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労働組合代表が教えるブラック企業における労働組合の作り方

(※このページは2021年12月2日に更新しました。)

「せらび労働組合」代表の画像

当ページをご訪問いただきありがとうございます。自動車産業の中心地・愛知県で、労働者の権利を守るために有志と共に労働組合を立ち上げ戦っています。

労働法を守る意識の低い経営者の営む中小零細企業を主戦場とし、地方裁判所での本人訴訟を含め、数多くの労働紛争の実戦を経験してきました。

  • 「このまま経営者の横暴な待遇に我慢するのは嫌だ。戦いたい。」
  • 「この仕事は好きだし、転職して不利益を受けるのも嫌なので、この会社にとどまって戦いたい。」
  • 「外部労働組合に加入するよりも、社内で労働組合を作ろうと考えている同志とともに労働組合を結成したい。」

このページは、このような考えのあなたに向けて、道しるべとなるように書いたページです。実話をもとにしたストーリの中で、ブラック企業における労働組合の作り方を解説していきます(主人公セラビは、実在人物をモデルにした架空の人物です)。

社長やその親族が経営陣を独占しているような中小零細企業では、経営陣の人間的資質が労働者の雇用の安定に大きな影響を与えてしまいます。

経営陣に反発をすれば即刻解雇、などというのも当たり前に行われています。皆収入源が突然断たれるのが怖いため、見て見ぬフリか泣き寝入りとなり、その現状が一層経営陣を思い上がらせるのです。

この理不尽な現状を打破するための最も有効な手段は、労働者が団結して立ち上がること、つまり労働組合を結成し、力を合わせて不当な扱いに立ち向かうことなのです。

労働組合の作り方は、実はそれほど難しくないのです。規約を作成し、運営方針を決め、会社に対する要求事項を吟味し・・・などといろいろと複雑な作業があるように見えますが、今は参考になる情報もあふれているため、他社の労働組合の規約等も参考にしながら進めていけば必ず結成までこぎつけることができるでしょう。主な作業は以下の4つです。

  • 社内で労働組合結成か外部ユニオン加入で支部設置か?決定する
  • 各部署最低2人の仲間集め
  • 結成のための下準備
  • 結成大会の開催と通告

結成を目指すあなたが迷わないように、具体的な作り方を示します。あなたの勇気が雇用の安定に貢献することを心から願っています。

STEP1:社内で労働組合結成か外部ユニオン加入で支部設置か?決定する

「せらび労働組合」代表の画像

『組合を作る決意をした場合にまず取り組むことは、社内のみの労働組合を作るか、外部労働組合の支部設置という形で労働組合を作るかを選択することです。決断をする際は、それぞれの道を選択した際に生じる利点と短所をはっきりさせ、社内での現在の状況を分析することです。
どちらの道を選択するにせよ、発起人が幾度となく集まって話し合いをする必要があります。この集まりを「発起人集会」とでも呼んでおきましょう。
集会を開いていることと集会目的は、決して知られてはいけません。集会に参加する人物は、結成後中核を担うごく少数の人にしておきます。』

Episode1:もう放っておけない。我が身を守るために集う有志達

『高樹美都子』の画像

『聞いた!?佐藤さんが鈴木さんの解雇に異議となえて社長に抗議したら、佐藤さんの机のうえに解雇通知が置いてあったんだって!なんなのあの社長、なんだと思ってるの!』

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『聞きました、だんだんひどくなってきてますね。これでは正社員なんて形ばかり・・・。もうそろそろ、他の社員さんも、限界かもしれませんね。』

『高樹美都子』の画像

『もうとっくに限界よ!だって、退職金だって、少しの一時金をもらっただけで、退職金自体がなくなったんだから!どうなってるの?こういえば「じゃあ辞めれば」とかいう奴いるよね、できないから怒ってるんでしょ!歯向かう勇気もないくせに、余計腹が立つわ!』

「せらび労働組合」ブレインみずきの画像

『今日は皆さんに、聞きたいことがあるんですよ・・・どうですか?団結でもして、社長に物申してみませんか?つまり労働組合を作って、数の力で抗議しようということです』

『高樹美都子』の画像

『みずぎさんの提案なら聞いてあげたいけど・・・組合なんか作ったら、即刻クビになるでしょ?わたし生活かかっているし、困るよ。きっと組合なんか作っても、誰も参加しないわ、皆あのバカ社長が怖いのよ』

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『しかしこのままでは、きっとどんどんひどくなります。私は組合結成の顧問もしたことがあるんです。意外と簡単ですよ。作るのなら、私も協力しますし、皆に法律も教えますよ。』

『高樹美都子』の画像

『みずぎさん、難しい話はダメよ。私はねちっこいオジサンと同じくらい、細かい作業が大嫌いなんだから』

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『・・・・分かりました、でも大丈夫です。組合は、最低2人の労働者が集い、法律で求められた内容を盛り込んだ組合規約を作って、役員を決め、結成大会を開いて規約や役員などの事項を承認すれば成立します。市役所や労基署などへの届け出も不要です。規約作成が大変そうですが、インターネット上にひな形が掲載されているため、それを自分たちの組合にそって書き直せば完成します。』

『高樹美都子』の画像

『確かに簡単そうね、それなら私が協力できそうね!でも、誰が代表を?』

「せらび労働組合」代表の画像

『それなら、私がなりますよ。もともとの言い出しっぺは私ですし、組合参加人数がもっとも見込めるのは製造部ですからね。』

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『高樹美都子』の画像

『組合を作る、といっても、私とせらびさんだけではダメなんでしょ?』

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『さきほども言いましたが、労働組合は、少なくとも2人で作ることができます。また、すでに解雇されてはいる人も、労働組合員となることもできます。組合員の範囲を、労働組合自ら自由に決めることできるからです。たとえばの話、私も組合員として名を連ねることができるのです。私は会社と雇用関係にないので、私の事で交渉はできませんが、団体交渉には参加できます。』

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『佐藤さん、そういえば「納得できない、訴えてやる!」と激怒してました。加入を頼めるならば、頼んでみたいですね。佐藤さんなら、男気もあって、仲間になってくれるなら心強い。』

『高樹美都子』の画像

『しかし、たった3人というのも寂しいわね。もっとたくさん参加してくれればいいのだけど。』

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『たくさん組合員がいるのは魅力ですが、人を増やすために多くの人に声をかけると、結成の意図が会社側に知られる危険性もあります。バッサリと言うならば、組合員として立ち向かう決意の無い人間ならば、結成時は居ない方がいいです。決意に満ちた小人数の人間で十分結成できますよ。』

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『少数精鋭、ってやつですね。しかし少数すぎると、嫌がらせの集中攻撃を受けないかな?労働組合としての圧力は少ないような気もする。』

