パート・アルバイトなど、短時間労働者に与えられる年次有給休暇の日数
通常に与えられる場合
週所定労働時間が30時間以上であれば、与えらえる有給休暇の日数は一般の労働者と同じとなります。
週の所定労働時間が30時間未満であっても、週の労働日数が5日以上か、それとも年間の労働日数が217日以上であれば、一般労働者と同じになります。
つまりこれらの条件を満たせば、会社に入社してから6か月が過ぎた後に10日の有給休暇が与えられることになります。
具体例:一日4時間、週に5日出勤しているパート事務員高橋さんの場合
高橋さんの場合ですと、週の所定労働時間は20時間です。だから週30時間に及ばない。
しかし、高橋さんは週に5日出勤しています。よって週5日以上の条件を満たしているため、一般の労働者と同じ有給休暇の数が与えられます。
パートタイム、というだけで、有給休暇が少ない(もしくは与えられない・使わせてもらえない)会社は、未だに存在します。
有給休暇の違法な付与について抗議すると、解雇や給料減額の卑劣な手段をちらつかせて「辞めてもらって結構」と脅すブラック企業も存在します。
そのようは会社に、あなたの貴重な未来を託すのは実にもったいない。退職時の有給消化等を参照にして、安定した未来へ一歩でもいいため、ゆっくり着実に近づいていきましょう。
所定労働時間に応じて与えられる場合(比例付与)
週の所定労働時間が30時間未満でかつ週所定労働日数が4日以下の場合は、その所定時間に応じて段階的に有給休暇を与えれる日数が変化していきます。
この方式を、一般的に「比例付与」と読んでいます。呼び名はどうでもいいことですが、もし不当な会社と有給休暇をめぐって交渉する時は、この名前を知っておくと、相手に対してこちらの知識を示すことになり、効果的かもしれません。
与えられる日数は下図の通りです。
パートの方には、「週〇日勤務」と決まっていない方もいます。その場合おおよその年間の勤務日数で考えることになります。
表中の「一年間の所定労働日数」で考えましょう。厳密に日数を割り出さなくてもいいです。だいたいの目安で考えていきましょう。
例えば、一カ月に働いた日数の平均が、ここ3カ月の月平均で12日であった場合は、12×12=144日となりますので、表中では上から2段目、週所定労働日数3日のパート労働者と同じ日数付与となります。
パート・アルバイトに有給休暇が与えられる時のさまざまな疑問点
パート・アルバイトの所定労働日数が変更された時は、それに応じてもらえる日も変わってくるの?
Q:パート・アルバイトの所定労働日数が変更された時は、それに応じてもらえる日も変わってくるの?
A:基準日(後述)における勤続年数と所定労働日数によって、与えられる有給休暇の数が違ってきます
パート・アルバイトの所定労働日数が変更されることは、よくあることです。その場合、与えられる日数はどうなるのでしょうか?
この場合は、基準日における勤続年数と所定労働日数によって、与えられる有給休暇の数が違ってきます。
基準日とは、年次有給を与えられる日のこと。その日の所定労働日数によって与えられる数が変わってくるのです。
・・・例えば、基準日に所定労働日数が3日になっていて、かつ雇用されてからの期間が1年6か月の時は、与えられる日は6日となります。
パート・アルバイトと正社員では有給休暇をもらえる条件が違うので「有給は発生してない」と言われたが・・
Q:パート・アルバイトと正社員では有給休暇をもらえる条件が違うので「有給は発生してない」と言われたが・・
A:有給休暇をもらえる条件(発生する条件)は同じです。「雇入れの日から継続して6カ月間勤務」し、その期間中の「全労働日の8割以上出勤」すれば有給休暇は当然に 発生します。
「雇入れの日から継続して6カ月間勤務」の条件を満たしているか検討する手順
「雇入れの日」とは、雇われたパート先に、仕事初日として初めて出勤した日です。
「初日は研修日だったから雇入れの日ではない」などという屁理屈は一切関係ありません。研修だろうと見学だろうと、会社から命じられて出勤を義務付けられて出勤した日が、「雇入れの日」なのです。パート初出勤日が6月10日なら、6カ月経過日は、12月9日。
例)パート初出勤日が6月10日なら、その日が「雇入れの日」。そしてその日を「基準日」として、「6カ月経過日」は、12月9日。後述する「全労働日の8割以上出勤」の条件を満たしているならば、12月10日から当然に有給休暇は発生し、使用することができる。
「全労働日の8割以上出勤」の条件を満たしているか否かを検討する手順
手順1:初日から6カ月経過した日を確定させる。
例)パート初出勤日が6月10日なら、6カ月経過日は、12月9日。
手順2:基準日であるパート初出勤日から6カ月経過日までの出勤日を数える。
例でいうと、6月10日から12月9日までの間で、週所定労働日数に基づいて、出勤となる日を数えていきます。
週に4日、月水金日に働くパート契約ならば、その条件にもとづいて出勤となる日数(労働義務日)を数えていきましょう。
※6カ月が過ぎた後で数える場合も同じです。実際にその日に出勤したか否かはトリあえず置いておいて、数えましょう。
手順3:出勤となる日(労働義務日)から、自分の都合によらない欠勤日を差し引き、「全労働日」を確定させる。
上記で数えた労働義務日から、以下で休まざるを得なかった日を差し引きます。
- 正常で正当なストライキで休んだ日
- 慶弔関係の休暇を取って休んだ日
- 整理日休暇を取って休んだ日
- 使用者の責任に帰さない事由によって会社が休業し、休んだ日
- 使用者の責任に帰する事由によって会社が休業し、休んだ日
算出した労働義務日から、これらで休まざるを得なくなって休んだ日を差し引き、全労働日を確定させます。計算式における分母の確定作業です。
手順4:実際に出勤した日に、正当な権利で休んだ日をプラスし、「出勤」日を確定させる。
次に、6月10日から12月19日までの間で、実際に出勤した日を把握します。
そしてその日数に、法律で定められた権利を行使して休んだ、以下の日をプラスします。
- 有給休暇を取って休んだ日
- 業務上の傷病で療養のために休んだ日々
- 産前産後の休業期間で休んだ日々
- 育児介護休業法に定められた育児・介護休業を取得して休んだ日々
実際に出勤した日と、これらの日を足した日が、「全労働日の8割以上出勤」の「出勤」日となります。計算式における分子の確定です。
手順5:公式に基づいて計算。値が0.8以上なら、「全労働日の8割以上出勤」の条件クリア
求めた全労働日と、出勤日を元に、公式を使って計算します。
出勤日÷全労働日=0.8以上であれば、「全労働日の8割以上出勤」の条件をクリアしていることになります。
※出勤した日や、全労働日について、多少のずれがあっても、おおよそ8割以上出勤の条件はクリアされるため、正確に把握できなくてもそれほど心配する必要はありません。
雇用契約が中断した場合の、継続勤務年数は?
有期の労働契約を結んでいる場合によくあるケースを挙げましょう。契約更新と契約更新の間にわずかな期間を設け、「そこで雇用関係は終わったのだから、継続勤務じゃない」と言いがかりをつけ、いつまでたっても有給休暇を与えないケースです。
しかしこの場合、中断の期間が1週間とか2週間である場合は、継続して勤務しているものとみなされます。
とんでもない言いがかりだと思われるでしょうが、実際に不利益を被る側がなにも言わないと、このような人を馬鹿にしたような例も跡を絶たないのです。
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