「労働基準監督署が動かない」の対策
ブラック企業の労働基準法違反に泣き寝入りしてしまう原因の一つに、思ったほど労働基準監督署が動いてくれない、というものがあります。このページでは、労働基準監督署は動かない場合の対策について説明していきたいと思います。
- 労働基準監督署に頼るのは無料相談くらいにしておき、必要以上にアテにしない
- 労働基準監督署に「申告」するならば、消極的なアドバイスに負けず断固とした意志で申告する
- 労働基準監督署の動きやすい事件と、そうでない事件とを知っておく
労働基準監督署に頼るのは無料相談くらいにしておき、必要以上にアテにしない。
労働基準監督署に対する期待を必要以上に持たないことが重要だと思います。「困った労働者の味方」などという過度な期待は、きっとあなたの心を失望させるでしょう。労働基準監督官の使命は労働基準法の遵守を促すことですが、慢性的な人手不足が招く現実は、多くの弊害を生み出します。
容易に処理でき得る事件とそうでない事件、または取り締まり効率の良い事件とそうでない事件とでは、監督署の対応に温度差が出るのはある意味宿命なのかもしれません。そうであるならば、こちらも最初から期待を大きくせず、問題解決の主役を監督署ではなく自分自身で務めるべきです。
労働基準監督署に期待することは、気軽な相談窓口として期待するだけにしておきます。窓口にいる相談員は、労働基準監督署の求めに応じて相談員として窓口に座っている人間です。労働法の知識を一般人より多く持っている人間と判断していいでしょう。違法性の判断やこれから採るべき対処法をご教授願う姿勢で臨めば、双方有意義な面談時間となると思います。
何が何でも監督署に動いてもらいたい、という姿勢で臨めば、監督官の仕事を増やしたくない業務方針によって煙たがられるリスクがあります。しかし最初からその気がなければ、相談員の熱心な対応を引き出せるかもしれません。
もちろん、労働基準監督署に対する「申告」をする決意の場合は、そのような姿勢で臨むことは厳禁です。それは次で述べたいと思います。
労働基準監督署に「申告」するならば、消極的なアドバイスに負けず断固とした意志で申告する
労働基準法違反については、誰でも労働基準監督署に「申告」する権利があります。
この「申告」ですが、誰でも認められた権利だからと言って、素直にさせてくれるわけではありません。このページで述べたように、監督署は人手不足で仕事を増やしたくないと考えているため、相談窓口の段階で相談に来た労働者を納得させ、追い返したい(?)と考えているのです。これは一種の水際作戦ですね。
ですから相談員に相談すると、「もう一度交渉しろ」とか、「あなたに落ち度はないのか」または「今申告しても解決は難しい」などという消極的なアドバイスを浴びせられ、戦意を喪失させられるのです。
ですから、「申告」しようとするならば断固とした決意で申告するべきです。
うまくいく、いかないの結果の影響を受けるのは紛れもなくあなた自身なのです。結果の影響も受けなく、かつ一緒に出た結果を苦しむこともしない相談員・監督署の思惑に屈してはなりません。
「申告」がされれば、労働基準監督署は全く対応をしない訳にはいきません。あなたの断固とした決意が泣き寝入り原因を克服する可能性を産むのです。
労働基準監督署の動きやすい事件と、そうでない事件とを知っておく
労働基準監督署の動きやすい事件とは、どのような事件でしょうか。
代表的な事件としては、悪質なサービス残業に伴う「賃金未払い事件」が代表的でしょう。このような事件は、違法行為の証明の難易度が割と容易で、かつ違法な未払いの規模が大きいケースが多いため、取り締まり効率も良く、監督署も積極的に動いてくれます。一時期は労働基準局の方針により、特に賃金未払い事件の摘発が強化されました。
複雑な労災事例や、解雇の有効性を争う事例を除いて、多くの労働事件に監督署は動く可能性があります。しかしそれは、こちらの解決に向けての強い意志が必要であります。ですから、動きやすい事件の種類を知ることよりも、確固たる解決意志を持つことが何より重要なのです。
しかし出鼻をくじかれないためにも、そして消極的なアドバイスによる戦意喪失に備えるためにも、動きやすい事件とそうでない事件とを知ることは意義のあることだと言えます。
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