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『数が少ないことを補う手段はいくつかあります。背後に強力な勢力をちらつかせることが最もよく採られる手段です。外部労働組合の支部として、組合を作る手段です。外部労働組合は、ユニオンとか、合同労組とか、色んな名前で呼ばれていますね。』

『高樹美都子』の画像

『支部なんかになったら、なんか大変そうね。』

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『支部になることは、メリットもあればデメリットもありますね。それ以外で少数の不利を補う手段としては、弁護士に組合の顧問になってもらう手段もありますね。そして団体交渉に参加してもらうのです。顧問料は取られますが、有効な手段ではあります。』

『高樹美都子』の画像

『みずきさん、さりげなく売り込んでる?』

「せらび労働組合」ブレインみずきの画像

『そっ、そんなことありませんよ!』

『高樹美都子』の画像

『冗談よ、かわいいわねぇ』

発起人集会の開催

かしこまって開催する必要はないが、秘匿性は保つ

 発起人集会と聞くと、何かとても敷居が高く、難しい会合のような感じがします。しかし大丈夫です。「こうなったら労働組合を作ろう」「労働組合とはどんなものぞや?」と考える人たちが集まって、今後の方針やらを話し合う会のことなのです。組合結成のための準備会、と言った方がいいかもしれませんね。

 ですので、会議室を借りて議事録を作りながら行うなどのかしこまった行動は必要なく、近所のファミレスや居酒屋の個室・労働者の自宅などでも開催してしまっても何ら問題ないのです。

 気を付けることといえば、労働組合結成を前提とした集まりであることを会社経営者側の人間に絶対に知られないことです。よって、気軽に門戸を開いて参加者を集うようなことは避けましょう。私自身、組合結成のための話し合いの段階で情報が漏れ、突然解雇された労働者仲間を見てきました。

 ではどのような人が発起人となるのにふさわしいのでしょうか?

発起人としてふさわしい人とは?

 発起人集会で参加できる人は、労働組合結成の際に中心人物となってもいいと覚悟している人達です。もっと具体的に言うならば、最初は2人だけで構いません。

 組合結成時は、必ず経営者から嫌がらせ等の不当労働行為を受けます。そして高い確率で解雇されるでしょう。私もそうでした。8社の設立に関わったとプロフィールで触れましたが、実に7社で、突然解雇されました。

よって、労働委員会からの救済があり復職し収入が回復するまでの期間(およそ3~4か月くらい)、無収入でも生活ができるメドのある方(貯金などがある方など)や、副収入がある方、そして復職後の減収(残業をさせないなどの姑息な手段をイエスマン従業員と一体になって行ってくるから)に耐えられる方に限定されます。

私は仕事で組合結成サポートをしていましたので、その仕事をするため、想定される無収入期間対策というものをしていました。生活レベルをギリギリまで下げ、かついつでもアルバイトを探すことができ、副収入がある状態を事前に準備しておいたのです。

もしそのような準備が難しい場合には、結成する際の仲間を厳選し、その中から中心人物を2人選出します。そして、2人の無収入期間中の生活費を皆で一時負担します。不当解雇であればほぼ救済され会社はその期間中の賃金を当該労働者に支払うことになるので、その金で負担した皆さんに返却をします。私の場合、その方法を採っていました。

 組合結成は労働者に認められた権利ですが、同じ労働者であっても結成に嫌悪感を示す者も存在します。自分に直接不利益が及んでいない同僚で、かつ波風を立てたくないと考える同僚です。彼らにとって組合結成などわずらわしいの一言なのです。そのような人間から、言われなき陰口や批判を受ける可能性もあります。その事態になっても、正当な権利を高らかに言ってのける人とは、覚悟が決まっている人なのです。

 一定期間、給料所得が絶たれても生活できる人であることも、発起人としては必要事項かもしれません。発起人である以上、結成時に会社側の不当解雇に遭う可能性もあります。不当解雇となっても、不当労働行為による解雇無効を勝ち取り復職できるまで、経済的に耐えきることができる人であるのが望ましいでしょう。

 ※不当労働行為が認められれば、解雇されてから復職までの期間中の賃金を会社に払わせることができるが、認められるまでの期間は収入が断たれるため、経済的余力が必要となる。

この段階で声をかけてはいけない人

 この段階で声をかけるのを控えてほしい人は、さきほども少し触れました「自分に直接不利益が及んでいない同僚」です。

 彼らの最大の関心事は、我が身の雇用の安定です。自分に直接不利益が及んでいないのですから、波風など立てる必要はないのです。直接不利益が及んでいない同僚全てが、結成情報をリークする人とは限りません。しかし彼らにとっては「他人事」なのです。積極的意思はなくとも、なんらかの形で情報を会社経営者側に漏らす可能性もあります。

 つまり、発起人集会の段階で参加するにふさわしい人とは、不当な会社の行為に今まさにさらされている当時者のみとなります。そのように限定すると、集会参加者が少なくなるでしょう。しかしそれでも全く構いません。厳選されていれば、中核となる人物は少なくとも、組合結成は成し遂げられます。

社内労働組合結成か外部労働組合支部立ち上げか決断する

 労働組合を作るうえで、選ぶ道筋として大きなものが2つあります。それは、外部労働組合(合同労組・ごうどうろうそ)の支部を会社内で設置するか、会社内だけで労働組合を作るか、です。

 どちらの道で進むかは、組合を作りたいと考える皆さんの置かれた状況で変わってきます。ざっくりといいますと、(1)組合に参加する人数は多いか少ないか、(2)事態は急を要するか否か、の2つの判断基準で判断していきます。

組合に参加する人数の大小によって判断する

 労働組合を作りたいと従業員が考えるような会社は、ほぼブラック企業です。そのような会社内で少ない仲間(例えば、2~3人)で労働組合など立ち上げたら、会社側の嫌がらせの集中砲火を浴び、たちどころにつぶされることでしょう(現在は弁護士や社会保険労務士などの顧問法律家が、合法的な労働組合のつぶし方を教えている)。

 逆に参加人数が多ければ、会社が組合に参加した労働者に嫌がらせをしても、団体行動などの圧力を数の力で断行できます。

 参加人数が少ない場合は、外部労働組合の支部を社内で立ち上げるのがいいでしょう。外部労働組合の大きさは問いません。社内支部は小規模であるが、外部労働組合の後ろ盾があることを示すことができれば、会社側は組合員への嫌がらせを控えるようになります。つまり、外部労働組合の虎の衣を借りて戦うのです。

緊急性が高いか否かで判断する

 事態は急を要するか、も大きな判断基準となるでしょう。例えば、大量不当解雇が今まさに発生しようとしている場合には、組合を作る作業をしている暇はありません。

 大量解雇が断行される前に、素早く団体交渉をする必要が生じます。このような場合、解雇通知を受け取った労働者が解雇される日までの間に外部労働組合に相談し、すかさず社内に当該外部労働組合の支部を立ち上げ団体交渉をしたならば、会社はストライキなどへの発展を恐れ、不当解雇を撤回するかもしれません。

step1エピローグ:おせっかい世良美?

