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「労働法」(弘文堂:菅野和夫著)を読み労働紛争に役立てる

ブラック企業と戦う場合においては、その戦いのツールが法律である以上、労働法を勉強しないといけません。

超初心者向けに、労働法の大まかな内容を紹介した本はありますが、もしあなたが本格的にブラック企業と戦う覚悟であるならば、知識の仕入れに当たっては、しっかりとした内容の本を読むべきだと思います。

私がまずおススメする本は、菅野和夫先生が著した「労働法」です。この本は、司法試験において、試験科目に労働法を選んだ受験生の多くが手に取って学んでいる本です。また、労働法を主な専門分野とする弁護士も、実務に当たって参考にしている本でもあります。

つまり、あなたの紛争において、この本で該当箇所を読み、理解すれば、会社側弁護士が反論してくることですら立ち向かうことができるようになることを意味するのです。

本の内容量は非常にボリュームがあり圧倒的ですが、安心して身をゆだねることができる定番書です。このページで、この本との付き合い方を紹介しましょう。

定番かつ精密な本書で、労働紛争に立ち向かう基礎を築く

「労働法」の表紙

 労働紛争にぶち当たった時、多くの人は少しでも法律知識を取り入れようとします。

 それが、自分で問題の全てを解決する意図であってもそうでなくても、多くの人は知識の収集に走ります。そうでない人も当然いますが・・・。

 では労働紛争に直面した時、どのようにして相手に打ち克つことが出来るような実戦的な労働法の知識を得ることができるでしょうか?以下で少し触れていきましょう。

労働紛争に打ち克つための労働法の学び方のプロセス(私見)

 労働紛争に打ち克つための労働法の学習のプロセスは、以下の流れがいいと私は考えます。この考えは今までの労働紛争の経験に基づいています。

(1) それぞれの権利の成立条件を知り、自分の紛争のケースで会社に主張出来得る権利を判断する。

     ↓

(2) 紛争解決方法の種類を知り、その中から自分が直面している労働紛争を解決するのにベストと思われる方法を選ぶ。

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(3) 方法を選んだら、主張する権利を裏付ける証拠を集めつつ、方法を進めるうえの手続き・書類の書き方などを予習する。

(1)のプロセス

 (1)のプロセスは、不当な行為の渦中にあって、「自分はどの権利を主張出来るか?」を学ぶプロセスです。自分がされている行為が本当に労働法に違反する行為なのか?違反する行為なら、自分はどこまで相手に権利を主張出来るのか?を学ぶプロセスです。

(2)のプロセス

 (2)のプロセスは、戦う方法を選ぶプロセスです。相手を攻めるのに、話合いで穏便に済ますのか、証拠を集め司法の場でシロクロ着けるのか、行政機関に相談して指導してもらうのか、労働組合に加入又は結成して、数の力で圧力をかけるのか、などの方法を、紛争の性質・当事者の性格などを考慮して選ぶのです。

(3)のプロセス

 (3)のプロセスでは、選んだ方法の細かい手続きを、マニュアル本を参照にしつつ予習します。又は争いながら参照していきます。なぜ”予習”と書いたのか?なぜなら私たちは労働事件の法的手続きなど経験が無いからです。ですから私たちに出来るのは予習が限度。

 たまに、本人訴訟をやる一般市民に上目遣いで見下す弁護士がいます。一般市民は法律手続など手際が悪くて当然です。それなのに優越感を持って見下すなど、個人の権利を守る弁護士として恥ずべき行為です。そんな法曹を気取った愚か者は放っておいて、私たちは出来る限り予習をするのです。

 プロセス(1)・(2)で役立つのが、このページで紹介している労働法 第11版 (法律学講座双書)です。

 プロセス(2)・(3)で役立つのが労働事件審理ノート、手続きの詳細な参考本として本人訴訟―自分でできる手続きマニュアルです。

「労働法」で、権利を主張出来る理論的根拠を学ぶ

 プロセスの説明で、権利の存在等を学ぶのに「労働法」を薦める理由は、理論の精密さ・詳細さからです。

 これだけ詳細に書いてあれば、こちらの権利の主張に対して相手がしてくる反論は、ほぼ初耳のモノは無くなります。相手の言っていることが初耳のものである場合は、見当外れな反論をしている可能性が高いです。

 前もってあなたの紛争における一般的な論点を知っておくと、相手が突然反論してきても慌てなくなります。その心の余裕が、冷静な判断を生み出してくれるのです。

 また、文中に裁判例(判例)の引用も多く載っているので、あなたの紛争と似たようなケースでは、裁判所がどのように処理しているか分かります。それはとりも直さず、裁判までもつれ込んだ時の勝算まで予測出来るのです。

『労働法』の内容を見てみよう

かなり圧倒的な外見だ!

