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有給休暇の付与要件~「6箇月間継続勤務」とは?

年次有給休暇は、「雇い入れの日から起算して6箇月間継続勤務」「全労働日の八割以上出勤」の2つの条件を満たせば、労働基準法第39条により当然に与えられる権利です。決して会社の温情や慈悲により与えられるものではないのです。

有給休暇が発生する2つの条件はとてもシンプルです。しかし「6箇月間継続勤務」に関しては判断に迷う例もたくさんあり、それがために会社の都合のいいように解釈をされることがあります。都合のいい解釈によって有給休暇がもらえなくなる労働者も発生しており、多くのトラブルを生む原因ともなっています。

当ページでは、不利益を受けた労働者が会社に適切に反論できるために、「6箇月継続勤務」に関する問題について説明していきます。その後、行政・司法機関の判断例を示します。

原則(行政・司法機関の判断例)を知り、各個別事例でどのような考えに基づき「6箇月間継続勤務」が判断されているかをも知ることで、皆さんが抱える事例について判断がつき、会社に反論することが可能になります。

当ページで、有給休暇について不当な扱いをする会社に反抗するための基礎を作りましょう。

行政通達・判例(裁判例)は、それぞれ「6箇月継続勤務」の意味をどのように説明しているか?

行政通達が示す「継続勤務」

 「継続勤務とは在籍期間をさし、継続勤務か否かについては、勤務の実態に即し実質的に判断すべき」【基発・昭和63・3・14】

 「例えば定年退職後の嘱託勤務、法第21条各号該当者、一定月ごとに契約更新して6箇月以上に及んでいる臨時工等でその実態より見て引き続き使用されると認められる場合には、勤務年数を通算する」【基発・昭和63・3・14】

 このように通達では、在籍期間を前提としながらも、対象期間が継続勤務となるか否かは、その中身、つまり実態で判断せよ、と言っています。

 通達は、具体例として、定年後の嘱託職員・短期契約雇用者を挙げました。

判例(裁判例)が示す「継続勤務」

 「労基法39条1項にいう「継続勤務」とは事実上の就労の継続を意味するものではなく、同一使用者のもとで一定期間被用者の地位を継続すること、すなわち労働契約の継続を意味するものと解する」【名古屋地裁・昭和46・5・24】

 「労基法39条の『継続勤務』は実質的に労働者としての勤務関係が継続しているかどうかにより決すべきであり、定年退職後同一使用者に再雇用された場合であっても、定年退職により一旦断絶した前後の雇用関係の内容に、勤務日数が大幅に変化する等のことがあれば、継続勤務とはいえない」【東京地裁・平成2・9・25】

 「1年間の期間の定めのある雇用契約を繰り返し更新し、途中中断することなく継続雇用されている者に対する労働基準法39条の適用については、これらの者は継続勤務したものとして所定の日数の年休を与えなければならず・・・」【東京地裁・平成9・12・1】

 「馬券売場の馬券発売又は払戻し業務従事者のように、競馬開催期間が雇用期間とされ、在籍していない期間があり、1か月間に1日も就労しない実態があっても、競馬開催期間についての法令上の制限があることから、労基法39条1項の適用についてはこれを継続勤務として、要件を満たす場合には、年次有給休暇を請求する権利を有する」【東京地裁・平成7・7・12】

 両者の示す定義の共通点としては、労働契約が結ばれている間、つまり在籍期間中は継続勤務と判断される、という点です。そして各個別事例ごとに判断材料となる事実を取り上げ、通算するか判断する、というスタンスです。

 では以下で、よく問題として取り上げられる具体例について、見ていきましょう。

各具体的事例では、どのように判断されているか?

定年退職後に再雇用した場合

 前掲の行政通達では、「継続勤務とは在籍期間をさし、継続勤務か否かについては、勤務の実態に即し実質的に判断すべきであり、次に掲げるような場合を含む」とし、次のような場合として「定年退職による退職者を引き続き嘱託等として再採用している場合(退職手当規程に基づき、所定の退職手当を支給した場合を含む)。」と示しました。加えて「ただし退職と再採用との間に相当期間が存し、客観的に労働関係が断絶していると認められる場合はこの限りではない」と例外にも触れました。

 しかしこの点について前掲の判例は「定年退職後同一使用者に再雇用された場合であっても、定年退職により一旦断絶した前後の雇用関係の内容に、勤務日数が大幅に変化する等のことがあれば、継続勤務とはいえない」という判断をします。

 整理しましょう。通達と判例の考えをまとめました。以下の考えをもとに上から順に検討し、あなたのケースで勤務年数が通算されるかの目安をつけましょう。

  • 継続勤務とは在籍期間をさし、継続勤務か否かについては、勤務の実態に即し実質的に判断する(この点は行政通達も判例も同じ見解)。
  • 退職手当をもらって定年退職しその会社で嘱託として再雇用された場合、その前後の期間は引き続き労働関係が継続しているとして勤務年数を通算する。
  • 定年退職と再雇用の間に相当期間が存している場合は、労働関係が断絶したものとして勤務年数を通算しない。
  • 再雇用までの間に期間が空いてない場合でも、定年の前と後で勤務日数等で大幅な変化があるような場合は、継続勤務とみなさず、勤務年数は通算しない。

会社合併に伴い、労働者が合併会社に採用された場合

 この場合、合併会社に採用された労働者の勤務年数は通算されると解されています。

 もし会社合併の時当該労働者に退職金が支払われても、その事実だけをもって労働契約が中断された事実にはなりません。退職金は、使用者が一定の時期(多くは退職の時)に支払う義務を負ったお金であり、それを払ったからといってその時が「退職時」になるわけではなく、「先払いで払った」と扱われるだけだからです。

パート・アルバイトから正社員になった場合

 この場合も、勤務年数は継続される、と解されます。

 「パート・アルバイトから正社員になった」という事実は、単に「会社内での身分に変更があっただけ」に過ぎないからです。

 パート・アルバイトから正社員に身分が変わる時に、一定期間の空白(例えば1~2か月)があったとしても、それが同一の使用者に採用される場合であれば、勤務年数は継続される、と考えられます。

労働組合の専従期間がある場合

 在籍専従(会社に在職したまま、休職等の扱いにより組合活動に専従するケース)の場合は、その期間中は勤務年数に通算するように取り扱わなければなりません。

 会社を退職して組合に専従する場合は、各人の具体的状況をピックアップし、それにより労働関係が継続しているか否かで判断する、とされています。

長期療養のために休職している期間がある場合

 休職期間中にも労働契約が継続していれば、その期間は勤務年数に通算しなければなりません。労働契約の継続こそが、「継続勤務」となるからです。

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