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労働紛争解決の最終手段。自分だけで民事訴訟を起こすには。

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労働紛争において頻繁に起こる解雇や賃金未払い問題において、最も一般的な解決手段となるのが「民事訴訟」です。

残念ながら、解雇の労働紛争においては、労働基準監督署は労働者のために行動してくれることはまずありません。監督署の窓口に行っても、最終的な解決は訴訟で行うようにと勧められるだけです。

しかし訴訟となると多くの人が、傍から見た難解さに尻込みしてしまいます。しかし訴訟は誰でも自分だけで起こすことができるものです。弁護士に委任しなければできないもの、ではないのです。

当ページでは、何件もの労働訴訟を自ら行ってきた管理人や管理人の先輩諸氏の経験をもとに、自分だけの力で民事訴訟を起こす際に参考となる知識を紹介していきたいと思います。

自分で訴状や準備書面を作成する際の参考となる書籍についても、紹介していきたいと思います。

労働紛争における民事訴訟の活用のポイント

 

 

民事訴訟の流れ

 

 

民事訴訟にかかる費用

 裁判を起こす場合、もしくは裁判をしている最中には、様々な出費が出ます。一般に、この費用は「訴訟費用」と「訴訟費用以外の費用」に分けられます。両者の違いは、誤解を恐れずわかりやすく言えば、「裁判に勝った場合に、相手方に負担させることができる費用かどうか」です。学究的な定義は厳格ですが、私たちは司法試験の受験生や法曹職ではないため、このような区別の仕方で十分でしょう。

 例を挙げましょう。弁護士費用についてです。裁判に勝つと、訴訟費用を相手方に負担させることができますが、弁護士を立てることによって発生した費用は、相手方に負担させることはできません。逆にいうと、相手方が弁護士を立てた際にかかった費用についても、こちら側が負けた場合でも負担しなくてよいのです。

 各費用について、詳しく説明しましょう。

裁判を起こす時に必要となる費用(訴訟費用)

 裁判を起こす場合に必要とされる、裁判所によって決められた費用のことを「訴訟費用」といいます。

 訴訟費用を相手方に負担させるには、訴状作成の際、「請求の趣旨」の箇所に、「訴訟費用は被告の負担とする。」という文言を入れておきます(訴状の書き方については、後述します)。そのように記載しておくと、勝訴の判決が出た際の判決文に、「訴訟費用は被告の負担とする。」という文章が加えられることになります。

 しかし、相手方(被告)も、答弁書において「訴訟費用は原告の負担とする。」という文言を入れてきます。もしこちらの主張が認められず請求が棄却された場合(敗訴した場合)には、相手方が負担した費用を負担することになります。

 訴訟においては和解の試みが頻繁に行われます。そこで和解が成立(裁判上の和解が成立)すると、「訴訟費用は各自の負担とする。」という文言によって訴訟費用が各自の負担となって事態が収められることが多くなります。私が和解をした場合も、すべてはこの形で、訴訟費用については決着がつきました。

収入印紙代(手数料)

 収入印紙代については、労働裁判においては意外と難しいケースがあります。裁判について一般的な質問をしに行く機会があるならば、そこで尋ねても良いでしょう。しかし請求する額によっては、収入印紙代が高額となるケースもあります。訴訟で請求する金額が1,000万円までの収入印紙代(手数料)は、以下の図の通りです。

民事訴訟の収入印紙代(手数料)
民事訴訟の収入印紙代(手数料)

 不当な扱いを受けて生活が厳しい労働者にとっては、裁判のし始めに支払う収入印紙代は厳しい負担となるため、訴訟をするしないの重要な判断要素となります。よってここでは、収入印紙代がいくらになるかについて、自己で判断できるように詳しく説明します。事前に収入印紙代が分かれば、経済的に苦しい場合には訴訟自体をしない選択もできますし、「訴訟救助」制度を利用して裁判を行う決断もできます。

 収入印紙代は、裁判において請求する金額によって変わってきます。一部の例外(解雇予告手当・休業手当・割増賃金・年次有給休暇賃金)を除いた通常の未払賃金請求訴訟のように請求金額がはっきりとしているものであれば、訴額の算定方法はそれほど難しくありません。

 労働裁判で頻繁に行われる不当解雇に対する訴訟(地位確認等請求訴訟)においては、従業員たる地位の確認の請求とともに、解雇されてから解雇の無効が判断される期間までの賃金も併せて請求するため、訴額の計算について、詳細に検討・計算する必要が生じます。また、解雇予告手当・休業手当・割増賃金・年次有給休暇賃金等の未払賃金請求訴訟についても、未払い分と同額の付加金も請求できることから、計算が変わってきます。それらについて、少し掘り下げて説明しましょう。

不当な解雇の無効を求める訴訟(地位確認等請求訴訟)の訴額計算方法

 「従業員としての地位が存在することの確認を求める請求」と「解雇無効の判決が出るまでの賃金の請求」を併せて行う「地位確認請求」においては、地位確認請求の訴額(160万円)と、無効判決が出るまでの期間の賃金の請求総額に対応した訴額の、高い方を訴額とします。この二つの訴額の合計が、地位確認等請求の訴額となるわけではありません。

 ※地位確認請求と併せて解雇無効の判決が出るまでの賃金も請求する場合、訴訟の名前は「地位確認等請求」という名前になります。「等」が加えられるのですね。

 「従業員としての地位が存在することの確認を求める請求」の場合の訴額は、裁判に勝ったことで得られるであろう利益(訴えの利益)の価額の算定ができないため、訴額を160万円とみなし、それに対応した収入印紙代の13,000円となります。