『高樹美都子』の画像

『世良美さん、前から思っていたんだけど・・・。なぜ世良美さんは、入社したばかりなのに、いきなり会社と戦うの?』

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『深い意味はありません。ただ単に、立場を利用して傲慢に振るう人間が嫌いなだけなんですよ』

『高樹美都子』の画像

『本当にそれだけ?下手すれば、入ったばかりの会社、クビになるかもしれないんだよ?』

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『大丈夫ですよ、いざクビにでもなったら、またどこかでアルバイトしながらでもいいですし・・・日本全国回ってもいいかな。しかし労働組合を利用して、徹底的に戻る努力してみせますよ。入社したてだから失うモノもありませんし、そんな人間が矢面に立てばいいんですよ。』

『高樹美都子』の画像

『世良美さんは本当に優しいんだね。その優しさなら、きっと素敵な彼女ができるよ。やっぱり男気があるのはいいわね~』

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『ありがとうございます・・・、男気と言えば・・高樹さんもありますよ。普通、自分に直接被害がないならば、同僚が苦しんでいても見て見ぬフリですが・・・高樹さんはそれがないですから。高樹さんこそ、なぜなんですか?』

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『中学の時、色々あってね・・・でも、なんだか話すのは照れくさいわね、私の芸風に合わないじゃない!それに、恥ずかしい過去なのよ。』

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『立ち入ったこと、聞いて、申し訳ありません。』

『高樹美都子』の画像

『ははは。いいのよ。これからもよろしくね、世良美さん。』

STEP2:各部署最低2人の組合員候補者集め

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『社内労働組合を作るにしろ、外部労働組合支部を立ち上げるにしろ、各部署に均等に組合員がいることが望ましいでしょう。たくさんの組合員が集まったとしても、各部署ごとに複数人の組合員がいる状態を作っておかなければ、一人しかいない部署の組合員が職場内で孤立し、脱退や退職などの非常事態を迎える可能性を生みだします。
各部署において、部署所属従業員の過半数が組合員となることが最良ですが、最初からそのようなことはまず望めません。よって、立ち上げ草創期の段階では、各部署ごとに最低2人を組合員を確保しておきます。』

STEP2プロローグ:組合員候補者の人選に思案をめぐらす発起人たち。草創期の戦略を練る。

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『私たち製造部では、多くの希望者が集まりそうですね。私と、原さん、榊原さんに飯塚くん、加藤君に石原さん・・。問題は総務部ですね。』

『高樹美都子』の画像

『私がいるから大丈夫よ、幾人か不満も持っているし、きっと結成したら集まってくれると思うわ。』

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『結成前に人が集まらないなら、心配ですね。高樹さんなら一人で立ち向かうこともできるかもしれませんが、やはり危ないのは間違いありません。結成前から確実に人員を確保しておきたいのです。各部署で2人確保できれば、嫌がらせにも耐えうる力が手に入るのですが・・・。』

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『盛り上がってますね、代表に高樹さん。』

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『・・・あら、みずきさん。あれっ、めぐみちゃんじゃない、どうしてここに?』

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『以前にお話ししましたが、竹田さんに対する経理部の奈良課長の行動がエスカレートしてきて、今日相談を受けていたのです。話の流れで、社内で労働組合結成の動きもあるとのこと話したら、話を聴いてみたいということで・・・。』

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『高樹さん、すいません、やはり耐えられなくて・・・。コンプライアンス室に相談しても、注意しかしてくれないので、思い詰めてしまって・・・』

『高樹美都子』の画像

『やはりダメね、コンプライアンス室なんて、対外的なアピールだけよ。あのスケベ奈良、専務に気に入られてるからって部署越えのセクハラなんて、大いに調子に乗ってるわね。めぐみちゃん、組合うんぬんは今日はどうでもいいから、話を聞いてあげるわよ。みずきさんはなんてたって弁護士だし、せらびさんも百戦練磨だからね。』

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『・・・すいません、辛くて泣けちゃいます・・。もうどうしていいのか・・・怖くて嫌とも言えないし・・』

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『なんて会社なの!こんなかわいくて若い子を泣かせるなんて、絶対に許さないわ!めぐみちゃん、ここなら大丈夫よ、今日はなんでも話してね。みんな味方だから。』

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『高樹美都子』の画像

『めぐみちゃんの気持ちと勇気は嬉しいけどね、きっと組合員として名前を連ねたら、もっともっと嫌がらせを受けると思うの。奈良はめぐみちゃんをどうにかしたくてしょうがないのよ。ああ、気持ち悪い・・・!』

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『でも・・・ここまで来たら私も戦いたい・・高樹さんにばかり甘えていても・・・』

『高樹美都子』の画像

『それだけ心が弱っていたら、変に追い詰められかねないよ。総務部はしばらく私だけで戦うから大丈夫よ。私にはバックに組合がついているからね、奈良も馬場もかかってこい!だわ』

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『高樹さんならひとりでいけそうと言いたいけど・・・先ほども申しましたが懸念もあります』

『高樹美都子』の画像

『みずきさん、私のことはよく知っているでしょ?どういう懸念かは知らないけど、何か考えでもあるの?』

「せらび労働組合」ブレインみずきの画像

『はい、やはり部署ごとに複数人が居た方が、嫌がらせや不当労働行為がひどい場合に戦いやすいのです。一人ですと完全に孤立させられる懸念もあり、そこから総崩れになった事例もちらほら見てきました。』

『高樹美都子』の画像

『う~ん、嫌がらせなんて何クソ、だけど、怒りで気が狂うかもしれないわね。そういわれると少し不安だわ・・・何か良い作戦はないかしら』

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『結成通告時に、あえて総務部からは誰も参加しない、という手があります。幸い私の製造部はかなり人が集まるので、しばらく製造部の組合員が活動を引っ張っていけばいいと思います。』

『高樹美都子』の画像

『それはいい・・・だけど、結成時に何もできないのはつまらないわね。一泡吹かしてやりたいのよ!こんなチャンス滅多にないじゃない!』

「せらび労働組合」ブレインみずきの画像

『・・・・相変わらずですね、でもその作戦で行く場合でも、高樹さんにはしてもらいたいことがありますよ。ぜひお願いしたいですね。』

『高樹美都子』の画像

『あら嬉しい!みずきさんに頼まれるなんて。私、イケメンの頼み事はたいがい聞いてあげるわ。何何?』

「せらび労働組合」ブレインみずきの画像

『・・・・。結成時に総務部の人達の反応を見ていてもらいたいのです。結成に好意的な人間やそうでない人間がきっとわかると思うのです。好意的な人間には、後日組合勧誘とまでいかなくとも、陰での協力をお願いするかもしれません。』

