そこで初めてお金のことを考えて事態の深刻さを知るのだ。絶望感や周りからの圧力の中、彼は紛争から逃げるように会社から去っていくのである。
経済的な試算をしておくことは、不安をいたずらに大きくさせてしまうことを防ぐことができる。細かく分析し、経済的なメドが立たない限り戦わない。メドが立って戦う場合でも、戦う期限をしっかりと決めておく。計画を綿密にし、その計画を誠実に家族に話すことで理解を得る。
※勝算については 労働法違反に負けないための戦略論 の 勝ち目が会社より多いか少ないかを考慮して、戦うか戦わないかを決める 参照。
『心の準備』とは?
会社の同意要求に安易に応じないと決意する
労働紛争の最中では、あらゆる場面で多くの同意を求められるだろう。その中には、同意してしまったら不利なものも含まれる。
相手の顔色をうかがうことはやめて、不当な要求については断固拒否をするべきである。それが難しいことは分かっている。しかしもはやあなたは声を挙げてしまったのだ。もうすでに会社から目を付けられている。この場にきて中途半端な態度をすれば、勝算や問題解決の可能性を失うことになる。
同意をするかどうかの判断基準は、こちらにとって不利にならないか?だけである。相手の顔色ではない。
準備段階の注意点 ~安易に同意しないのページへ
準備を十分にする前にいきなり宣戦布告せず、極秘に動くことを心がける
堂々と会社に対して反旗をひるがえすことは、見た目には華やかで見栄えがいい。しかしそれが紛争の解決に有利に働くかどうかというと、それは別問題である。戦う意思を相手に示すには、時機を選ばなければならない。
その時機とはいつか?それは、以上で述べた準備を十分し終わった時である。それ以前に宣戦布告をすることは、陣形が整っていない状態で相手に攻撃をさせてあげるようなものである。
何度も言うが、労働紛争では労働者の方が圧倒的に不利である。それなのに、なお相手に有利な条件を作り出すのか?
会社と戦い抜くために、「情」や「遠慮」の気持ちを捨てる
情や遠慮は、労働紛争にマイナスに働く。考え欲しい。使用者があなたに遠慮や情を見せた結果がその仕打ちだろうか?
相手はその仕打ちをあなたにした時点で、あなたがどのような不利益を被ろうが知ったことではない、と思っているのだ。
自分の「より儲けたい・今の立場を守りたい」という欲望と、あなたの生活の平安を天秤にかけ、己の利益を取ったのだ。そんな冷酷な輩に遠慮をして、一体どうやって勝機を見出すのか?
※ブラック企業との戦いの現実的厳しさについては 労働法違反に負けないための戦略論 の 不当な会社との労働紛争は、ルールなき理不尽な戦いとなりがちである 参照。
※ブラック企業と戦う時の心構えについては 労働法違反・職場イジメに負けないための考え方集 の 悪徳経営者と戦う時の心構え 参照。
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