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脅迫に負けない交渉術(2)~脅迫の無意味さを理解させる

ブラック企業との戦いにおける交渉の場で、「脅迫」に対し交渉術(主にハーバード流交渉術)をいかに用いたらよいか?を説明する第2回目。

「脅迫」を用いることが無意味であることをブラック企業に理解させるのはなぜ重要なのか?そして、理解させるための方法は?の2点を詳しく説明していきたいと思います。

問題を早く片づけたい一心で脅迫に手を染める相手に、脅迫交渉の無意味さを理解させることは容易ではありません。しかし私たちは事前に脅迫に屈しない決意を固め、それを相手に堂々と伝え、貫くことで、大きな前進をすることできます。

「断じて行えば、鬼神も之を避く」。ブラック企業に脅迫に屈しないことを伝えることは、問題解決へ向けての行動の第一歩となるでしょう。

脅迫の無意味さを理解させることはなぜ重要なのか?

 会社側の交渉担当者、もしくは経営者との話し合いの中で、脅迫が行われた場合、まず何からするべきでしょうか?

 その前に考えてみたいことがあります。交渉の場で脅迫を受けた場合、私たちの心の中にはどのような感情が湧きあがるのか?ということです。

 相手から脅しを受けた場合、多くの場合激しい怒りの感情が湧きあがることでしょう。恐怖というよりも、相手に対してより激しい敵意を持つことが多いのです。

 こちらはただでさえ、会社の不当・違法な行為によって精神的・経済的な損失を受けているのです。そのうえ、話し合いの席でまで「脅迫」という汚い手段を用いられるならば、心が怒りに支配されるのは当たり前でしょう。

 しかしそこで相手の行為に怒って同じようなこと(脅迫返し)をしては、解決する問題も解決しなくなります。私たちは脅迫が行われている交渉の場で、世間一般と違った結果を生むためには、今までと違った行動をとらねばならないのです。

 その行動・・・まず初めにすべき行動とは、相手に対して『「脅迫」が問題解決に役立たないことを理解させる』ことなのです。

 そのことを伝えるだけでも、脅迫された場面においては容易なことではありません。しかし相手の「『脅迫』を用いることで手っ取り早くトラブルを解決したい」という無責任な期待を打ち砕くことは必要なのです。その期待がある限り、会社側の交渉担当者は、建設的で公正な交渉をしようとしません。

 前にも書きましたが、脅迫は、脅迫された相手に、不信感と反発心を植え込むだけです。そして冷静な話し合いを生み出す可能性を極端に減らしてしまいます。

「無意味であること」をブラック企業に理解させる方法

 脅迫してきた相手に脅迫の無意味さ・不建設さを伝えるのはなかなか難しいです。なぜならこちらも脅迫によって心が穏やかでなくなっているからです。

 友好的な雰囲気の中で伝えるのとは違います。こちらが脅迫の無意味さを伝えようとしても、相手は真面目に聞こうとする態度を示さないかもしれません。

 その言動を見ながら冷静に説いていくのがいかに難しいかを頭に入れておきます。こちらの心が不愉快になるのも覚悟しておきます。

 そして以下のような言葉で相手に無意味さを伝えます。

  • 「そんな脅しめいた話をされても、この問題が解決するとは思えません。私はあなたと話し合いにきたのです。」
  • 「そのような話で互いが不愉快になって、一体どうして建設的な話し合いができるのですか。もう一度話をはじめに戻し、客観的で公正な基準に基づいた妥協点を探りましょう。」

 ポイントは、「こちらは話し合いで解決したいのだ」という気持ちを必ず伝えることです。

 脅迫を受けたあなたは、心が緊張し、怒りや不愉快な気持ちで声が震えてしまうかもしれません。しかし震えながらでもいいので、相手に伝えるのです。

 脅迫にのって、脅迫で返したり、感情的になって怒鳴ったりするのは、ドロ沼にはまる可能性を生み出します。