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「ブラック企業が開き直り、嫌がらせをしてくる」の原因

 ブラック企業が明確な労働基準法違反をしているとしましょう。労働者はそれを止めてもらいたいがために法律上当然に認められた権利を行使します。それなのに無視や脅迫・不当な配置転換などの嫌がらせを受けた。なぜそんな理不尽なことが行われるのでしょうか?以下に、考えられる理由を挙げてみたいと思います。

 上に挙げた3つは、少し考えてみれば想像もつきますし、一度でも労働トラブルを経験した人ならば理解してもらえると思います。上に挙げた会社が開き直る各要因について、以下で詳しく見ていきましょう。

労働法で定められた「使用者が守るべき義務」を知らず、ゆえに正当な要求を「わがままな口ごたえ」としか判断できない

 労働者を雇っている立場にいながら、人を雇う上でのルールを知らぬとは、いささか信じられぬ話であります。しかし多くの使用者は「忙しさ」を口実に労働法制の勉強を怠り、自社の中で都合のいいルールを作り出しわずらわしい法令順守の手間を軽視し、使用者と雇用者の力関係を暗黙に利用しながら不当な利益を得ているのであります。

 明らかな勉強不足と、法律を知らないうえでの重い過失がありながら、問題発覚の際には「そのようなことは知らなかった」と言い逃れをするのも、このような使用者の傾向として見受けられます。

 「人を雇う上で使用者が守らなければならない義務」を知らないことは、今まで労働法を守ってこなかったことの言い訳に決してなり得ません。この手の使用者は、義務の存在をうすうすと知りながら、完全に知ってしまうとと守らなかった時の言い訳がなくなるため、あえて知ろうとしていないのです。

「雇ってやってるのに口ごたえするとは何事だ。誰のおかげでメシが食えていると思ってるんだ。」と真剣に考えている

 使用者が正当な権利を主張された時、それについて素直に受け入れることができない原因として、使用者優位思想に基づく労働者を見下した態度が原因の場合があります。

 人間の位(くらい)などというものが真剣にあると思っているのなら、それこそ前近代的な考え方と言わねばなりません。一部の支配階級・一部の資産家等のそのような考えに、どれほど多くの人類が悲惨な運命をたどったことでしょうか?使用者がそのような個々の人間の尊厳を軽視するような考えを持つのなら、イギリス産業革命時の搾取労働による悲劇が現代でも繰り返されるでしょう。

 そもそもこの手の使用者は、使用者と労働者にどのような優劣があると考えているのか?

 使用者は人を雇い入れるにあたり、その雇い入れた労働者に無償でお金を支払っているわけではありません。労働者は使用者の指揮命令に従い、時間を拘束され、使用者の営業活動・生産活動を手助けすることで会社に利益を与え、そのうえでお金をもらうのです。そこには、一方が他方を庇護するような依存関係・恩恵的関係はなく、ギブ・アンド・テイクの関係があるだけです。

 現行の労働法制にも、随所随所に労使対等の思想が見受けられます。労働契約法は、労働契約締結にあたり、『労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする』と定め、労使の基本関係たる労働契約の締結について、労使対等の立場を明確にしています。

労働者側に違反行為を証明する証拠がないと思い、「やれるものならやってみろ」とタカをくくっている

 会社は、労働者が会社の不当な行為を証明し得る資料・証拠を持っていない、もしくは労働法等で定められた使用者の義務などの知識を持っていない、と思っているから無視したり脅してくるのです。

 だから話し合いになっても強気の姿勢を崩しません。そして当然、会社の非も認めません。労働者が会社の不当な行為の責任を追及することなど出来ない、不当な行為の存在を証する資料がないと思っているからです。それがために、不当な行為をしたとの認識があったとしても「悪いことなど一切していない」と堂々と主張をしてきます。

 しかし今まで労働紛争に巻き込まれた経験の無い人にとっては、理性的な社会人の集団たる会社が、そんな見え見えのことをしてくるのか?とか、という疑問にぶち当たるでしょう。

 しかし、一度でも労働紛争に巻き込まれたことのある人や、一度でも労働紛争を横で見ていた人ならば、「不当な行為に走る会社だったら、それくらいのことはしかねない」と容易に思うでしょう。

 最近の会社の考え方は「違法性の責任を追及されなければ問題無し」という考え方を明確に持っています。ここでは、会社の行為が「違法であるか否か」は問題ではなく、「違法性を追及され得るか否か」が問題なのです。ですから、違法性を自ら認識していても、その行為の責任を追及されないだろうと自信があるならば、謝罪もしないし、反省の念も見せません。

 よって、労働者によって安易に責任を追及され得るような違法行為は、なかなかしてきません。後に責任を追及されても反論できるような対策を考え、実践し、伏線を貼っておき、そして労働者による権利の主張時に、醜いほどの態度で彼らを突き放し、開き直るのです。

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