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戦略的思考法:第4段階~中間目標実現のための具体策の設定

ブラック企業との戦いにおける戦略的思考法の第4段階たる「中間目標実現のための具体策の設定」について、その意義と設定方法、具体例等を紹介していくページです。

具体的な策を立てようとすればするほど、その困難さに気づくと思います。当ページでは、わかりやすく具体策設定方法を説明しましょう。

中間目標を実現するための「具体策」とは?

 「具体策」とは、読んで字のごとく、具体的に何をするか?のことであります。もっと言ってしまえば、中間目標を実現するために、いつ、どこで、何をするか?ということです。

 労働紛争の戦略的思考の第四段階まで来ると、最終目的・中間目標はすでに定まっています。だから現実を直視して、まずは中間目標を実現するために足らない事項を割り出し、その実現を目指します。それが具体策設定の最もわかりやすい方法です。その点では、中間目標の設定方法と同じであるように見えますね。

 ただ、具体策は、最終目的・中間目標と比べると、数が多くてより細やかとなります。そして柔軟性に富んでいます。それが「中間目標」から「具体策」というレベルまで単位を細分化して行動することの、大きな理由となります。

細やかさが生む利点

 細やかさは、労働者の実際の行動を引き起こしやすい。具体策というのは、一般的に「いつどこで何をするか」が目に見える状態で計画立てられているのが普通なので、「やろう・やらなくては」という意欲が湧きやすいのだ。

 これが最終目的・中間目標という大きな枠の状態の中で行動したらどうであろうか?実現するべき到達点が大きすぎるため、何を実現すればいいのか分かりにくいですね。実現するべき項目はたくさんあるだろうが、何から手を付けていいのか分かりません。

 そうなると結局、先延ばしの習慣が頭をもたげてきてしまいます。「今やらなくてもいい」という自分への言い訳が始まり、結局何も為さないままに時が過ぎていってしまいます。

柔軟性に富んでいることの利点

 具体策は、具体策実現までの所要時間が短期であり、実現までにするべき作業・過程が少ないため、具体策の実現が状況の変化によって無意味になったとしても、すぐにそれを放棄できます。その具体策に固執する必要がないのです。

 具体策を複数用意しておく理由もこのためです。あくまで最終目的の実現こそが究極の目指すべきゴールであり、具体策を実現することがゴールではないのですから。

 具体策は、あくまで最終目的と中間目標を実現するための「手段」にすぎません。その手段が独り歩きをして、目的から離れているにもかかわらず固執してしまう愚だけは何としても避けたい。

 しかし過去の実際の戦争・争いを見てみると、手段が目的に優先したがために起こった悲劇が数多く見られます。

 「ここまでやったのだから、とりあえず実現だけする」という固執が、大きな浪費を招くこともある。その点、具体策には大きな積み重ねが無い分、こだわる気持ちは少ない。これは事態が望ましくない方向に行った場合の利点となるでしょう。

具体策の設定 ~その設定方法と具体例

中間目標の設定とほぼ同じだが、たくさんの選択肢を用意しておく

 具体策設定は、中間目標設定とほぼ同じだと言えます。しかし先ほども述べたように、具体策は柔軟性を持っていなくてはなりません。

 「最終目的」は自分の内面の価値観に基づいて出された内容であるため、その存在は複数となりにくく他の代替案も無い傾向となります。「中間目標」も、最終目的設定に沿って自己の現状にもとづいて設定されるため、柔軟に融通が効く、とはなりません。

 しかし「具体策」は複数用意しておく必要があります。それは、問題解決やある小目標の実現は、進むべき道は一つではないからです。多くの接近方法がある。そして接近可能な道は、相手の出方によって妨害されたりするものです。であるから、中間目標に至るまでの道のたる具体策はいくつか用意しておく必要があるのです。

 それはちょうど山頂に続く登山道だと考えると良いでしょう。山頂へ続く道は複数あります。そしてその道には、多くの障害が起こりうる可能性があり、時に通行不能になる。道が一つしか無い場合、頂上へのアプローチは絶たれる(下図参照)。

「具体策」は一つだけではないことを説明するイメージ図

 労働紛争における戦略的思考法の最終段階では、相手の想定される具体策をもとに柔軟に採るべき具体策を決定しなければなりません。決定する時、道が一つでは選択の余地はない。行動後の路線変更の必要が生じても道が一つではそこで新たな道を見出さなければならず、大きな時間的・精神的ロスを生んでしまいます。

 紛争という森の中に分け入ってしまった後に道を失い、その森の中で他の通行できそうな道を探すことはどれほど困難でしょうや?であるならば、森に入る前にできる限りの道を捜しておくのが安心です。

具体例

 ここで分かりやすい例を挙げて説明しましょう。ある最終目的実現のために、中間目標として「社内の労働者同士の団結」を掲げた労働者の例であります。

 彼は「労働者の団結」という中間目標を掲げると同時に、そのための具体策として「事業場の過半数を占める労働者からなる労働組合の結成」を思いつきました。

 しかしこの具体策だけで果たして十分でしょうか?

 労働紛争が実際に起こってしまう職場、またはそこで働く労働者が従業員の団結を必要と感じるような職場というのは、得てして使用者の管理方針が傲慢で圧政的であります。その中ですんなりと労働組合が結成できるでしょうか?露骨な組成妨害・恐怖に基づく従業員内での無関心・相互監視などの多くの障害が起こることでしょう。労働組合結成の道は、通行不可能となる可能性が高い。

 具体策複数設定の意義を理解している彼ならば、紛争という森に入る前にいくつかの具体策を設定するでしょう。ここで彼が挙げた「労働者の団結」という中間目標実現のための他の具体策とは、以下の通りである。

  • 外部労働組合加入のための最小限の仲間を作り、加入後社内で支部を立ち上げ、数の力で嫌がらせをけん制。その後長期的なコミュニケーションによってゆっくり仲間を増やしていく。
  • 使用者に対して異議を唱えた後の嫌がらせによる苦痛を和らげるために、各部署の同僚らに心の中での協力を依頼する等、根回しを徹底しておく。
  • 退職した上司らの力を借りて、退職上司らとつながりの深かった中間管理職らを抱き込み、来るべき嫌がらせの時にその効力を減少させる手を打っておく(職場内での嫌がらせは、使用者の命を受けた中間管理職が直接手を下すケースが多いから)。

 具体策を複数挙げる時、非現実的とか、夢物語であるとか、そういう心の中の制限は無くしておきましょう。考え付く限りの具体策を挙げるのです。これは一種のブレーンストーミング(アイデアの良し悪しに関係なく、たくさんの考えをリストアップすること)です。思いつくままに挙げることで、自分が取り組めそうなものが出てくる可能性があります。

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