『高樹美都子』の画像

『なるほどね、それならお安い御用よ。』

「せらび労働組合」武田の画像

『私にも手伝わせてください!このままでは悔しいですし。』

『高樹美都子』の画像

『ありがとう、めぐみちゃん。頼もしいわ、でも無理はしないでね。』

人員集めはまずおいておき、現場の問題に向き合う

 組合を作る以上、参加労働者の数は多いに越したことはありません。しかし最初から勧誘の意図を前面に押し出して行動することは止めた方がいいでしょう。きっと敬遠されることでしょう。

 社内で労働組合を作る目的は何でしたか?それは、会社の不当な扱いにされるがままにならないためでした。であるならば、現場に渦巻く諸問題に向き合い、見返りを求めず相談にのってあげましょう。

 組合の役割の中に、「社内の労働者の相談に応じる」というものがあります。もし組合設立目的がさきほどの「会社の不当な扱いにされるがままにならないため」であるならば、これは組合員以外の労働者の相談にも応じることを含むと考えた方がいいでしょう。不当な扱いを会社から放逐したいならば、組合員であるか否かにこだわることは意味のないことです。

 現場で多くの相談にのっていると、職場で起きている問題の多くを把握できます。そして、第三者的視点から冷静に見ることができるようになり、組合結成後の団体交渉において、理性的で客観的基準(法律や裁判例など)にもとづいた要求をすることにつながっていくのです。

各部署で2人以上集まらない場合の対処法2つ

 部署ごと最低2人獲得の目標は、簡単そうに思えて実現が厳しいものです。そこで有効な対処法を説明しましょう。

対処法1:その部署の労働者は、あえて参加しない

 人が一人しか集まらない部署については、その労働者には参加を見合わせてもらいます。あえて陰で協力してもらうようにするのです。

 名を連ねていなければ、その労働者は嫌がらせに遭うこともありません。その部署において組合参加の流れが起こるまでじっと待ち、時機到来時に一気に行動するための下準備をしておきましょう。

 その下準備とは何でしょうか?それは、会社側人間・見て見ぬフリ人間の見極めです。そのような人間は、時機が到来しても考えは変わりません。時機到来時にそのような人間に関わることによる時間のロスを回避することは、極めて重要です。

 組合結成時は、どの人間が好意的な意見を述べているか、どの人間が嫌悪感を示しているか、最も知ることができる時です。

 結成に対する各労働者の反応は、今後の組合員確保の重要な資料となるでしょう。結成に対して否定的な意見を陰で話している人間は要警戒です。発足草創期に決して勧誘してはなりません。

対処法2:会社と不当な行為と戦うことを、仲の良い同僚だけに告げ、陰の強力を得ておく

 人が一人しか集まらない部署において労働者が組合に参加するには、もう一つ手があります。

 結成時には敢えて参加しないのは、対処法1と同じです。やはり個に対する嫌がらせの集中砲火は避けたいからです。結成時における部署内の同僚の反応を観察することも、対処法1に同じくです。労働組合結成について好意的な意見を述べた同僚については、秘密を厳守してもらいつつ、今後自分も組合に参加する旨を伝えます。

 「この会社のことだから、組合に参加した後は、私に対する嫌がらせが何らかの形で行われるだろう。私に対する表立っての協力は、あなた自身の将来に傷をつけることにつながってしまう。よって、私に対する協力は、プライベートの時間や会社外、上司の目の届かない場所、でしてもらえばいい。そして心の中では反発したりしないで欲しい。」

 多くの心ある労働者は、喜んで同意してくれることでしょう。なぜなら、陰での協力ならば、己に嫌がらせが及ぶことはないからです。給料で生活費をまかなっている以上、同僚の協力はこのような形でしか得られないかもしれません。

最悪の状況の場合の対処法:会社を解雇されて無職になっても生活しるう者2人だけで組合結成をする

 会社が極めて悪質なブラック企業である場合、組合参加人数が多い場合でも、妨害行為は決して亡くならないでしょう。

 そこで、肉を切らせて骨を断つ戦術をとります。解雇されても、救済が入って復職するまで経済的な目途の立つもの2人だけで結成し、2人が予定通り解雇になります。

 労働委員会の救済を得て復職します。その過程を得れば、経営者は労働組合に手出しができなくなります。その状態になったら、まず愛知県全域での募集を再開します。

STEP2エピローグ:高樹の悪夢

「武田めぐみ:中学生時代」の画像

『今度は労働組合を使って、おのれの罪悪感を誤魔化すわけだ・・・色々と考えつくね、さすが偽善者』

「高樹美都子:中学生時代」の画像

『偽善者だなんて・・・いくらめぐみでも、その言い方はないよ・・・』

「武田めぐみ:中学生時代」の画像

『あっはっはっはっ!よく言うよね、何もしてない私をみんなでいびって、こんな暗闇の世界に押し込めておいて・・・。言い方なんて、どうでもいいじゃない。美都子のやったことは、あんたの会社の社長のしてることより遥かにひどいのよ!分かる?』

「高樹美都子:中学生時代」の画像

『・・・あの時は、セツコやヒシキたちが怖くて・・・悪かったと・・』

「武田めぐみ:中学生時代」の画像

『さあ来た!そうやって!した人間は、すぐに自分にとって都合のいい事情を語って忘れていくのよ!された方は、その後ずっと、ずっと、そのことで影響を受け続けて、その後もそこから抜け出せずに。私もいまでも、この暗闇の中よ!どこにも行けない、美味しいものも食べられない、恋も何もできない!』

「高樹美都子:中学生時代」の画像

『ごめんなさい、ごめんなさい!・・・ごめんなさい』

「武田めぐみ:中学生時代」の画像

『もうすぐ朝ね、さあ、起きて!明るい世界が待ってるわよ!・・・私、絶対に忘れないから、そして、絶対に美都子を許さないから!』

「高樹美都子:中学生時代」の画像

『そんな・・・そんな・・』

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『うなされる高樹美都子』の画像

『夢・・・だったか。いつも、何か始まる時、出てくるね、めぐみ・・・。』

STEP3:結成のための下準備

「せらび労働組合」代表の画像

『結成のための下準備で一番大事な作業は、組合規約を作ることではありません。組合規約のひな形はインターネット上にたくさん出回っており、それを参考にすれば作成は困難ではないからです。何が一番大事でしょうか。それは「その企業の労働者のニーズに合った組合運営戦略を立てておくこと」です。
 この作業をしっかり行っておくと、戦略に沿った活動をしていくだけで、目立った勧誘活動をせずとも加入者が増えていきます。戦略を立てる、というと難しそうなので、各作業の内容と併せて説明していきましょう。
ちなみに、下準備で行う具体的な作業は、以下のものです。』

