ブラック企業との戦いを左右する「証拠」の効果
ブラック企業に対抗するために証拠を事前に収集することは、戦局に大きな影響を与えます。このページでは、証拠を押さえることの重要性と実際の効果を説明します。
証拠を事前に取ってしまうことのメリット
会社が労働法違反をしてくる時に、周到に証拠を取る、ということは非常に有効です。
証拠を取ることで、労働者が要求した話合い・あっせん・調停等に参加してくる可能性が高くなります。
なぜって?会社にとって不利な証拠を取られているからです。もし、話合いに参加せず、労働者に裁判・労働審判にかけ込まれたなら、敗訴して様々な不利益をこうむる危険があるからです。
裁判にかけられたり裁判に敗れたりすると、その失態が他の従業員の耳に入り、社内での会社の権威・威厳が失墜します。
多くの従業員に見限られ退職されたり、他の従業員から同じ内容で提訴されるかもしれません。ある金融業では、一人の従業員の勝利をキッカケとして、他の従業員が後に続き、結局億単位の残業代支払命令をくらったこともありました。
争いが泥沼化して露見すれば、得意先との信頼関係も崩れるかもしれません。
「こんなに従業員と会社の間に不調和音がある会社だと、我が社の納期・品質等の要求に応えられないかもしれない。危なっかしいから発注先を変えよう」と。
会社にとってこれは大きな信用上のリスクです。裁判になったり公になったりすることは避けたいと考えるでしょう。しかし労働者の要求を無視したとして、裁判に持ち込まれて負けたなら…。その不安が会社を話合いの場に引きずり出すのです。
話合いの場では強気を装うでしょうが、内心はうまく収めたい一心です。これも証拠がしっかり押さえてあるからなのです。
明確な労働基準法違反以外の行為では、証拠はどう働くか
会社は明確な労働基準法違反をしてこない、と言いました。
それは、明確な労働基準法違反じゃなければ、労働基準監督官は動かないことを会社が知っているからでしたね?だから、明確な労働基準法違反以外の行為で労働者に不利益を与えてくるのです。
明確な労働基準法違反でなければ監督官は動かない
→労働者にとっては、もはや裁判等の手間な手続きしか対抗手段が無い
→会社は、証拠も取られていないし裁判になっても適当に言い逃れ出来るので、怖くない
→適当にあしらって、脅して、無視し続ければその内諦めるだろう・・・なんなら追い詰めて追い出してやれ
という考えです。だから不利益行為のし放題です。
しかし労働者に事前に証拠を握られていたなら・・・・。一転、会社は最悪の状況まで起こり得ることを悟ります。
証拠を握ることで、明確な労働基準法違反以外のトラブルでも、会社は話し合いで何とかしようと考えるので、交渉の場に引きずり出せるのです。
その場で、不当な扱いに屈しない決意と、「・・・の裁判例、これだけの証拠でしたら、裁判では勝ち目がありません」という言葉を告げられたら・・・労働者の要求を飲まざるをえないでしょう。
証拠を集めることで、不当な行為をしてきたがゆえの当然の報いが会社に降りかかる確率が高くなるのです。
泣き寝入りの原因に対する証拠の効果
事前に証拠を取ることの効力って大きいです。これで、労働基準監督署が動いてくれなくても対抗手段が出来ました。証拠を握っていることを知らしめて、会社と対等に交渉すればいいのです。
原因②【労働法違反の泣き寝入り原因の一つ、「労働基準監督署が動いてくれない」】は、これでなんとかなります。証拠を盾にして、会社と裁判外の話合いをスタートさせるのです。大変ですが、道が待ったく無いのとは違います。
原因③【労働法違反の泣き寝入り原因の一つ、「弁護士等が依頼を受けてくれない、コストがかかり過ぎる」】についての証拠の効果です。もし弁護士に頼むにしても、証拠があるならば弁護士らも身を入れて聞いてくれるでしょう。
証拠があるということは、状況証拠や話の矛盾についての論戦・高度な法的解釈を用いた難しい裁判ではなくなります。
相手(会社)は、提示された数々の証拠の信用性を、裁判等の中で崩していかなければなりません。とても不利ですね。この状況でしたら、あなたの力になってくれる専門家は必ずいます。
最後に、原因④【労働法違反の泣き寝入り原因の一つ、「同僚らが見て見ぬフリする」】に対する証拠の効果について。
この場合、証拠があっても同僚が助けてくれないことは変わらないでしょう。
ならばやはり外部の労働組合やその他の労働者支援団体に頼った方がいいでしょう。
労働組合の力を頼るにしろ、証拠がない状況では、会社は徹底無視を決め込むかもしれません。証拠があれば、外部労働組合の交渉+証拠の存在で鬼に金棒状態です。
交渉慣れした組合と、証拠を握られている会社では勝負になりません。
また、組合が交渉に来る、ということは非常に目立つ行為であり、会社にとって良くない評判が社内で立つかもしれません。それは避けたいのが会社の本音ですので、交渉がうまくいく確率は高くなります。
免責事項
当サイトは、利用者が当サイトに掲載された情報を用いて行う行為について、一切責任を負うものではありません。
法律等は頻繁に改正等が行われますので、あくまでも参考としてください。また、本サイトは予告なしに内容を変更することがあります。