ブラック企業に負けない「戦略的思考」の用い方・全体像
戦争遂行の意思決定過程には、ある一定の踏むべき考え方があります。
このカテゴリーでは、「戦略的思考」をブラック企業との戦いにおいてどのように用いるかの方法と全体像を説明します。
「戦略的思考」の全体像を見てみよう
ここでは、実際の戦争における戦略的思考を労働紛争にどのように活用するのか?について考えていきたいと思います。
実際の戦争も労働紛争も、戦う相手は感情を伴った『人間』です。そうであるならば、労働紛争に兵法や戦略論を応用・参照することは、有効だと考えられます。
しかし実際にそれらの兵法や戦略論は、各労働者が抱える労働紛争に対して、迷う余地もないほどの対応方法を与えるものではありません。
それらは、実際の戦争に入る前の準備段階や戦闘における人間の綾、行動形態、心理状況を示唆するものとなっているのが一般です。
では、兵法や戦略論・実際の戦争における膨大な議論・推敲の果てに生み出された戦略的思考について、以下で各段階をざっと挙げてみましょう。
- 第1段階:最終目的の設定
- 第2段階:自分(労働者)と相手(会社)を知る
- 第3段階:自分の定めた最終目的を実現するための、中間目標の設定
- 第4段階:中間目標を実現するための具体策をいくつか設定
- 第5段階:相手の最終目的・中間目標・具体策を予想・把握する
- 第6段階:相手の採りうるであろう具体策を考慮に入れつつ、自分の設定したいくつかの具体策の中から最も望ましいものを選ぶ
簡単に挙げただけではわかりにくいので、少し以下で説明します。
戦略的思考の各段階を詳しく知ろう
最終目的の設定
何を実現したいのか?最終的には何を目指すのか?
この部分が一番重要です。紛争開始から終わりまでの間に訪れる複数の「決断のシーン」において、選択の基準となります。
設定には考える時間を多く取る必要があります。最終目的を変更しないで中間目標や具体策だけを変更することは割と容易にできますが、最終目的の変更は大きな労力を伴います。
なぜなら全ての中間目標は、最終目的を実現するために設定されており、未来は最終目的の構成要素となるからです。具体策は、最終目的を変更しても、そのまま通用するものも多くありますが、中間目標だけは互換性が薄いのです。
自分(労働者)と相手(会社)を知る
自分と相手の置かれている状況、労働紛争になった場合の戦闘能力はどのくらいか?などを分析します。
相手の状況を知り、自己の状況を知ることで、それに見合った中間目標を設定することができます。この場面ではいまだ中間目標が設定されていないので、敵味方の状況に応じて、最終目的を現実に即したものに変更することもできます。
相手の実情を知ることは難しいが、自己を知ることも意外と難しいのです。自己の弱点に真摯に向き合うことは大きな苦痛を伴うため、その場をごまかすような都合のいい分析をしがちです。
自分の定めた最終目的を実現するための、中間目標の設定
最終目的を実現するための、中間的な到達点・・・を設定し、最終目的への道を踏み外さないようにします。
最終目的までの道のりは長いため、紛争中のモチベーションを維持するための区切りとしての役割も果たします。
中間目標を実現するための具体策をいくつか設定
中間目標を実現するための、『いつ、どこで、どのようにして?』の視点で考えます。
具体策は、短い期間で考えます。複数を列挙しておきます。
労働紛争における戦略的思考法 ~(4)中間目標実現のための具体策の設定
相手の最終目的・中間目標・具体策を予想・把握する
相手の現実行動・要求を分析し、時に質問をし、それらで得た材料をもとに相手の最終目的を把握します。相手の最終目的を知ることは、相手の中間目標の予測を立てるうえで重要となります。
そして、相手が今現実に採っているであろう目的から推察し、『中間目標⇒具体策』といういくつかのセットを予想しておきます。
この場合に重要なことは、相手が自分にとって優しくて思いやりのある、節度をわきまえた態度を取ってくれると期待してはいけません。
労働紛争における戦略的思考法 ~(5)相手の最終目的・中間目標・具体策を予想・把握する
相手の採りうるであろう具体策を考慮に入れつつ、自分の設定したいくつかの具体策の中から最も望ましいものを選ぶ
相手の『中間目標⇒具体策』といういくつかのセットを考慮に入れた状態で自己の具体策を再考し、いくつかの具体策の中から最も望ましい具体策を選びます。
今までに挙げた具体策はしっかりと残しておき、相手の行動の変化や新事実の把握に伴い、随時変更していく柔軟性を持たせます。
労働紛争における戦略的思考法 ~(6)相手の目標・具体策を考慮しつつ、自己の設定した具体策から最善のものを選ぶ
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