  • (1)不満の分析
  • (2)会社の分析
  • (3)社内の労働者の分析
  • (4)要求事項の整理と団体交渉申入書の作成
  • (5)組合規約の作成
  • (6)不当労働行為の学習
  • (7)結成大会の諸準備

Step3プロローグ:製造部の組合結成の勇者ら、結成前作業に奮戦する

発起人集会で下準備期間の基本方針を確認し合った世良美たちは、かねてから会社の違法行為に憤慨し、反抗していた孤高の従業員らに、少しづつ声をかけていった。対象労働者には、以下の3点を示して声掛けをした。

  • 今度労働組合を結成すること
  • 結成のことは、この場だけの話にしてほしいということ。
  • 会社経営陣からの嫌がらせ時には、心の中では味方でいて欲しいということ

この姿勢を徹底したため、人は最低限しか集まらなかった。しかし、参加意思を持たない従業員らに結成情報がもれることもなく、参加しない意思の従業員にも声掛けをしたことについて嫌がられることはなかった。

声掛けをしてからしばらくして、声をかけた従業員の中から、参加の希望が舞い込んでくるようにもなった。参加希望の労働者は、皆一律に追い詰められている者たちだった。

基本給を一方的に下げられたので生活ができないから戻して欲しいと歎願したところ、不満なら辞めてもらっても構わない、と言われた者。全く経験の無い部署に配置換えとなり、大した指導もされないままに成果を求められ、成果が出てないことを理由に、皆の前で怒鳴られ続ける者。

「世良美孝義」の画像

『どの参加希望者も、事態が急を要するものばかり・・・。本来ならば外部労働組合に加入してすぐさま団体交渉を打つべき事案のもの。結成のために下準備に時間はかけられない・・・』

「水樹悠作」の画像

『どうしました?参加者が増えてきた、と先ほど高樹さんから聞きましたが、物憂げな感じですね。』

「世良美孝義」の画像

『おお、悠作。実は・・・参加希望者は皆、待ったなしの追い詰められた人ばかりなんだ。結成準備に時間はかけられなくて。今すぐにでも団体交渉をして圧力をかけていかないと・・・』

「水樹悠作」の画像

『そうですか・・。やはりこの会社のブラック度は激しいですね。粛清の度合いは半端ではないですね。でしたら、簡素化できる箇所は徹底し、団体交渉申入書の作成だけに力を注いでいきましょう。』

「世良美孝義」の画像

『そんな風にしてしまっていいのかな?』

「水樹悠作」の画像

『労働組合規約などは、現在はインターネットでもひな形がたくさん掲載されています。それをインターネットからダウンロードし、私たちの組合に沿った内容で修正し、参加者に周知します。こだわりのところは後日直していけばいいでしょう。官庁に届け出をしないメリットはここですね。いくらでも後日修正できますから・・・。規約作成に注ぐはずだった労力を、団体交渉申入書の作成に注ぎます。ここは省略できませんからね。』

「世良美孝義」の画像

『うん、そうだね。ありがとう。先が見えてきたよ。規約については、早速作成してみるよ。あと・・・団体交渉申入書の作成の際には、榊原さんや原さんとも話し合うので、また悠作の立ち合いを願うよ、その時はお願いするよ。』

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「世良美孝義」の画像

『なんとかできたぞ・・・。昔立ち上げた組合の規約が参考になったな』

「水樹悠作」の画像

『世良美さん、できました・・・と伺いましたが。』

「世良美孝義」の画像

『ああ、ちょうどいいところに来た。これが先ほど完成した規約の下書きだよ。』

組合規約PDFファイル ※コピーしてお使いください。

「水樹悠作」の画像

『・・・。これでいいのではないでしょうか?後は、他の参加者の皆さんに説明し、了承を得るだけですね。さすがは百戦錬磨の雄ですね。』

「世良美孝義」の画像

『止めてくれよ、それ、前に高樹さんにも言われたけどね。照れくさい。』

結成前の下準備は、事態が急を要するか否かで力点を変えていく

 結成前といえども、この時点から組合活動・組合闘争は始まっています。経営陣と直接議論をかわすだけが活動ではないのです。

 この時点で最も重要なことは「組合運営戦略をしっかりと立てること」だと言えます。具体的に言いますと、どのような要求をメインにしていくか、です。

 ブラック企業で労働組合を結成するケースでは、多くの場合、労働基準法の最低ラインすら守られていないから仕方なく結成する、という場合が多いでしょう。法令がしっかりと守られている傾向にある企業では、賃上げなどの待遇改善要求がメインとなるかもしれません。

 つまり、その企業の労働者が求めるであろう要求内容に配慮した要求戦略をしっかりと打ち立てるのです。そして「私たちは○○の内容の要求をしていきます」と会社内で宣言し、実際に要求行動をしていきます。

 その会社の労働者が求めるであろう要求をしていくと、加入していない労働者は、労働組合は自分たちの意見を代弁してくれている考え、組合の存在意義を認識してくれます。それが労働者の新規加入につながっていくのです。

 意外と思われるかもしれませんが、ブラック企業の度合いが強くなればなるほど、会社内での組合員勧誘活動は控えないといけません。皆会社に目を付けられたくないのです。自分に直接的な実害が及んでいなければ、組合に加入することなどは日常を覆しかねない危険な行為でしかありません。積極的な勧誘活動によって組合そのものが疎まれてしまっては、元も子もありません。

 結成前の下準備は、以下の作業となります。

  • (1)不満の分析
  • (2)会社の分析
  • (3)社内の労働者の分析
  • (4)要求事項の整理と団体交渉申入書の作成
  • (5)組合規約の作成
  • (6)不当労働行為の学習
  • (7)結成大会の諸準備

 諸準備の中で、(1)~(5)までの作業が、具体的な戦略構築作業となります。組合結成から第一回団体交渉までの間隔を狭めないとならない場合(つまり、緊急を要する場合)は、この作業を重点的にこなしていきます。

下準備(1):不満の分析

「世良美孝義」の画像

『なんだか、今日は高樹さん、雰囲気がまったく違いますね・・・。』

『高樹美都子』の画像

『出勤日以外の私なんて、こんなものよ。おそらく、この姿を見て、会社の連中は私とはわからないでしょうね、それがいいのよ』

「せらび労働組合」武田の画像

『休日の高樹さんは、清楚系美人なんですよ!私も初めはびっくりして・・』

『高樹美都子』の画像

『まぁ、めぐみちゃん、清楚系だなんて・・・かなり当たってるけどね。さぁ、始めますか』

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「世良美孝義」の画像

『今日は、結成に向けての下準備で重要な、不満の分析作業です。ここに集まっていただいた勇者の方々には、不満について、遠慮なく挙げていただきたいと思います。』

『高樹美都子』の画像

『まあ、勇者なんて・・・。ところで、不満なんていくらでもあるけど・・・どんな不安でもいいのかな?』

「世良美孝義」の画像

『はい、どんな不満でもいいので、どんどん挙げてください。一つだけ守ってもらいたいことがあります。挙げた不満について、批判をすることは禁止です。ブレーンストーミング法でいきましょう。』

