国民年金保険料、申請して「免除」となる所得基準を解説!
国民年金の保険料が免除となる基準は、所得に応じて各段階に分けられています。
法定免除に該当するならばわかりやすいのですが、そうでない方は、自分がどの免除に該当するかは、興味深いところでしょう。そこで当ページでは、年金保険料の免除制度について、所得にクローズアップし、説明をします。
会社を辞めた後は、何かとお金について不安がつきまとうもの。そこで年金保険料を未納にしてしまうと、将来に対し不安を持ち、未納にした引け目すら感じて、退職時の苦痛を一層増大させてしまいます。まずは年金保険料に関する憂いを断ちましょう。
このページでは、前半は、各免除制度における所得基準を、計算例を交えて説明します。その後、具体的な例を用い、あなたの所得だと免除はどの段階の免除に該当するかについて説明したいと思います。
理不尽な会社を辞めたことがきっかけで、あなたの未来の年金受給権が脅かされてはいけません。申請免除を有効に活用し、将来における経済的自立を守りましょう。
保険料免除となる所得基準をまず知ろう!
申請による全額免除の基準
計算例
前年の所得が、(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円の計算式で計算した額以下の場合、全額免除となります。
例を挙げましょう。扶養する親族(年収103万円以下の親族)が1人いる場合は、計算は、2×35万+22万=92万円となり、所得が92万円以下だとおおむね全額免除となります。
扶養する親族(年収103万円以下の親族)が1人もいない場合は、計算は、1×35万+22万=57万円となり、所得が57万円以下だとおおむね全額免除となります。
おおむねと書いたのは、これらがあくまで基準だからです。この基準をもとに、社会保険庁が免除をするか、またはどの段階の免除をするか決めるのです。
「所得が92万円なんて、そんなレベルすぐ超えそうだ」と思われるかも知れません。しかしあなたの収入が給料所得であるならば、年収としては所得に対して65万円(給与者所得控除)をプラスした金額までオーケーということになります。
この扶養する親族が1人いる方の例だと、年収ベースでは157万円以下、給与者所得控除額65万円を引いた金額(所得ベース)であれば92万円が全額免除のラインとなるのです。
この扶養する親族が1人もいない方の例だと、年収ベースでは122万円以下、給与者所得控除額65万円を引いた金額(所得ベース)であれば57万円が全額免除のラインとなるのです。
法律によって当然に全額免除になる場合の基準・条件
寡婦の方の場合
『寡婦』とは、夫と死別した妻又は夫と離婚した妻のことを言います。寡婦である場合、前年の所得が125万円以下であれば全額免除となります。
生活保護法による生活扶助以外の扶助を受けるとき
本人または本人の属する世帯の他の世帯員が生活保護法に定める生活扶助以外の扶助を受けるとき。
天災事変の場合
震災、風水害・火災等で住宅などにその価格の2分の1以上の損害を受けたとき。
失業した場合
失業等により保険料を納付することが困難になった場合は、会社から送られてきた離職票(離職を証明するもの)をもって、早速市役所にいってください。例え前年の所得が大きかろうと、基準さえ満たせば全額免除となります。
4分の3免除の基準
78万円+扶養親族等控除額(1人あたり38万円)+社会保険料控除額等
半額免除の基準
118万円+扶養親族等控除額(1人あたり38万円)+社会保険料控除額等
4分の1免除の基準
158万円+扶養親族等控除額(1人あたり38万円)+社会保険料控除額等
全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の注意点
免除される期間
申請免除がなされると、保険料が免除される期間は、7月から翌年の6月までとなります。
どうせ申請免除を行うなら、早い方がいいでしょう。例えば4月に免除申請を行えば、遡って前年の7月分から保険料免除となり、未納状態が減るかもしれません。
面倒くさい、わからないではなく、いざとなった時のあなたの生活費のために、未納を無くす努力はしていきましょう。
免除が通るか否かは、あなたの世帯の世帯主や配偶者の所得も影響する
あなたの世帯に配偶者や世帯主がいる場合は、配偶者や世帯主が上の全額免除基準を下回っていなければならない。
つまり世帯主や配偶者のどちらかの収入が全額免除の基準ラインを超えていたら、本人がいくら各免除ラインを下回っていても、それぞれの免除にはならない。
免除を得た後に保険料を追納するには、10年の期間的猶予がある
未納の場合の保険料を納めることができる期間は、2年であります。
しかし保険料免除申請をしてそれが通れば、免除から10年は保険料を追納することができます。10年あれば、家計の経済状況も立ち直っているかも知れません。
10年の期間中に保険料を納めれば、納めた月は、”保険料納付済期間1カ月”として年金額計算に反映されます。
具体例で知る、申請免除の所得基準
事業所得の少ない自営業者・Aさんの場合
Aさんは、配偶者(扶養親族)たる奥さんとの二人暮らし。
Aさんは、2010年12月に会社を退職。意を決して2011年1月から自営業者として独立しました。しかしなかなか収入に恵まれず、一年目から厳しいスタートとなりました。
Aさんの2011年の売り上げは、トータル120万円。今年一年の経費は60万円だったとします。
そうなると、年収は120万円、所得は60万円ということになります。
これを国民年金保険料免除基準の表に当てはめてみましょう。
Aさんは、配偶者たる奥さんとの2人世帯なので、全額免除の所得基準たる92万円すら大きく下回っています。
よってAさんが2012年7月以降に保険料免除申請をした場合は、2012年の7月から2013年の6月までの年金保険料は全額免除されることになるのです。
母子家庭で、母親たるBさんは第一号被保険者としてパートとして働き、家計をやりくりしていた場合
Bさんは、小学生の娘さんとの2人暮らし。
Bさんは、2010年12月に夫と離婚。2011年1月から、引き続きパート従業員として働いています。その時、第3号被保険者から外れ、第1号被保険者に移行。
Bさんは、2011年1月から、パートの時間を増やし、その結果2011年のトータルパート収入は150万円となりました。
そうなると、年収は150万円、所得は85万円ということになります。
これを国民年金保険料免除基準の表に当てはめます。
Bさんは小学生の娘さんと2人暮らしなので、2人世帯の欄を見ます。所得が85万円であり、全額免除の92万円ラインをわずかに下回っています。
よって、Bさんが2012年7月以降に免除申請をした場合、2012年7月から2013年6月までの国民年金保険料が全額免除されることになるのです。
また、全額免除の『所得』による理由だけでなく、『寡婦』に該当する者としても全額免除となりますね。
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