パート従業員が社会保険に加入するための「知識」と「方法」
パート・アルバイト従業員が社会保険に加入できる条件を分かりやすく説明します。
また、パート従業員が社会保険に加入できない場合たる「適用除外者」についても詳しく説明します。パートの皆さんが社会保険加入を要請したときに、会社側がもし「適用除外者」を持ち出して言い逃れをしてきたときの予備知識となるでしょう。
ブラック企業のもとでパート従業員が社会保険に加入することは大変ですが、その知識をここで頭に入れておきましょう。
一定の条件を満たせば、パート・アルバイトも当然に社会保険に加入させなければならない
パート・アルバイトでも、以下の条件を満たせば、その事業所は当該労働者を社会保険に加入させなければなりません。
- (1)一日または一週間の所定労働時間が、その事業所の通常労働者の4分の3以上であること
- (2)一か月の所定労働日数が、その事業所の通常の労働者の4分の3以上であること
分かりやすく言えば、(1)・(2)の2つの条件をともに満たせば、パート・アルバイトの従業員といえども法律上当然に社会保険に加入できるし、事業所は加入させなければならないのです。
「法律上当然」とは、会社側・従業員側の希望・意思に関係なく、必ず加入させなければいけない、ということです。会社に社会保険の加入を要請し、会社が難癖をつけてきたときは、このことを頭に入れ、意志を貫くといいでしょう。
しかし、社会保険に加入させる必要のない「適用除外者」の方もいます。その例外について以下で説明していきましょう。
社会保険に加入させなくてもいい「適用除外者」についての知識を知ろう!
以下の人たちが、社会保険に加入させなくてもよい「適用除外者」とされる方々です。
- 臨時に使用される人で日々雇い入れられる者
- 臨時に使用されている人で2か月以内の期間を定めて使用される者
- 4か月以内の季節的業務に使用される者
- 臨時的事業の事業所に6か月以内使用される者
- 事業所で、所在地が一定しないものに使用される者
各「適用除外者」について、少しあいまいで分かりにくいので、以下で補足をしたいと思います。
臨時に使用される人で日々雇い入れられる者
しかしこの人が、一か月を超えて引き続き雇用された場合は、社会保険に加入させる必要があります。
臨時に使用されている人で2か月以内の期間を定めて使用される者
しかしこの人が、ここで定めた2か月以内の所定の期間を超えて引き続き雇用された場合は、社会保険に加入させる必要があります。
例えば、60日の期間を定めて雇用された人が、60日を超えて引き続き雇用されることになった場合は、社会保険に加入させなければならない、ということです。
4か月以内の季節的業務に使用される者
雇われた初めから4か月を超えて使用される予定の場合は、社会保険に加入させる必要があります。
臨時的事業の事業所に6か月以内使用される者
雇われた初めから6か月を超えて使用される予定の場合は、社会保険に加入させる必要があります。
事業所で、所在地が一定しないものに使用される者
「事業所で、所在地が一定しないもの」とは、一定期間ある場所で演芸したらまた違う場所で演芸する、といった旅の一座・サーカス団などが典型例としてあげられます。
このような事業所は、一定期間したらまた別の場所に移動してしまうので、社会保険の適用が困難、という理由で適用除外とされているのです。
社会保険に加入させてくれない場合の対処法は?
自分のケースだと適用除外にも該当せず、かつ上記の社会保険加入の要件を満たしている場合は、いよいよ事業主に加入の要請します。
被保険者の社会保険の資格の取得は、以下の3つの方法で行われます。
- (1)事業主の届出にもとづく確認
- (2)被保険者や被保険者であった者の確認請求にもとづく確認
- (3)保険者(協会けんぽ・健康保険組合・年金機構)の職権にもとづく確認
従業員の要請に基づいて事業主が加入させてくれたら、ハッピーエンドなのですが、そう簡単にはいかないでしょう。事業主が(1)の従業員の被保険者取得の確認請求を行わない場合、後の2つによってでしか、確認が行われません。(3)の「保険者の職権」などはほぼありえず、結局は(2)の方法たる被保険者(従業員)自らが行わざるえません。
おそらく意図的に従業員を社会保険に加入させない事業主です。法令遵守の意識が低い経営者であることはほぼ間違いなく、被保険者自らが確認請求を行うならば、高い確率で嫌がらせをされることは想像できます。
雇用保険の場合、退職後に確認請求をしても、遡って被保険者になることができる期間に上限がなくなりました。以前は、社会保険の確認請求の場合と同じく、2年まででした。
社会保険に関しては、いまだに2年までしか遡って被保険者になることができません。このことは、低モラルな会社に長年勤務している人であればあるほど、不利益を受けることになります。
この不利益を避けるためには、2年を超えて勤務する可能性が出てきたら、一回事業主に懇切丁寧にお願いしてみる、というのも採るべき手段だと思います。
確認請求の手続きの詳細については、 こちら を参照にしてください。
また、それでもダメなら、従業員仲間同士で団結して、皆で確認請求をしてみるのも手です。危険を伴いますが、外部労働組合等に相談しながらことを進めると、その後ろ盾を恐れ、事業主は譲歩する可能性もあります。
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