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戦略的思考法:第5段階~敵の目的・目標・具体策を予想する

ブラック企業との戦いにおける戦略的思考法の第5段階たる「敵の最終目的・中間目標・具体策を予想する」について、その意義と設定方法、具体例等を紹介していくページです。

敵(ブラック企業)の最終目的・中間目標・具体策を予想することは、独特の難しさを伴います。このページでは、すくない情報からこれらを予想するためのポイントを説明していきます。

敵の最終目的・中間目標・具体策を予想することの意義

 労働紛争には常に相手(会社等)の存在があります。一人で行うものではないのですね。相手の何かしらの目的から生み出された行動が我に及ぶことによって、はじめて労働紛争に発展する前提が生まれます。

 相手があるならば、相手のことも考えなければなりません。いくらこちらが目指すべき最終目的に進んでいても相手の出方を無視していたら、効率が悪いばかりではなく相手の妨害によって目的地にも到達できません。

 例を挙げます。分かりやすく労働者の団結を目指すときの戦いの例です。

 相手(会社)の最終目的が『意のままの労務管理による容赦のないリストラ』、中間目標が『労働者の団結を断固阻止する』、そのための代表的な具体策が『団結の意志を示す労働者の徹底的な弾圧』。

 労働者の最終目的が『労働者が自由に意見を言える職場を作り、安心して働くことができる環境を作る』、中間目標が『労働組合を結成する』、そのための代表的な具体策が『有志を集める』だったとします。

 そのような苛烈な姿勢のもとで正面切って公に団結を呼びかけ有志を募集しても、こちらの目指すべき中間目標は達成されないでしょう。労働者各自は我が生活の糧を守るため、かたくなに口を閉ざし続けることでしょう。

 相手の具体策が『団結の意志を示す労働者の弾圧』であると分かっているならば、こちらはその弾圧による被害をまともに受けるような行動はとるなくても済みます。弾圧を受けない、もしくは弾圧をすることができない状況を作り出す具体策を立てることができるからです。

 戦略的思考法:第4段階~中間目標実現のための具体策の設定 では、いくつかの具体策を挙げておくべきだ、と述べました。それは、相手の最終目的・中間目標・具体策に素早く対応し、独りよがりで勝機の乏しい戦いになるのを避けるためであります。

 労働紛争は、当事者の力の均衡が著しく偏った紛争形態となりがちです。常に会社・使用者は強大なのです。そしてその強大な相手は、思いやりや情けなど持たず、ただ自己の利益のために卑劣な手段もいとわない連中なのです。

 であるならば、こちらは周到に準備をし、遠慮もする必要もなければ、恩を感じる必要もないのです。ゆるぎない目的を持ち、目的実現のための具体策をたくさん挙げ、把握した相手の目標・具体策を考慮して、複数の具体策の中から最良のものを選び出す・・・。

 『敵の最終目的・中間目標・具体策を予想・把握』 する過程は、決して侮ることができない思考過程であると言えるでしょう。

敵の最終目的・中間目標・具体策を予想するための方法と注意点

いかに予想するか?その方法とは?

 相手の最終目的と中間目標・具体策は、一体どのようにして把握すればいいのでしょうか?自分のことではないので、とても難しく感じるでしょう。

 しかし、己のことであっても正確に把握することは難しいのに、相手のことであればなおさらなので、おおよその目安を立てるくらいのスタンスで臨むのがちょうどいいと思います。

 では実際に把握する方法を説明しましょう。

 把握する上でもっとも参考になるのは、過去に起こった出来事です。今回自分たちが置かれている労働紛争のケースと似ていればいるほど良いでしょう。過去のケースで会社の採った行動と、今回の自分たちとの紛争で会社が採っている行動を客観的に見比べるのです。

 前出の例で言えば、過去に労働組合結成の動きがあったのならば実に優良な材料となるでしょう。その時会社はどのような対応をしたのか?その点について愚痴や偏見の伴わない事実を、当時の在職者に聞くのがよい。例えば、過去に労働組合結成の動きを潰すことに成功したのならば、同じ対応をする可能性が極めて高いでしょう。

 過去の例で、ここでこのような嫌がらせをしてきた。そういえば今回もそのようなことをほのめかしてきた。過去ではその後、こういう通知を出してきた。であるならば、今回もそのような行動に出てくるかもしれない・・・。人間は過去の成功体験を大事にするものです。加えて、新しい方法で物事を試すのが嫌いである。経験のある、慣れたものを好みます。

 もう一つ参考になる材料として、同僚らの噂話や、上司から直接聞いた話があります。

 しかし、これらの材料(特に噂話)は、非常に無責任で私情にまみれているものです。紛争過程で起こる様々な出来事を裏付ける程度の、補助的な材料にとどめておきましょう。

ブラック企業の最終目的・中間目標・具体策を予想した図

 予想・把握の方法をまとめてみよう。

 過去に起こったケースの過程と結果を分析する。目指されたであろう最終目的・中間目標を推理する。そして実際に採られた具体策を挙げる。その後、今回のケースと比較する。最終目的については、大きな差は見られないだろう。しかし中間目標・具体策はケースごとで違うことが多い。今回のケースでは違うと思われるならば、同僚・上司らとの話し合いの結果に聞かれた考えをもとに、現状を参考にしつつ予想してみる。そして材料が乏しければ乏しいケースであるほど、より多くの予想される具体策を挙げておく。

予想するうえでの注意点

敵は常に己にとって最も厳しい策を用いてくると肝に銘じる

 予想・把握の最大の注意点として最も気を付けたい点があります。それは「相手が自分にとって優しくて思いやりのある、節度をわきまえた対応をしてくれる、と決して期待しないこと」であります。

 これは過去のいくつかの兵法でも触れられている金言です。戦いの世界で「我に都合のいい、優しい敵」など存在しない、と言っても過言ではありません。

 こちらにとって最悪の事態に陥る具体策を、常に考慮しておいた方がいいでしょう。もし相手の採るべき具体策はどちらか想像しあぐねたら、迷わず我にとって厳しい方を予想しましょう。そのうえでこちらの採るべき具体策を選択します。そうすれば当てが外れることがあっても、惨敗を避けることはできるのです。自分がされて最も苦しい行動が、相手がこれから採る行動である、と常に考えておきましょう。

自由な発想で予想する

 次に挙げておきたい注意点は、「自由な発想で予想すること」です。

 古来より戦争は、理屈で説明できない多くの偶然や幸運がきっかけで勝敗が逆転してきました。労働紛争においても、そのような理解のできない偶然が起こるかもしれません。

 であるならば、自分の中の狭い常識や思考回路にとらわれた予想に縛られる必要はありません。たくさんの想像を自由に働かせることです。そして挙げた相手の具体策等に対して、それなりの対応を考えておくのです。

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