 「解雇無効の判決が出るまでの賃金の請求」の場合の訴額は、「解雇されてから訴えの提起までの間に経過した賃金支払い日に、支払われなかった賃金の総額」と「訴えの提起から一年が経過するまでの間に経過する賃金支払い日の数×賃金額」の二つの額の合計が訴額となります。

 解雇無効を争う場合の訴額160万円と、上記「解雇無効の判決が出るまでの賃金の請求」に対応した訴額を比べ、高い方の額が訴額となり、その訴額に対応した収入印紙代となります。そこではじめて、地位確認等請求の収入印紙代がはっきりするのです。

地位確認等請求における収入印紙代(手数料)の算出例

 「解雇無効の判決が出るまでの賃金の請求」の訴額は、5月25日支払分(25万円)+6月25日支払分(25万円)+7月10日~来年7月9日までに経過する給料支払日回数12回×25万円(300万円)=350万円となります。訴額350万円の場合の収入印紙代は20,000円であり、地位確認請求だけの場合の収入印紙代は13,000円。

 訴額350万円の場合の収入印紙代は20,000円であり、地位確認請求だけの場合の収入印紙代は13,000円。「解雇無効の判決が出るまでの賃金の請求」の方の収入印紙代のが高くなります。

 よって、具体例における訴訟の収入印紙代は、「20,000円」ということになります。

解雇予告手当・休業手当・割増賃金・年次有給休暇賃金の未払賃金請求訴訟の場合の訴額は?

 解雇予告手当・休業手当・割増賃金・年次有給休暇賃金の4つについては、これらに未払いがある場合で未払賃金請求訴訟を起こす際は、未払い分と同額の金額を未払い分と併せて請求することができます。この併せて請求できる部分を「付加金」といいます。

 各裁判所で、付加金を含めた請求額をもって訴額を決めるか否かで扱いが違っていましたが、近年最高裁判所において「付加金は訴額に上乗せしない」という判断がでました。

 この判断によって、私たちは付加金も請求する場合であっても、付加金を除いた本来の請求分のみに応じた収入印紙代をもって裁判を起こすことできることになります。

 労働紛争に巻き込まれ、収入の激減・予定外の出費に追い詰められている労働者にとって、たとえ1・2万円でも出費が抑えることができるのは、大変意義のあることであります。

あらかじめ納付しておく郵便切手代

 郵便切手代は、解雇事件・未払賃金請求事件の区別なく、ほぼ一定です。自身の経験によりますと、おおよそ6,000円程度でした。

 民事訴訟が始まると、こちら側が裁判所に提出した準備書面等が相手方に送付されたり、相手方から裁判所を介して相手方の作成した準備書面等が郵送されてくるようになります。その時使用される郵便切手を、あらかじめ納付しておくのです。

 民事訴訟終了後、未使用の郵便切手がある場合は、その余は納付した本人に返還されます。

その他の費用(鑑定・検証・証人尋問の際にかかった費用)

 「証人」を立てる場合・「鑑定」を依頼する場合・「検証」をする場合、には、それぞれに独特の費用がかかることになります。

 これらの費用については、こちら側が勝訴すれば相手方に負担させることができます。特に「鑑定」については、必要な費用が高額となるため、相手方に負担させることのメリットは大きいでしょう。

「証人」を立てる場合の費用

 「証人」を立てることで自己の主張を立証しようと考えるなら、「証拠申出書」を提出し証人を立てる旨を裁判所に伝えないといけません。そして、証人を立てる場合は、日当として一日8,000円程度の金額がかかります。

 また、こちら側の証人を裁判所に呼んで証言してもらう際は、来てもらう際の交通費を負担します。

 

 

 

 

弁護士費用

 先ほども触れましたが、弁護士を立てた場合にかかった費用は、こちら側が勝訴したとしても、相手方に負担させることができません。こちら側が敗訴した場合でも、相手方が弁護士を立てた際にかかった費用を、負担する必要はありません。

 近年、弁護士会の報酬基準なるものが廃止され、弁護士によってかかる費用が違うケースが見られます。有名な弁護士であれば、立てる際にかかる費用は高額になりがちです。例えば、相手方の費用まで敗訴の際に負担することであれば、もし相手方が高名で費用の高い弁護士を立てていた際、資力の低い当事者は、敗訴によって経済的な窮地に追い込まれる可能性があります。

 これは相手方の不法行為によって損害をこうむった人間が訴訟を起こす際に、裁判を起こす権利を制約しかねないリスクとなります。裁判を起こす権利は日本国憲法ですべての国民に認められた権利であるため、そのような権利を制約しうるような法律の決まりは(基本的には)作られません。

 例外があります。原告による訴えの提起が相手方に対する違法な行為である場合には、被告が支払った弁護士費用等について、原告が引き起こさせた損害額として、損害賠償請求認容によって原告が負担する可能性があります。しかしこのようなケースは、きわめてまれであると言えるでしょう。

民事訴訟の当事者(登場人物)

 基本的に、民事訴訟に関わる人間は、裁判官・裁判所書記官・原告・被告の4人となります。

 裁判の当事者(原告と被告)がそれぞれ訴訟代理人(裁判の当事者からの委任を受けて当事者に代わって訴訟の手続きを行う者)たる弁護士・司法書士を立てる場合は、その者が加わります。

 加えて、各当事者が、自身の主張を立証するために、証拠として証人を立てる場合は、その証人も裁判に関わることになります。

民事訴訟の登場人物の図

 意外なことに、両当事者に訴訟代理人が付いている場合の裁判率は、全体の3割程度なのです。残りの7割は、両方に代理人が付いていないか、片方に代理人が付いていないか、なのです。この割合は、簡易裁判所の裁判においてはより一層顕著となります。

民事訴訟の終了

 

 

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