『高樹美都子』の画像

『ブレーンストーミング?』

「世良美孝義」の画像

『ブレーンストーミングとは、とにかく様々な意見や不満を挙げて、そこから規則性や共通点を見出す作業です。ブレーンストーミングが有効に作用するために、必ず他人の意見を批判しないこと、をまもらなければなりません。批判を許してしまったら、皆が批判を恐れ、自由闊達な意見が得られないからです。ブレーンストーミング法で得られた不満を見て、そこから団体交渉の戦略を構築していこうと思っています。』

「せらび労働組合」武田の画像

『・・・そういう事でしたら、たくさんあると思います・・・。私に関わることでしたら、勤務時間内外で、仕事以外の理由による必要以上のアプロ―チを止めてもらいたいです・・・』

『高樹美都子』の画像

『めぐみちゃんにとって、奈良ジジイのセクハラは、耐え難いからね。でもめぐみちゃんは、今時点では組合に入らないでしょ、組合員以外の者からの要求はできるの?』

「世良美孝義」の画像

『高樹さん、さっそく制限をかけてしまってますね。今この時点では、どのような要求をしたら戦略的にうまくいくか考えるために、とにかく不満という不満を出来る限り挙げることが重要なのです。よって自由闊達な意見ですよ。』

『高樹美都子』の画像

『ああ、そうだった。いけないいけない。そういうことなら・・・あれもこれもそれもどれも・・・』

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「せらび労働組合」竹田の画像

『・・・・・さすが高樹先輩。たくさん出ましたね(汗)』

「世良美孝義」の画像

『あっはっはっ、さすが高樹さんですね(笑)・・・ちなみに組合からの要求は、労働条件や職場内の問題だけに限らず、会社の経営方針についても言うことできるとされています。ですから、どんどん挙げてみてください。例えば、ボーナス時になぜかいつも業績が悪化して、それを理由にボーナスが出ない、とかです。』

「せらび労働組合」竹田の画像

『それって、よくありますね。私もこの会社に入って2回も聞きました!』

「世良美孝義」の画像

『あとで榊原さんらにも不満を挙げてもらいます。これらの不満を後でまとめ、要求事項を整理していきます。今の段階では、ずらっと挙げた不満を、同じ性質のものに分類しておきます。セクハラ・パワハラは、ハラスメント系に、残業が多すぎなどの問題は、過重労働系に、という具合です。』

「せらび労働組合」世良美のアドバイス時の画像

挙げられた不満の分類は、大きく以下の3つに分類します。

  • 法で認められた労働条件を下回る不当な労働条件に関する不満
  • 過度の残業などの過重労働に関する不満
  • セクハラ・パワハラなどのハラスメントに関する不満

「ブレーンストーミング」手法を使って、徹底的に社内にはびこる不満を挙げておきましょう。分類をするためには、不満要素が多い方が挙げやすいからです。「重複すること」や「わがままと思われること」を恐れる必要はありません。この場では不満を挙げることをためらわせるような意見も禁止です。

挙げられた不満を分類・分析すると、根っこが同じ不満があることもわかります。また、ある不満を解消することで、他の不満が同時に解決される組み合わせがあることもわかります。

時間は有限ですので、団体交渉で要求する事項は、緊急を要するもの以外は、同時にいくつもの問題を解決し得るものから取り上げていくのが王道です。

効果的な要求事項を選び取るためにも、不満を徹底的にリストアップする作業は欠かせないと考えてください。

下準備(2):会社の分析

「世良美孝義」の画像

『エイコーツールという会社を徹底的に分析したいと思いますが、皆さんは会社について知っていることは何かありますか?』

『高樹美都子』の画像

『う~ん・・・そういえば、具体的なことはあまり知らないわね。』

「世良美孝義」の画像

『労働組合を結成するにあたって知っておきたいことは、これらのことだと言われていますが・・・』

  • 経営者の性格
  • 会社顧問弁護士・社会保険労務士の特徴
  • 会社に最も影響を与えている主要株主
  • 会社の財務状況
  • 会社のメインバンク
  • 経営陣の派閥・パワーバランス

『これらを、結成準備期の今この時に、なるべく多くの情報をかき集めて、明らかにしていきたいと考えています。そこで、総務課に在籍中の高樹さんや竹田さんには普段の仕事の中で、これらの情報に関わる機会もあるため、少し頭にとどめておいて欲しいのです。』

『高樹美都子』の画像

『でもそんなことをしたら、会社の機密事項を漏らしたとかで、言いがかりをつけられないかしら?』

「世良美孝義」の画像

『その点についてですが、これらのことは会社の決算報告書や法人登記簿謄本などで分かる場合も多いため、突っ込まれる前に、それらの取得で知り得たことをほのめかします。決算報告書や法人登記簿・不動産登記簿謄本は、誰でも取得できますので、理屈は通ります。』

『高樹美都子』の画像

『なるほど・・・さすが世良美さんね・・・』

「世良美孝義」の画像

『・・・ありがとうございます。ただ・・・言いがかりをつけられる可能性もやはりあるため、総務課員の参加は、ある程度組合の活動が軌道にのって、社内に組合員が増えてからの方がいいと思います。軌道に乗るまでは、裏で暗躍してもらい、その中で知り得た情報・・・経営者の性格やメインバンクの情報をこっそり教えていただくとありがたいですね。』

「せらび労働組合」竹田の画像

『それでしたら、私にも力になることが出来そうです・・・。』

「世良美孝義」の画像

『竹田さん、ありがとうございます。ただし、無理に情報を聞き出そうとすることまでしないでもいいですよ。相手もなんでこんなこと聞いてくるのか?こいつも組合員の回し者か?と警戒しますし、また、聞き出そうとして距離が近くなって変に誤解されもいけませんから。』

『高樹美都子』の画像

『めぐみちゃんは可愛いから、近寄るとすぐオヤジたちは勘違いするからね、気を付けてね。』

「せらび労働組合」竹田の画像

『可愛い、だなんて・・。でも、気を付けます。』

「せらび労働組合」世良美のアドバイス時の画像

あなたの会社の登記事項証明書・登記簿の謄本・抄本については、所定の手数料を納付さえすれば、交付を請求をすることができます。登記事項証明書については,商業・法人登記情報交換システムにより、最寄りの登記所から他の登記所管轄の会社・法人のものを取得することもできます(※コンピュータで管理されていない登記簿の謄本・抄本は,会社等の本店又は支店の所在地を管轄する登記所でのみ取得可能)。