 では、本の内容を見ていきましょう。まずその圧倒的?な容姿です。緑色の背表紙に丈夫そうな作り、分厚いページ数です。

 総ページ数なんと780ページ以上!さすが司法試験で労働法を選択する学生が読み込む基本書ですね。

 それは裏を返せば、読み込めば読み込んだだけ精密な理論の恩恵を受けられるということです。

菅野和夫の「労働法」

 上の写真は、私が使っている『労働法』です。実は私、第八版にいろいろな書き込みがしてあって使い勝手がいいので、第九版を買った後でもいまだ八版を使用しています。

 なかなか使い込むと新しい版モノに移るのが面倒です。

 よって、改訂箇所だけしっかりチェックして、よほどの改訂が無い限りはこのまま第八版を使おうと思っています。

 その分厚い内容ですが、司法試験の勉強のみならず、実務の問題点の理論的解明にももちろん役立ちます。弁護士先生が書いた多くの労働法の実務本も、菅野先生の『労働法』を参照にしています。ですから、第一線の学説・実務・判例をこの本で学ぶことが出来ます。

圧倒的な外見に見合った、理論精緻詳細で実戦的な内容

 本の雰囲気ですが、図説のほとんど無いかなりマニアックで本格的な内容となっています。ですから、1ページ目から全部読んでやろうと考えると、極めて挫折めいた読書になる危険があります。皆さんの知りたい個所を、少しづつ読んでいくことから始めるべきでしょう。

 しかし、たまになけなし?の挿入図もあります(下参照)。

本文中の図

 先ほども言いましたが、弁護士先生の労働問題ノウハウ本は、多くの場合『労働法』を何かしらの形で参照にしてます。ですから、この本の内容に精通するということは、日本の現行の学説・実務・司法のトレンドに精通するということです。

 ですから、あなたの権利の主張の可否を判断する過程でも、安心して判断根拠に出来ます。

 収録内容は、個人の労働紛争労働組合などの集団の労働紛争各種労働紛争の解決手段の種類の紹介です。ですから本書を読めば、一通りの労働法の知識は得られます。ただ収録内容は膨大なので、あなたの紛争にかかわった個所から読むのがベストでしょう。

 また、詳細な手続などは触れられていませんので、その箇所については労働事件審理ノートなどで学んだ方がいいでしょう。

私の『労働法』の使い方

 私は「労働法」を、理論と知識の吸収の場としています。

 労働法関連の本は他にたくさん出ていますが、あれもこれもと読んでいる暇など正直ありません。知識や理論の補充としては、他に『最新重要判例200 労働法 』を読むくらいです。

 労働紛争の現場ではよほど込み入った事情がない限り、相手の反論に対する対抗・分析は、この一冊と判例集・六法全書だけで十分です。あとは手続関係の本を読むことで完結します。

まっさらな専門書を、自分の使いやすいように工夫する悦び

 『労働法』には、多くの判例が載っています。判例については、一目見て分かるように鉛筆で囲い、労働者にとって有利な判決であったかそうでなかったかメモしています(下写真参照)。

分かりやすい印の例

 また、『労働法』は、その収録分野の多さから、編数・章数・節数ともにかなりの数があります。よって、蛍光マーカーで一目見て節の区切りを分かるように色付けしてます(下写真参照)。

マーキング色分けの例

 赤のマーカーで編の題名を、黄緑のマーカーで章の題名を、青のマーカーで節の題名を、黄色のマーカーで節以下の区切りの題名をマーキングして分かりやすく分類してます。

 ・・・いかがでしたか?私の座右の書『労働法』は、そのとっつきにくい外見とは裏腹に、内容は確かで信頼があります。この本を読みこんで理解すれば、どこの職場にいっても使用者のいい加減な労務管理にたぶらかされることは無いでしょう。

労働法 第11版 (法律学講座双書)

 

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