よって会社の分析作業は、これらの証明書などの取得作業を終えてからゆっくりと行うことになります。

会社に勤めている他の従業員の本質の分析作業、不満の分析・分類作業に比べ、分かりにくい点も多いため、完全にこなそうと思わなくてもいいでしょう。

エネルギーは、不満の分類と従業員の分析に注いでください。会社の分析は、時間がかかるものであるため、現時点ではさらっと行い、後日分かった部分について書き加えていく方式を採ります。

下準備(3):社内労働者の分析

「世良美孝義」の画像

『さて・・・・分析作業の最後、社内の労働者の分析作業ですね。社内のすべての労働者について、分かる範囲内で分析、というか、分類をしていきます。』

『高樹美都子』の画像

『最後は「分類」なんだね。それって、コイツは会社側、この人は信頼できる人、みたいな分類のこと?』

「世良美孝義」の画像

『そういうことですね。以後の組合活動を円滑に進めていくために、組合員以外の労働者にどのように接していくかは重要です。分類作業は、まず、会社側労働者と、反会社側労働者、無関心労働者の3つに分けます。その後、各労働者ごとに、独自の分類で仕分けし、対応を決めていくのです。これがまとめた表です。』

「労働者分類」の表

『高樹美都子』の画像

『どれどれ・・・うわっ、無関心労働者・・・いるいる・・・私の周りって、こんな奴ばかりだね。そのくせ、陰での愚痴だけは、経営者顔負けだからね。』

「世良美孝義」の画像

『この表によると、高樹さんと竹田さんは、「反会社側労働者」の「組合参加希望者」となります。しかし現状を考えると「陰の協力ならOKの労働者」となるでしょう。そして実は、組合活動を成功に導くためには、この「陰の協力ならOKの労働者」と「陰の協力まではしたくないが他言しない労働者」の取り込みが大変重要なのです。』

「せらび労働組合」竹田の画像

『「陰の協力ならOKの労働者」と「陰の協力まではしたくないが他言しない労働者」について、重要なのに組合加入を誘わないんですか?』

「世良美孝義」の画像

『しません。陰の協力さえしていただければ、経営陣からの嫌がらせはあまり怖くないからです。最も怖いのは、職場内で無視や放置によって精神的に組合員が追い詰められること。しかし陰で協力をすることを示し合わせておけば、表面上無視されていても、それは本心からでないため、無視される方は精神的に追い詰められることは無いからです。組合加入勧誘をしてしまうと、保身の気持ちもある労働者の協力を失う可能性があります。』

「せらび労働組合」竹田の画像

『なるほど・・・。確かに、演技だけの無視なんて、かえって滑稽ですね。』

『高樹美都子』の画像

『ということは、最初参加しない私たちは、演技無視をする可能性もあるってこと?』

「世良美孝義」の画像

『大いにありますね。私自身、何度も演技無視をされたことがありますね。その時は思いっきり、無視してください。毛嫌いな態度で接してもいいですよ。』

『高樹美都子』の画像

『あっはっはっはっ、それいいわ。経営陣はそれを見て、さあさあ、世良美思い知ったか!はやく辞めろ!って思ってるわけね。』

「せらび労働組合」世良美のアドバイス時の画像

他の従業員の分析と分類は、労働組合の護身のうえでも大変重要で、かつ死活を分ける作業です。

それはひとえに、仲間もしくは理解者を厳選する作業であるからです。我関せず、もしくは何らかの理由のために会社側に媚びへつらう人間には、間違っても労働組合結成の予定を漏らしてはなりません。

分析と分類で最も大事なことは、素早く行うこと、そして疑わしい者、よく分からない者については、同じく決して事前に伝えません。

下準備(4):要求事項の整理と団体交渉申入書の作成

「世良美孝義」の画像

『さて・・・・不満事項もたくさん挙げたので、後は挙げた不満を要求事項に落とし込み、団体交渉申入書を作成していきましょう。』

『高樹美都子』の画像

『申入書って・・・なんだか面倒くさそう・・・やること多いのね。そういうの、本当に苦手だわ・・』

「世良美孝義」の画像

『今はネットで「団体交渉申入書 サンプル」と入力して検索すれば、いくらでも流用可能な作成例が出てきますよ。ですから大丈夫ですよ。』

「せらび労働組合」竹田の画像

『本当に便利になったんですね。むかしは皆手書きだったと聞いていましたので・・・いい時代に生まれたと思います』

『高樹美都子』の画像

『私たちのような総務課の仕事も、パソコンばかりだしね。嫌味ばかりなおっさん上司たちと話す機会も減り、黙々とパソコンと向き合っていればいいし。』

「世良美孝義」の画像

『それは労働組合の運営業務でも、裁判でも同じですよ。訴状も皆パソコンで作成ですからね。むしろ手書きだと裁判官に嫌がられるくらいですし・・・』

「水樹悠作」の画像

『私たちの業務も、本当にパソコンメインになりましたよ。団体交渉申入書のサンプル、USBメモリーに入れて持ってきましたので、今から作成していきましょう。』

『高樹美都子』の画像

『あら~、主役の登場じゃない♪いいわよ、今から私がとことん付き合ってあげるから、作成していきましょう♪また共同作業ね。わたし、書類の作成って、大好きなの!』

「世良美孝義」の画像

『・・・・・・・・・』

「せらび労働組合」竹田の画像

『・・・・・・・・・』

「せらび労働組合」世良美のアドバイス時の画像

要求事項の整理

(1)で挙げた不満リストを整理する作業に取り掛かります。労働組合結成通知と同時に団体交渉を申し渡すのが結成時の王道であり、かつ団体交渉の席に使用者を引きずり出すうえで効果的だからです。

組合結成通知と第一回団体交渉の間隔が空きすぎると、組合結成時の闘争意欲がしぼみ、かつ経営者も組合結成の本気度を疑い組合を侮るようになります。要求事項の整理を事前にしておかないと、結成通知から第1回団体交渉まで間隔が空いてしまう事態を招きかねません。

要求事項の整理は、(1)で行った不満の分類表を利用します。第一回目の団体交渉で要求する事項は以下の事項とします。

  • 1.従業員の生活を脅かすような、緊急性を要する不満・問題点に対する要求
  • 2.一つの不満の改善を要求をすることでほかの不満をも解消しうるような要求
  • 3.多くの従業員が挙げた、改善の期待度の高い要求

(1)で作成した分類表を使って、2.と3.の要求事項を考えましょう。多くの従業員が抱える不満に対して要求をしっかり行っていくことは、組合員以外の従業員の、労働組合に対する信頼度と魅力度を増すことになり、後の加入促進につながります。

2.の要求事項の例をひとつ挙げておきましょう。

(例):総務課長の日頃の言動が、乱暴で多くの従業員を辞めさせた経緯があるので、言動に気を付けるよう要求する。

                     ↓

(工夫した要求事項の例):職長の言動が、多くの従業員のメンタルを病ませている現状があるため、前職長を対象としたハラスメント防止のための研修を義務付けるように要求する。

団体交渉申入書の作成

団体交渉申入書の作成はさほど難しくありません。現在はインターネット上にたくさんの「模範書式(ひな形)」が出回っています。

それらの中で編集しやすいものを選んで、日付や名称、要求事項の部分などを変更すれば出来上がりです。

よって要求事項の整理こそが、(4)の準備段階で重要だということが分かると思います。

※団体交渉申入書の作成については こちら のページへ

第1回団体交渉申入書のPDFファイル コピーしてお使いください。

「第一回団体交渉申入書」の画像

下準備(4):労働組合規約の作成

「世良美孝義」の画像

『申入書の作成という、最大のヤマ場を越えたら、あとは流れにそっていくだけです。労働組合の規約を作成していきましょう。』

『高樹美都子』の画像

『えーーーっ!まだあるの!?』

「世良美孝義」の画像

『そうなんですよ。組合の規約は、組合設立の際に作成しておかないと、いざというとき、法律による救済を受けられないので必須なんです・・・・』

『高樹美都子』の画像

『規約って・・・・あの、保険とかに入る時によくある、細かいやつでしょ?私人生において、一度も読んだことないのに・・・あれを作るなんて・・・』

「世良美孝義」の画像

『実は・・・・高樹さんが大騒ぎするんじゃないかとも思い・・・事前に大まかに作っておきました。もっと後で、榊原さんも会合に参加したら披露するつもりでしたが・・・』

『高樹美都子』の画像

『あの細かいのを、全部作ったの?目が悪くなっちゃいそう・・・すごいわねぇ』

「世良美孝義」の画像

『じつは規約に関しても、現在はネットや労働法関連書式集にたくさんサンプル例があるので、それをエイコーツール労働組合仕様にしたんです。ただ、組合員を規則で律するものであるのは変わらないので、組合参加予定者の方には、機会を見て承認を得ようと考えていました。』

「せらび労働組合」竹田の画像

『世良美さん、すごく手際がいいですね。まるで水樹さんと同業みたい・・・弁護士みたいですね。』

『高樹美都子』の画像

『・・・前から感じていたけど、労働組合の話になると、世良美さん、とっても話が流暢になるわね。説明し慣れてるというのか・・・・』

「世良美孝義」の画像

『・・・・多分、偶然ですよ・・・これは、皆、悠作、いや、水樹くんののうけおりですから・・』

『高樹美都子』の画像

『・・・ふ~ん・・。そうなの・・・ねぇ』

「せらび労働組合」世良美のアドバイス時の画像

組合規約の作成

労働組合の規約の作成は、労働組合法の保護を受けるうえで必須の条件となります。組合規約を作成していない労働組合は「法適合組合」にならず、労働委員会が行う救済措置を受けられません。

よって、サンプルをもとに作成したものでもよいので、労働組合法規約は作成しておく必要があります。

労働組合設立までの過程では、団体交渉申入書の作成等、力を入れるべき作業が多くあるため、規約の作成は最小限の努力で済ませておきます。形式的とはいえ、結成大会において参加組合員の承認を得ることは必須です。

※官公庁への届け出は必要ないため、後日変更も可能です。よって結成大会までは、とりあえずでもいいから組合規約は作成しておきます。なぜなら、結成直後が最も会社側による違法な妨害行為がおおいため、その時に労働組合法の救済を受けられないと、復職の道が絶たれてしまうからです。

組合規約PDFファイル ※コピーしてお使いください。

下準備(5):不当労働行為の学習

「世良美孝義」の画像

『・・・・・さぁ、今から不当労働行為の勉強タイムといきましょう。』

『高樹美都子』の画像

『えっーーーーーー!!ここまでやらせといて、最後は勉強タイムなの!?そりゃ、世良美さん、良くないよ!                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       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本話の主要登場人物

『世良美孝義』の人物説明画像

世良美孝義(せらび・たかよし)

知人や依頼人の求めに応じブラック企業に意図を隠して入社しては、そこで労働組合を結成してまた次の会社に行く、労働組合結成をメイン業務とする渡り鳥的活動家。このことは、榊原と水樹以外は知らない。

20代の時、ある会社で水樹と共に機械工として働いていた。一緒に司法試験の勉強をしていたが、世良美だけは司法試験を始めとした全ての法律系資格に不合格となり、組合活動家には資格が要らないこともあって活動家になった。

水樹が司法試験に合格し労働弁護士として活躍していることから、現在もアドバイスをしてもらっており、二人の絆は固い。

司法試験に挫折する一方で、地道な努力のすえにカンフーは会得。経営者の雇ったゴロツキの脅しにも動じない胆力がある。

『水樹悠作』の人物説明画像

水樹悠作(みずき・ゆうさく)

労働事件において労働者からの依頼だけを受ける、労働事件専門の人権派弁護士。

彼自身が現場機械工出身であり、働きながら司法試験に合格した経緯を持つため、労働者側代理人の道を選ぶことになった。

世良美とは現場機械工の頃知り合い、共に将来の夢を語り合った仲。労働組合の渡り鳥的活動家としての道を選んだ世良美を、司法の立場からサポートする。

穏やかで優しい性格から、老若男女問わず人気が高い。しかし本人は至って真面目。

『高樹美都子』の人物説明画像

高樹美都子(たかぎ・みつこ)

総務部総務課の中堅女性社員。聡明で美人だが勝気な性格で、女性なのに男気がある。

中学時代の自責の念から、立場の弱い者の味方になることを信条とし、行動してきた。

労働組合結成の話が出た時から参加し、結成後は、組合運営の中核を担う。後輩の竹田愛実をかわいがっている。

『竹田愛実』の人物説明画像

竹田愛実(たけだ・めぐみ)

総務部総務課の入社3年目の女性社員。

控えめで清楚な容姿から、総務部経理課の奈良次長に露骨なアプローチを受けており、社内労働組合の代表である世良美と、組合顧問である水樹に相談をしていた。

先輩である高樹を慕っており、プライベートで釣りや温泉に行ったりしている。

『世良美薫』の人物説明画像

世良美薫(せらび・かおる)

世良美孝義の一人娘。母親のさゆりは、職場の男性上司との間に薫を身ごもるが、発覚を恐れた男性上司がさゆりに中絶を要求したために、同僚だった世良美が父親になることを前提に結婚を申し出て、結婚する。

薫が5歳の時、さゆりが他界し、その後孝義が水樹や周囲の協力も得ながら薫を育てる。

活動家として職場を転々とする孝義の働き方と仕事について、心配しながらも、理解は示している。